ページの本文へ

Hitachi

日立ハイテクソリューションズ

2011年3月11日に東日本を襲った大震災は、私たちに多くのことを考えるきっかけを与えました。犠牲となった方々への追悼の意はもちろん、津波の恐ろしさや危機管理の重要性、そして、お互いが助けあい励ましあうことの大切さ等々…。
そんな中、日立ハイテクは、国立天文台助教の大江将史先生(工学博士)のご協力を得ながら、震災復興支援のプロジェクトに参画。LifeSizeを中核とするテレビ会議システム「ハイテクビジョン」を震災地区の学校や病院などに寄贈しました。
そして震災から1年2ヶ月を経て、宮城県石巻市の北上中学校で、このシステムを活用した“ハワイと結ぶ授業”が実現しました。
今回はその『星・宇宙を身近に感じる特別授業』の様子をご紹介いたしましょう。

ようこそ!「星・宇宙を身近に感じる特別授業」へ

ハイビジョンテレビ会議システム『LifeSize』を利用した特別授業は、2012年5月25日(金)に行われました。プログラムは大江先生はじめ国立天文台の先生方が企画。北上中学校と国立天文台ハワイ観測所とをハイビジョン生中継で結び、天文学の最前線で活躍する天文学者と、星や宇宙、自然について語り学ぶ授業です。
ハワイ観測所は「すばる望遠鏡」を擁する施設。ハワイ側で講師を担当する国立天文台の林左絵子准教授(理学博士)は、すばる望遠鏡の観測映像を通して自然界の不思議や美しさ、驚きを生徒さんに伝えます。中学校側は、国立天文台准教授の縣秀彦先生(教育学博士)が進行役として、生徒さんとともにハワイと生中継に参加しました。

5限、6限を使ったこの特別授業には、1年生36名、2年生29名、3年生35名+特別支援学級2名の合計102名が参加しました。会場は、同校の体育館。ステージには日立ハイテクが寄贈したハイビジョンリアルタイム会議システム『LifeSize Express220』とプロジェクターが設置され、ハワイからの映像を映し出します。北上中学の及川てい子教頭先生の開催の挨拶に続き、大江先生が授業の趣旨や天文台の簡単な説明を行いハワイに接続。回線音の後、数秒後にはハワイがスクリーンに映し出されました。「さぁ、ハワイと繋がりました」という声に生徒のみなさんは息をのみ、授業はスタートしたのでした。

昨日のハワイと繋がってる! 不思議な体験に興奮する生徒たち

日本とハワイとの距離は、6,300km。時差は-19時間です。そんな説明を受けた生徒さんたちからは、驚きの声があがります。「昨日のハワイと繋がっている!」。しかし目の前のスクリーンに映っているのは、すぐ隣にいる人のよう。生徒のみなさんが手を振ると林先生もすぐに手を振り返します。

林先生はマウナケア山頂にあるすばる望遠鏡の写真を見せたり、すばる望遠鏡が捉えた星々の画像を示したりと、興味深い映像をどんどん映し出します。そして生徒のみなさんにクイズを出して、「ステージに向かって右端のその人、この星の名前を答えてください」と画面の中から回答者を指名。そして当てられた生徒さんが「木星です」と正解すると、場内は拍手喝采になるのでした。そんな時間が続く中で縣先生は、難しい話題が出るとそれを分かりやすく解説して生徒に伝え、また時には生徒の想いを代弁するかのようにして授業を進めていきます。

最後の質問のコーナーでは、「ブラックホールとホワイトホールは実際に存在するのですか?」「太陽に黒点ができる理由を教えてください」、「太陽系って、どうやって誕生したのですか?」という質問が出され、ブラックホールはわかっているが、ホワイトホールはまだ見つかっていないこと、太陽の磁場の関係で周りに比べて温度が低いところが出来て、それが黒点になること、そして、50億年前にガスが集まって真ん中に太陽ができ、周囲の個体が集まったものが地球型の惑星に、ガスを中心に集めたものが木星型の惑星になったことなどが、興味深く説明されたのでした。

自分たちが作った初めての望遠鏡に、キラキラと輝く瞳!

昔、ガリレオが体験した感動を、もう一度!

特別授業の2時間目は、望遠鏡の制作です。ガリレオが宇宙を初めて観察したものと同程度の小型望遠鏡で、かつてガリレオが体験した驚きや発見の追体験をしようというのが、この時間の狙い。国立天文台から提供された「組立天体望遠鏡」を、5人1組のチームになって組み立てていきます。
組み立てに関してはレンズの向きなど注意するところも多く、ステージのスクリーンに見本を映し出し、縣先生がポイントを解説しながら進められます。生徒のみなさんは真剣そのもの。初めて目にする望遠鏡の内部の仕組みを、体験的に学習しているようです。
早いチームで10分くらい、遅くても20分前後で望遠鏡は完成。「あれっ、逆さまに見える」と驚いたり、「この望遠鏡で、新しい彗星、発見できないかな」と笑顔になったり、場内いたるところで、生き生きとした表情を見ることができました。

この望遠鏡は、今後の授業でも活躍する予定。後日、国立天文台から北上中学校に、この望遠鏡を立てるための三脚も提供されました。

授業をしっかり支えたテレビ会議システム 「ハイテクビジョン」

今回の北上中学校での特別授業は、震災直後に国立天文台の大江先生が“エリアによる情報共有力の格差”、およびそこからくる“支援の偏り”を認識し、その解決のために情報通信環境を整備するため被災地に入って活動していたことに端を発します。日立ハイテクとしても復興支援のため、得意分野での協力を模索していたため、方向性が一致。国立天文台は以前、日立ハイテクの「LifeSize」を導入なさったこともあり、コラボレーションが実現しました。

今回、寄贈したシステムは下記のような内容です。30ポートのMCUや中継内容を録画して視聴するためのストリーミングサーバ、携帯やスマートフォンなどからもテレビ会議システムに参加できるスマートフォン用ゲートウェイなど、基幹となる機器を国立天文台水沢キャンパスに設置。ハイビジョン品質の映像中継が可能なLifeSize Express220を震災地域の学校や病院、支援活動をするNPO団体などに寄贈しました。
LifeSizeシリーズは、画像の美しさ、音声のクリアさに加え、パソコンで管理している各種資料(PowerPointデータなど)を切り替えて表示できるといった特長があるため、今回のような遠隔授業でもその威力を最大限に発揮しました。

LifeSize Express220を、東北の震災地区を中心に12ヵ所に寄贈

「ハワイに雪が降るなんて、知らなかった」「天文学について、勉強したくなった」「次は、星座の詳しい話を聞きたい」「日付変更線をはさんでちゃんと会話できるなんで、スゴイ」「インターネットの勉強はしているけれど、今回のような体験は初めて」「望遠鏡は、私たちの宝物」――今回の特別授業は、そんな声を残して終わりました。

卒業式の準備をしていた時に被災した北上中学校の生徒のみなさん。あれからおよそ1年と3カ月が経った今、特別授業に参加した方々は、このプロジェクトをどう受け止めてくれたでしょうか。被災地すべてが、まだまだ復興には様々な問題を解決しなければならない状況にある中、テレビ会議システム「ハイテクビジョン」が、被災地の復興・教育・心のケアに少しでも役立つことになれば、こんなに嬉しいことはありません。

導入した製品はこちら

各拠点間で臨場感あふれるテレビ会議を実現

H.323/SIPビデオ会議ソフトウェア

  • ClearSea

LifeSizeと組み合わせる録画・ストリーミングサーバ

次世代ビデオ会議多地点接続装置

先生方の声

未知なものを知る喜びと、技術革新を実感した驚き

生徒がついていけるかどうか不安でしたが、学びとして成立して嬉しく思っています。リアルタイムでハワイの映像が観られて、質問したらすぐに答えがもらえる。生徒にとっては初めての経験で緊張もしたと思いますが、その中でみんなが感動しているのが分かりました。初めて望遠鏡を見た生徒もいて、それも貴重な体験でしたね。
今回の授業には、2つの柱があったと思います。一つは「天文学に対する興味、未知なものを知ることの感動」。そしてもう一つは「インターネットをめぐる、技術革新の実感」。それが合体した授業は、今まで例がありませんでした。国立天文台のみなさま、日立ハイテク様には、感謝してもしきれない気持ちです。

石巻市立北上中学校 教頭
及川 てい子氏

遥か宇宙のかなたを思うことが、心のケアに

特別授業で生徒たちは、ハワイの先生にいくつか質問をしましたが、実は全ての生徒が質問を考えていたんです。時間の都合もありましたが、素朴な子どもたちが多いので、恥ずかしがって“われ先に”とはいかなかったみたいですね。
しかし、今回の授業は、とても大きな財産になったはずです。私たちが通常の授業で行うのは、パソコンのシミュレーションソフトや書籍を用いたものだけ。技術的に満足できる施設も遠いですし、プラネタリウムなんて、近くにはありませんから。そんななかで「遥か宇宙のかなたを思うこと」ができた今回の授業は、心のケアにもつながると思いますよ。驚き感動する生徒たちを見て、わたしも心がキュンとなりました。

石巻市立北上中学校 理科主任
佐藤 真希子氏

最先端の映像通信技術が震災復興支援に活用できる好例

被災地がまだ混とんとした状態ですので時間はかかるかもしれませんが、こういった特別授業を、今後も続けていきたいと思います。今回が最初の試みでしたが、今後も各学校の先生方と協力しながら、年度内に少なくとも5カ所ぐらいで実現できると嬉しいです。
日立ハイテクさんが、自らの得意分野で震災復興を支援しようと提供してくれたシステムですので、その志にお応えするためにも、さらに魅力的なプログラムを考え、より価値のある授業に育てていきたい。色々と改善点も出てくるかと思いますので、日立ハイテクさんには技術力でバックアップをお願いできればと思っています。

国立天文台 助教
大江 将史氏(工学博士)

世界中の誰とでもつながることに喜びを

生徒のみなさんが興味をもって授業に参加してくれて、とても嬉しく思いました。みなさんの眼差しは、とても真剣でした。宇宙や天文学がさらに好きになった方、そして情報インフラに興味を持った生徒さんもいらっしゃるでしょう。今後は、すばる望遠鏡の操作をしているところだとか、望遠鏡から見えるリアルタイムの星空を見せてあげることができればと考えています。
技術が進み、世界中の誰とでも友達になれるという実感は、これからますます高まっていくでしょう。今回の授業、プログラム、テクノロジーは、新しい時代の予感を私にも十分もたらしてくれました。

国立天文台 准教授
縣(あがた) 秀彦氏(教育学博士)

学校概要

石巻市立北上中学校
宮城県石巻市北上町十三浜字小田93-1
校長:畠山 卓也●学級数:6学級●生徒数:117名●職員数:15名●創立年月日:平成元年4月1日
目指す生徒像:①健康で、粘り強い生徒 ②やさしく、思いやりのある生徒 ③自ら判断し、表現し、行動する生徒

この事例に関連する情報はこちら

テレビ会議に関するご質問やご相談はお気軽に お客さまのニーズに合ったプランを提案いたします

お電話でのご相談

インターネットでのご相談