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Hitachi

株式会社 日立ハイテクノロジーズ

2003年3月5日

株式会社 日立ハイテクノロジーズ

株式会社 日立ハイテクノロジーズ(取締役社長:桑田 芳郎/以下、日立ハイテクノロジーズ)は、2003年3月5日、心臓から発生する微弱な磁場を測定する「MC-6400形日立心臓磁気計測システム」を世界に先駆けて発売します。

死亡要因に占める心臓疾患の割合は、現在、日本においては悪性新生物(ガン)に次ぐ第2位となっており、現代人の抱える大きな問題の一つとして認識されています。また、米国では心疾患死亡者数が悪性新生物(ガン)を大きく上回り、死亡原因の第1位になっています。日本も食生活の欧米化などに伴い、心疾患死亡率が上昇傾向にあります。致命的な状態となる前に、早期の段階で病気を見つけることができれば、現代の医療技術を用いて治療・完治が可能だったという事例は数多く報告されており、早期に医学的判断をするために必要なデータの高精度化が求められています。
心臓の電気生理学的活動に伴い、電流が発生することは古くから知られています。心電図では、この電流の周囲に生成される電場を体表面で計測し、心臓の電気生理学的診断を行なっています。心臓に対する高精度な医療診断を行うためには、心筋表面での電気生理学的な情報を正確に計測する必要があります。しかし、体内の電気抵抗のため、体表面にあらわれる電場の大きさ(電圧)は心筋表面の100分の1程度にまで弱められており、これまで非常に多くの情報が失われていました。また、人間の体を構成する骨や筋肉、脂肪により、電気抵抗が大きく異なるため、体表面に現れる電場はゆがんだ形でとらえられています。

一方、心臓で電流が流れることにより、その周囲には磁場が生成されることも知られています。骨や筋肉、脂肪は磁場を弱めることがなく、従って、心臓を流れる電流により発生した磁場は、電流源の情報を高い精度で保有したまま体表面に表れています。この磁場を計測することにより、より高精度なデータ検出が可能となります。しかし、我々の周辺で自然に存在している地磁気がマイクロテスラ(µT:10-6T)の大きさであるのに対し、心臓の電気生理学的活動により発生する磁場は数百フェムトテスラ(fT:10-15T)~数十ピコテスラ(pT:10-12T)の大きさであり、地磁気の100万分の1以下と極めて微弱であるため、通常の磁気センサでは計測することができませんでした。
当社は、これらの問題を解決する新しい計測システムを開発、医療機器として薬事承認を取得し、この度、世界に先駆けて「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」を発売します。

「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」の特長

1.微弱磁場の計測を実現

微弱な磁場を計測するために、SQUID*1(超伝導量子干渉素子)を利用した高感度磁気センサ(以下、SQUIDセンサ)を日立ハイテクノロジーズ独自の技術を用いて開発。SQUIDセンサは超伝導状態で動作するため、液体ヘリウム(沸点4.2K、マイナス269℃)により極低温に冷却されています。「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」は、このSQUIDセンサを用いることにより、20 以下という極めて微弱な磁場の計測を可能としています。

*1
SQUID : Superconducting Quantum Interference Deviceの略。超伝導ループ内に1~2カ所のジョセフソン接合部を設けた磁気デバイス。超伝導量子効果により超伝導ループ内を流れる超伝導トンネル電流が、磁束量子単位(2.07×10-15Wb)で周期的に変化する現象を利用して微弱磁場の計測に使用されます。

2.マルチチャンネル化により高精度化と計測時間の短縮を実現

SQUIDセンサの自社開発によるマルチチャンネル化の達成により、心臓全体を一度に計測することができ、病巣部位に関係なく短時間の計測で高精度のデータ検出が可能となります。「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」では、175mm×175mmの測定範囲中に64本のSQUIDセンサを搭載、一度の計測で成人の心臓全体の磁場分布計測を可能にしています。被検者一人当たりの計測時間は数心拍程度であり、極めて短時間で高精度な心磁計測が可能です。

3.非接触検査を実現

心臓から発生する微弱な磁場は空間的な広がりを持って分布しています。したがって、被検者とSQUIDセンサは非接触な状態で計測を行うことができます。磁場を歪める金属類(例えば、時計やネックレスなど)を体から外せば、被検者は着衣のままベッドで横になるだけで簡単に高精度な心磁計測が可能となり、精神的負担も軽減します。小児の場合には、母親や看護士の付き添い検査も可能です。

4.非侵襲検査を実現

心臓の電気生理学的活動に伴う微弱な磁場は自然に発生しているので、被検者に薬物を投与したり、外部から電磁波や放射線を加えたりすることはありません。「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」は被検者に対して非侵襲な計測システムであり、幼児から年配者まで体に負荷をかけることなく、高感度な心磁図測定が可能です。

5.胎児心臓の電気生理学的検査を実現

胎児は電気を通さない脂質の膜(胎脂)に覆われており、胎児心臓から発生する電気信号は母体表面まで届きません。しかし、胎児心臓の電気生理学的活動により発生する微弱な磁場は、この膜に関係なく母体表面まで表れます。「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」は、胎児の心臓から発生する磁場を非接触に計測することができます。胎児と母体の各信号成分を分離する日立ハイテクノロジーズ独自の技術により、胎児および母体に負荷を与えることなく、胎児の心臓機能の電気生理学的検査に役立つ心臓磁気データの計測が可能となりました。

6.優れたユーザーインターフェイス

「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」では、ユーザーインターフェイスも重視。画像解析として磁場の法線方向強度分布だけでなく、接線方向の磁場分布解析を可能としました。これにより電流源の位置が直感的に判読できるようになっています(特許第3233127号)。

7.ランニングコストを低減

SQUIDセンサを動作させるためには、液体ヘリウムが必要となります。液体ヘリウムの消費量は貯蔵容器の容積に大きく依存していますが、マルチチャンネル化に伴う容器の大型化と液体ヘリウムの低消費量化を同時に実現することは非常に困難でした。「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」では、日立ハイテクノロジーズ独自の技術により、底面直径400mmの大型容器に64チャンネルのSQUIDセンサを搭載しながらも、液体ヘリウムの消費量を1日当り約2.5リットルにまで抑えることができました(消費量は気温、計測回数など運転条件により若干異なります)。

心臓から発生する磁場を計測した心磁図による心臓の電気生理学的検査は、近年、学会でも注目を集めており、特に心磁計測による胎児心臓の電気生理学的検査は、母体および胎児に負荷を与えない唯一の方法です。既に胎児におけるWPW症候群やQT延長症候群といった従来の計測器を用いた計測データでは診断不可能だった症例について、心磁計により計測したデータを基に初めて医学的診断を下した学術論文(日本新生児学会誌 第37巻 第4号 p584)も報告されており、今後も心磁データを用いた臨床診断は広く応用が期待されています。
当社は「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」の発売にあたり、新しい医療機器としての市場を開拓すると共に、より被検者に優しい医療の実現を目指し活動を展開していきます。

なお、「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」の販売に関して、当社は心電計でトップシェアを誇るフクダ電子株式会社(取締役社長:福田 孝太郎、東京都文京区本郷3-39-4)と販売面で協力関係を結び、新たな市場創生と、心臓磁気計測システムの販売拡大に向け推進していきます。

「MC-6400形 日立心臓磁気計測システム」の価格は、1億6千万円(磁気シールドルームを含む)。初年度5台の販売を見込んでいます。

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