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この宇宙はどのように創られたのか。星や銀河はどうやって生まれたのか。そして、私たち人類はどこからやってきたのか。そんな根源的な謎に挑み続けている研究機関が国立天文台です。日本の天文学の中核を担う研究機関として、宇宙の研究・観測・開発を推進しています。

今、観測可能な宇宙の果てまでの距離は130億光年以上にまで達しています。研究が大規模になるにつれ、観測の拠点も範囲を広げています。国立天文台の研究・観測施設は10拠点以上。東京・三鷹にある本部を中心に、岩手県の水沢、長野県の野辺山、沖縄県の石垣島など全国各地に観測所を持っています。国内だけではありません。より観測に適した場所を求めて視野は世界へ。1999年からは、ハワイ観測所で世界最大級の可視光・赤外線望遠鏡「すばる望遠鏡」が、2012年にはチリ観測所で巨大な電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡」が、それぞれ観測を始めています。

国立天文台の主な拠点

観測技術が進んだことで、これまで解明しえなかった宇宙の謎を明らかにしようとする研究が生まれています。その一つとして、いま注目されているのが「アストロバイオロジー」とよばれる研究分野です。宇宙を舞台に生命の起源や進化の過程を議論するこの学問は、天文学(アストロノミー)、生物学(バイオロジー)の視点はもちろん、宇宙物理学、地球惑星科学、化学などさまざまな科学の英知が結集する必要があります。

アストロバイオロジーセンター、
国立天文台 太陽系外探査プロジェクト室 
特任専門員
日下部 展彦先生

2015年4月、国立天文台三鷹キャンパスの敷地に自然科学研究機構「アストロバイオロジーセンター」が発足しました。国立天文台から参加している研究者の一人が、日下部展彦先生です。

「宇宙に生命は存在するのか。さらに私たち人間のような知的生命体はいるのか。これらは、人類が古代から持ち続けてきた根源的な興味です。そして、人類は太陽系外の惑星を探索する段階まできました」

太陽系外の惑星の存在は1995年、恒星の光を分析して惑星の存在を証明するという方法でスイスの天文台が初めて確認しました。以降、2015年までに確認された惑星は、有力候補を含めると3,500個を超えています。こうして太陽系外に多くの惑星があることがわかってくると、この多様な星の中に地球と似たような環境の惑星が存在し、地球と同様に生命体がいるのではないか、という期待が高まっていきます。

すばる望遠鏡で直接撮像した系外惑星GJ504b。これまで成功した直接撮像のなかで最も小さい質量(木星の3倍程度)で、第2の木星ともいうべき系外惑星。

一方で直接惑星を観測するのは大変難しく、2015年までに確認された惑星は10個。うち3個はすばる望遠鏡が関わっています。3個の惑星の観測に、日下部先生は国立天文台の研究員として携わってきました。

「木星型の惑星でも、直接撮像するためには灯台の周りを飛ぶ蛍を見つけるようなものなのです。また、私達は生命の存在を示唆する条件として、『液体の水』ができる領域(ハビダブルゾーン)にある地球型惑星を探索しています。ハビダブルゾーンにある惑星はさらに主星に近く、地球型の惑星は木星型よりさらに小さいため、観測は極めて難しいですが、生命を探すためには重要なターゲットになります」と、日下部先生は説明します。

アストロバイオロジーの研究では、離れた研究拠点間の連絡を緊密にとっています。同じ自然科学研究機構に所属する分子科学研究所や基礎生物学研究所(ともに愛知県岡崎市)などの研究者たちと、日常的に議論や情報交換をするほか、天文台内でも三鷹の本部と、ハワイ観測所の本部であるヒロ山麓施設、さらにすばる望遠鏡のある高度4,200メートルのマウナケア山頂施設をテレビ会議システムで結んで、観測をすることも頻繁にあります。

会議室にあるテレビ会議システム。テレビの上には三鷹とハワイの時間が示した時計が2台掲げられている。

「責任者が三鷹にいて、実際の観測者がハワイにいて、観測手順書を元に指示します。先方の様子が映像で分かるので現場に一緒にいるときと同じような感覚で細かい調整を取ることができます」

他機関とのコミュニケーションにおいても、テレビ会議は当たり前に使われています。異分野の研究者がアイデアや知識を出し合って、一つの目的に向かっていくという、研究者間の「つながり」によって、新しい発見が生まれているのです。

「生命の誕生を語るにも、研究分野によって言語も証明方法も異なります。互いに当然と思っていることが当然ではないことも多々あって、新しい視点が得られています。たとえば、これまで私たち天文学者たちは太陽系惑星の生命の兆候を探す印として『酸素大気』の存在に注目していました。ところが分子科学者から、生命がなくても水や酸化チタンなどの物質から酸素ができるという話を聞いて、この条件を考え直す必要が出てきたのです。今は、地球より低温度の惑星でも光合成が可能なのか。もし可能なら、その光合成でなにがもたらされるのかを研究しています」

もし光合成が起こりうるとすれば、その惑星は生命体が存在する有力候補になる……。研究が進めば、「地球以外の宇宙に生命体は存在するのか」という人類の究極の謎の解明にも近づくことになります。

アストロバイオロジーのような、異分野間、そして拠点間での連携で行われる研究分野では、「いかにつながるか」が大切な課題です。離れた場所にいる研究者同士の意思が明確に伝われば、それだけ研究の効率も高まるからです。

「テレビ会議システムは私たちの日常に溶け込んでいて、もはや当たり前のコミュニケーションツールです。連携で研究を進める中で、テレビ会議システムのようなネットワーク技術が果たす役割は大きいといえます」

国立天文台 データセンター助教
大江 将史先生

このように話すのは、国立天文台天文データセンター助教の大江将史先生です。同センターは、天文台や国内外の観測装置が得た天文観測データの収集と発信窓口を担っており、国内外へのデータ発信やデータ解析のサポートなどもしています。

「時差や距離、各観測所の状況など、さまざまな条件下にある研究者たちの日程調整を考えると、一堂に会するのは容易ではありません。テレビ会議システムは研究者たちの負担を減らし、生産性を高めるためにも必要なのです」

天文台内外の研究者が研究の進捗状況などを披露する談話会。野辺山や水沢の拠点にいる研究者たちも、テレビ会議システムを通して視聴している。

国立天文台では、以前より画像を送信できる電話システムなどの通信システムを使っていました。その流れで、テレビ会議システムもいち早く導入。そして2008年、テレビ会議システムの買い替えを機に、日立ハイテクノロジーズのテレビ会議システムを採用しました。本システムは通信帯域や解像度、性能の異なるテレビ会議システムが混在する環境でも相互接続が可能な上、解像度が高いHD(ハイ ディフィニション)で鮮明な映像を実現します。

「やはり映像がきれいになりました。資料も明瞭に映りますし、相手の表情がよくわかるようになりました」

現在、日本国内の主要な拠点すべてに当社のテレビ会議システムが採用されています。「三鷹の中でも共用スペースを始め、主要な会議室にはほぼすべて導入しています」と大江先生。ハワイとチリの観測所では、他社のシステムが使われていますが、相互接続性は保たれています。

「音声だけでなく、観測装置、温度計、それにオペレーターの表情など映像として入ってくる情報も有用です。会って話しているような感覚が、気づきや発想を豊かにします」と大江先生は言います。

大江先生はテレビ会議システムについて、日立ハイテクノロジーズへのリクエストをこう話します。
「私がテレビ会議システムに求めているのは、電話をかけるような感覚で気軽に使えることです。まずは簡単につながってこそ、コミュニケーションが促進されます。確かに臨場感のある映像を実現することも大切ですが、基本的な技術と先進的な技術、その両方がこれからも高まっていくことを期待しています」

まるで相手が目の前にいるように、自然な対話ができることが理想だ、と言う大江先生。分野の異なる研究者や離れた場所にいる研究者と、そこにいるように話ができることが、研究を前進させ、人類の新たな知を生むことにつながる―。

宇宙の謎の解明と、その研究成果の普及を推進し続ける国立天文台。今後もより多くの研究成果を創出・発展していただくためにも、日立ハイテクノロジーズはテレビ会議システムを通して、拠点間のリアルタイムな共同作業の実現に貢献していきます。

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※本文中の情報は、2016年3月当時のものです。