化学業界では新しい機能性化学品を開発しシェアを獲得していくことが、今後の持続的な成長のためには急務となります。各社をヒアリングした結果、見えてきた課題をいくつか挙げてみます。
・研究開発が属人的になってしまう
経験豊富で勘の良い研究者は「このあたりに化合物がありそう」「このような配合にすればよさそう」と感覚的に抽出し、導き出すことができます。
しかし、経験が浅い研究者の場合はなかなかそうはいきません。
研究開発機能が属人的になってしまうと、企業の競争力にも影響を及ぼしかねず、リスクの高い状態と言えるのではないでしょうか。
・人材不足
計算科学や情報システム工学と、化学の両方を理解している人材が少ないという現状があります。これはMI分析に限ったことではありませんが、アメリカと比較すると日本企業のデータ活用や情報システム活用は遅れを取っているという印象があります。
日本企業でもデータサイエンティストの育成を進めたり、MI推進組織を立ち上げたりしていますが、肝心の人材不足は否めません。
・データ不足
どれだけデータサイエンティストを増やしても、データが少なければ成果は限られてしまいます。データが少ない状態でAI開発をスタートしたために失敗するケースも少なくありません。
新素材の開発を進める上で、必要なデジタル人材の育成・確保は周知の課題として常に取り上げられますが、一朝一夕に解決できるものではありません。 一方で、AIやビッグデータなど新たな情報やデータを有効活用することで、競争力の強化は図れるのではないでしょうか。それは開発スピードの加速化にもつながります。