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Hitachi

株式会社 日立ハイテクノロジーズ

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(2)加圧凍結

加圧凍結も急速に凍結することにかわりはないが、液体窒素を高圧で吹き付けることにより凍結する。しかし、ヘリウム冷却金属への圧着凍結が生理的状態を保ったままアプローチし、試料表面を急速に冷却しガラス状凍結するのとは少しニュアンスが違う。
ガラス状の氷と普通の氷晶とは何が違うかというと、水素結合の規則正しさである。したがって、物理的にはこのような水素結合を形成しないように凍らせればいわゆるcubic iceは生じないので細胞内微細構造が破壊されることはない。2,100barのような高圧下では凍結速度をそれほど加速しなくても規則正しい水素結合は形成されない(凝固点が降下し粘性が上がる)。
このような性質を利用し、Moorらにより開発されたのが加圧凍結法である。したがって細胞、組織は凍結するまでの瞬間的な時間高圧下にさらされる。このことは構造を観察する時考慮しなければならない。
凍結結果は液体窒素を使用しているにもかかわらず前述の金属への圧着とは比べものにならないくらい、深いところまで無氷晶凍結できる。しかし、小さい気泡状の胞体が増加したり、ミトコンドリアの大きさが表面から深部にいくにしたがい大きくなるなど注意深い観察が必要である。ここではBAL-TEC社の加圧凍結装置についての凍結法を紹介する。

試料台への試料の載せ方

試料台は基本的に同社のフリーズエッチング装置の試料台と共通のハット型である(つば着き帽子を逆さまにしたような形)。
へこみの部分に試料を入れ、蓋をして、プランジャーに取り付ける。プランジャーは試料を挟み込むように固定するので、試料台に蓋をした状態での厚さは一定でなくてはならない。しかしこの条件を満たせば試料の性質や凍結後の観察法にあわせて様々な試料台の組み合わせが可能である。
図4と図5は基本的な組み合わせを示した。
図4は凍結後の処理としてフリーズエッチングなどをするときに便利であり、一方、図5は組織の塊を凍結置換固定法により処理し、超薄切片として観察するのに便利である。これ以外にも様々な工夫が可能である。
基本的な試料台は電子顕微鏡用の資材を扱う業者から市販されているが、実験目的に応じて特注することも出来る。我々はプランジャーの試料取り付け部分を出来るだけ大きくし、試料台も径3mmのカバーガラスが載せられるようにした。
高圧の液体窒素はこの試料台及び蓋の外側から作用するので、それらは熱伝導生の良い素材で作られなければならないが、一方、高圧に耐えられるようでなくて困る。したがって、アルミ箔のようなものは使用できない。
一般には真鍮またはアルミ製である。我々はアルミ製のものを使用しているが、数回使うとゆがみや摩耗のため使用できなくなることが多い。試料台は全くの消耗品と考えるべきであろう。

注意すべき点

試料と試料台の間に空間や気泡を作らないことが大事である。これらがあると高圧下にさらされたとき試料台がへこみ破損する。試料の周りはリンゲル液などで充填し、上から蓋をしたときこぼれるぐらいにする。プランジャーに取り付けた後は試料台が動かないことを確かめ、ヘキサデセンをたらしよくシールした後、マニュアルに従い凍結する。

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