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株式会社 日立ハイテクノロジーズ

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(2)免疫フリーズエッチングレプリカ法

免疫標識法とフリーズエッチングレプリカ法を組み合わせた方法である。
超薄切片法と免役標識法が組み合わせにより免疫細胞化学が生み出され、標的蛋白質の微細構造上での局在がわかり、細胞生物学の発展に大きく寄与した。この方法はさらに有力で免疫分子化学と言えるほど標的蛋白質の局在を明確に決めることができる。
例えばアクチン結合蛋白質では実際に1本のアクチン線維に付着している様子を観察できる。しかし、抗原が切削面に露出する切片と違い、白金を回転蒸着してしまうのでレプリカ作製後の標識は難しい。したがって、急速凍結する前に免疫標識をすることになる。
また、抗体の浸透を考えると細胞膜の一部を壊し、細胞質を洗い出す必要がある。このため細胞膜剥離法(unroofing)が確立して初めて可能になった。また、培養細胞には容易に応用できるが、組織などの場合にはまだ難しいのが現状である。
細胞質を流出させるわけであるから、細胞質に浮遊している蛋白質の標識はできないが、多くの蛋白質は細胞骨格に付着するか細胞膜に付着しており、それらは膜剥離の過程では簡単には乖離しない。言い換えれば、膜表在性の蛋白質、細胞骨格に結合している蛋白質、及び内在性の膜蛋白質の細胞質側に飛び出ている部分の標識に都合の良い方法である。
ここでは我々が培養細胞の膜細胞骨格の観察とその構成要素の同定のためにおこなっている免疫フリーズエッチングレプリカ法の実際について解説する。

準備するもの:

  • 培養細胞
    (培養用プラスチックDish中に2.5mm×2.5mmのカバーガラスを数枚並べ、上から細胞をまき、1~2日間培養し、ガラス表面の8割ぐらいが細胞で覆われるようにする)
  • フリーズエッチング装置
  • 一次抗体
  • 金コロイド二次抗体
  • KHMgE緩衝液
  • 子牛血清アルブミン(BSA:シグマfraction V)
  • フッ化水素酸
  • プラスチックシャーレ
  • 先のそろったピンセット
  • コダックフォトフロー

プロトコール:

  1. 第6章の細胞膜剥離法に従い細胞膜を剥離する(unroofing)
    以下全ての過程で乾燥させないこと、少しでも乾燥するともはや試料として使い物にならない。
  2. KHMgE緩衝液に0.1~0.5% glutaraldehyde and 2% paraformaldehyde となるように調整した固定液で約20分間固定する(モノクローナル抗体を使用する時はglutaraldehydeの濃度は0.1%以下とする)。
  3. KHMgE緩衝液で5分ずつ3回洗浄する。
  4. KHMgE緩衝液に溶解した1% BSA に5分間浸け、非特異的結合を阻害する。
  5. 1%BSA KHMgE緩衝液で希釈した一次抗体と1時間反応させる。(希釈率は抗体により異なる。)反応はワックスプレート上にカバーガラスを並べ上から抗体の希釈液で覆うようにすると僅かの量で標識できる(図1参照)。
  6. 1%BSA KHMgE緩衝液で5分ずつ3回洗浄する。
  7. 1%BSA KHMgE緩衝液で希釈した金コロイド二次抗体と1時間反応させる。通常は10nm金コロイドを用いる。
  8. KHMgE緩衝液で5分ずつ3回洗浄する。
  9. KHMgE緩衝液で希釈した1% glutarlaldehyde で10分間固定する。
  10. KHMgE緩衝液で5分ずつ3回洗浄する。
  11. 蒸留水で1回洗浄後すぐに急速凍結する。

急速凍結後は前項のプロトコールに従って、エッチングレプリカを作製する。

スケールバーは10nm。右側の挿入図は左側の一部を拡大した像。見やすくするためコントラストを反転し、ネガイメージとなっている。このため金コロイドは白い点として、また金コロイドには抗体が付着しているためハロー状に見える。
したがって、抗体標識は中心が白く塗られた二重丸として観察される。

アクチン結合蛋白の一つで、RhoファミリーのCdc42により活性化され、細胞運動に関与するIQGAP1の抗体で標識した。標識の金コロイド(丸で囲まれた白い点)は膜直下のアクチン線維似多く認められる。

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