高速マッピング機能搭載の蛍光X線分析装置 EA6000VX
部品を分解しない状態での特定部位に絞った微小部の測定や、基板全面に渡る有害物質の管理など、従来の装置では対応が困難な要求も高速マッピング機能搭載のEA6000VXでは可能になりました。
以下のリンクより、EA6000VXの特長がご覧いただけます。
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従来、異物分析は肉眼もしくは顕微鏡で確認された比較的大きな異物に微小ビームを照射しその元素分析を行う事にとどまってました。
EA6000VXではその高感度化と高速マッピング機能により、サンプル全面に対して高速にマッピングを行い数十µm以下の異物も検出する事が可能になりました。
異物マッピング分析の事例:
マッピング回数を重ねることにより、1000ppmレベルのPbマッピングを30分で実現できます。通常、マッピング回数を重ねることで、より濃度の低い元素の2次元マッピングが可能になりますが、従来の装置(当社比)では、膨大な時間を費やしても、非常に困難でした。
※下記の測定事例の場合の所要時間です。条件が異なると、所要時間は異なります。
測定事例
ノートPCや携帯電話など、外装部品により内部の構造がわからない製品について、分解せずに内部の基板上のPbをはじめ、様々な元素のマッピング像を得ることができます。X線を透過させて得られる元素のマッピング像を比較することにより、内部の部品や構造について、様々な情報を得ることが可能です。
シースルー・マッピングでは、従来のように、製品を分解しなくても、目的元素の有無を簡易的に検査できます。(特許出願中)
マッピング画像の任意エリアを指定すると積算したスペクトルを表示することができます。これは画素毎にスペクトル情報を保有しているからです。マッピングの画像だけでは判断しにくい情報もスペクトルを確認することにより、その元素の含有の判定ができ、簡易濃度計算も可能です。
最大500点の位置を指定することができ、オートサンプラーのように連続多点測定を行う事が可能です。大量の試料を測定する時も、絶大なスループットを発揮します。
最大500点の位置指定自動連続測定により省力化を実現
微小X線ビームを使用することにより、複数の材料が組み合わさった試料においても特定の箇所を狙って測定することができます。
微小部の微量金属や薄膜を短時間で測定します。
真鍮中 Cd, Pb, Cr |
Sn中 Pb |
プラスチック中 Cd, Pb, Hg, Br, Cr |
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3mm | 80sec | 40sec | 70sec |
1.2mm | 150sec | 40sec | 80awc |
Cdは30ppmそれ以外の元素は200ppmの検出下限を実現する時間
ハロゲンフリー化の動きに合わせてCl・Brの測定についても微小部の高感度化を実現しました。また上面照射方式であるため凹凸のある実装基板に対しても、ピンポイントで測定位置決めが可能です。
FTシリーズで定評があるめっきの膜厚測定にも、EA6000VXは対応しています。極薄Auめっきなどの膜厚測定はもちろん、めっき中に含まれるPbなどの有害物質分析を膜厚測定と同時に行うことも可能です。例えば、PbフリーはんだめっきやリードフレームのSnめっき、無電解Niめっき中に含まれる有害物質の濃度測定が可能です。
Sn-Ag/Cuの膜厚・組成比測定
皮膜中の有害物質分析(Pb)
Au/Ni/Cuの膜厚測定測定
厚さ | 組成比 | 有害物質 | |
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Sn-Ag [µm] | Ag [wt%] | Pb[ppm] | |
1 | 5.34 | 2.83 | 291 |
2 | 5.30 | 2.63 | 297 |
3 | 5.31 | 2.64 | 347 |
4 | 5.34 | 2.73 | 303 |
5 | 5.31 | 2.67 | 329 |
6 | 5.33 | 2.67 | 334 |
7 | 5.33 | 2.75 | 291 |
8 | 5.30 | 2.74 | 262 |
9 | 5.35 | 2.72 | 303 |
10 | 5.36 | 2.91 | 308 |
平均値 | 5.33 | 2.73 | 306.5 |
標準偏差 | 0.02 | 0.09 | 24.6 |
CV | 0.4% | 3.2% | 8.0% |
Au[µm] | Nl [µm] | |
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1 | 0.054 | 5.11 |
2 | 0.055 | 5.11 |
3 | 0.054 | 5.12 |
4 | 0.055 | 5.08 |
5 | 0.054 | 5.10 |
6 | 0.055 | 5.13 |
7 | 0.053 | 5.08 |
8 | 0.053 | 5.09 |
9 | 0.054 | 5.08 |
10 | 0.055 | 5.14 |
平均値 | 0.054 | 5.14 |
標準偏差 | 0.008 | 0.02 |
CV | 1.5% | 0.4% |
250mm×200mmという広域な試料像の取得を可能にし、更にその全域に渡り20µm解像度を保つことにより、高い位置決め精度を確保する技術を実現しました。
位置指定
広域試料像(左)上のどの場所でも、マウスホイールを回すだけで、基板上の部品番号を確認できるほど、デジタルズームすることが可能です。ズーム倍率は12段階あり自由に操作可能です。
上面照射タイプの蛍光X線分析装置では手動で高さ調整行われておりましたが、EA6000VXはレーザーセンサーを用いた「自動サンプル高さ測定」の結果を元に自動で最接近させるオートアプローチ機能を実現しました。これにより操作性の向上はもちろん、操作ミスによる装置・サンプルの破損を防ぎます。 ※特許出願中
テレセントリック光学系と高精度XYステージの採用により、試料像とマッピング像とが完全に重ね合わさることで、広い範囲にわたって高精度な解析が可能となりました。非テレセントリック系レンズでは、凹凸のある試料を測定する場合、試料像で指定したポイントとマッピング像のポイントが一致せず解析が非常に困難でした。
試料像とマッピング像を重ね合わせることで、目的元素の含有箇所の特定が容易になりました。重ね合わせの位置精度は、100µm以内を実現しています。 試料像との重ね合わせは、最大3元素まで可能であり、重ね合わせの順序を変更することも可能です。また、重ね合わせ像の半透明表示や色合い調整などの豊富なツールを備え、解析能力を大幅に向上しました。
図1:Pbを最表面に表示した場合
図2: Snを最表面に表示した場合
図1から、A、B両方にPbが含有されていることがわかります。図2から、AにのみSnが含有されていることがわかります。つまり、Aははんだ中のPb、Bはチップ抵抗中のPbであることがわかります。
測定結果はワンクリックでEXCEL®へ転送されます。また、測定結果はトータルレポートで試料情報、測定日、測定結果などを一覧で確認することができます。さらに試料番号をクリックすることで測定条件、試料画像、スペクトラムまでA4形式にまとめる詳細レポートが作成され、このまま測定結果報告書としても使えます。