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アルミニウム鋳物の元素分析における装置性能評価

 近代産業の発展に伴い、世界各国で大気汚染や地球温暖化をはじめとした環境問題が拡大しています。その中でも、「自動車の排ガス」は大気汚染や地球温暖化の原因の1つとされ、世界各国で対策や規制が強化されています。

 エコカーの普及が進み、これまでガソリンエンジン車で必要とされてきた部品が不要となったり、バッテリーやモーターなどの新たな部品が必要となってきています。中でも、バッテリーやモーターは高出力化により温度が上昇することで性能に悪影響が出ることを防ぐために冷却する必要があります。そこで、AC4Cをはじめとするアルミニウム鋳物によって内部に冷却回路を作り、冷却水を流すことのできるバッテリーケースやモーターケースの需要が拡大しています。

本資料では、FOUNDRY MASTER SmartとOE750によるアルミニウム鋳物の元素分析例をご紹介します。

アルミニウム鋳物の元素分析

分析方法

装置 ① FOUNDRY MASTER Smart (FMS)

表1 FMSの装置仕様
光学系 パッシェン・ルンゲ
焦点距離 300 mm
回折格子溝数 1774 本/mm
検出器 マルチCCD
観察波長範囲 174~420 nm
(最大波長671 nm Cu, Na, Li用)
光学系雰囲気 アルゴンガス

装置 ② OE750

表2 分析条件
光学系 パッシェン・ルンゲ
焦点距離 400 mm
回折格子溝数 2400 本/mm
検出器 マルチCMOS
観察波長範囲 119~766 nm
光学系雰囲気 中圧真空
表3 試料の前処理方法および分析条件
試料 認証標準物質 HYDRO 3107-2/2-02  (AC4C相当)
(Hydro Aluminum Rolled Products GmbH製)
前処理方法 精密卓上旋盤 Compact 9 (東洋アソシエイツ)
回転速度:100~2500 (min-1)
分析条件 AL_400 (Al-Si合金用分析プログラム)

表4 認証標準物質 HYDRO 3107-2/2-02 認証値および不確かさ

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(単位: wt%)

表5 AC4C規格値

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(単位: wt%)

装置性能評価

  • アルミニウム鋳物の元素分析におけるFOUNDRY MASTER Smart(FMS)およびOE750の装置性能評価のため、認証標準物質を10部位連続測定し、平均値(Avg.)、標準偏差(SD)、相対標準偏差(RSD)を算出しました。
  • 全ての元素において、認証値と同等の結果が得られました。 *
  • FMSでは検出下限値近傍もしくは検出下限値以下のため安定した分析が困難な元素(SnやCo等)も、OE750において精度良く分析できていることが分かります(表6)。*

表6 FMSおよびOE750の測定結果比較 (抜粋)

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(単位: wt%)

  • 横軸にFMSの測定結果(Avg.)、縦軸にOE750の測定結果(Avg.)をプロットした結果を下図に示します(図1)。相関係数 R2=1.00 となり、FMSとOE750で同等の結果が得られることが分かりました。*
  • 分析対象元素や要求精度に合わせて、最適な分析装置を選定いただけます。

* 検出下限値近傍および検出下限値以下の元素は除く。

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図1 FMSおよびOE750の各元素の測定結果(Avg.)比較

詳細データ

● FOUNDRY MASTER Smart

表7 認証標準物質の認証値、不確かさおよび測定結果

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(単位: wt%)

詳細データ

● OE750

表8 認証標準物質の認証値、不確かさおよび測定結果

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(単位: wt%)