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分光光度計基礎講座 第4回 比色分析(吸光光度法)について(3)

色の濃さで測る(定量分析)

定量分析とは、ある物質(溶液状態のもの)がどれだけ入っているか、を測る分析のことをいいます。例えば、水の中には金属や極微量の残留農薬や微生物などが含まれています。しかし、それらがどれだけ含まれているかは目で見ただけではわかりません。
一般に、試料に発色試薬を添加し目的物質との反応によって発色の度合いをみる吸光光度法の場合、標準液と試料(サンプル)を用意し、試薬を加えて目的物質を発色させ、検量線によって標準液とサンプルの吸光度を比較してサンプルの濃度を決める、という方法を用いています。
では、例として水道水中の鉄を測る手順を考えてみましょう。

サンプルと標準液

「物質の濃度を測るには、濃度が分からない、これから測定しようとする試料(サンプル)を、あらかじめ濃度のわかっている試料を(標準液)と比べて濃度を決定します。水道水中の鉄を分析する場合、水道水がサンプル、濃度がわかっている鉄溶液が標準液となります。標準液には、鉄の濃度が違うものをいくつか用意します。
サンプルと標準液は同じ条件で作成、測定しなければ正しい結果は得られません。例えば、サンプルが水道水ならば標準液はアルコール溶液ではなく水溶液にする、また、サンプルに酸を添加したら標準液にも酸を添加する、などです。」

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水やアルコールなど、物質を溶かす液体を「溶媒」、鉄のように液体に溶け込んでいる物質を「溶質」と呼んでいます。この溶質の吸収と溶媒の吸収が同じ波長にあると正しい結果がでません。水は、可視・紫外域に吸収を持たないので一般によく使われます。有機溶媒もよく使われますが、目に見えない紫外域に吸収を持つものが多いので、使用する場合は注意しましょう。

有機溶媒の紫外部での使用範囲
水を対照とし、吸光度が1以内の波長範囲を示す。

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魔法の薬(発色試薬)

水道水を見て鉄の色が見えますか?
比色分析とは色を分析する方法です。色が見えなければ分析はできません(可視域の場合)。ではどうするか・・・魔法の薬を使って鉄に色を付ければいいのです。この、溶液中の目的物質に色を付ける魔法の薬を「発色試薬」または「呈色試薬」といいます。水道水中に鉄が多いほど色が濃く(吸光度が高い)、少ないほど色が薄くなります(吸光度が低い)。各成分ごとにいろいろな発色試薬が用意されているので、分析成分によって使いわけます。

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検量線

標準液の吸光度を測定して検量線を作成します。横軸が濃度、縦軸が吸光度です。標準液を、鉄の濃度の低いものから順番に測定して、濃度と吸光度をプロットすると下図のようなグラフができます。これが「検量線」です。通常は検量線は直線になります。
標準液の測定が終わって検量線が引けたら今度はサンプルを測定します。測定すると、濃度はわかりませんが吸光度の値が得られます。検量線を見てください。縦軸の吸光度から濃度がわかりました。 定量分析ではこのようにしてサンプルの濃度を決定します。

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