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日立ハイテクサイエンス

欧州連合(EU)による電子・電気機器の特定有害物質の使用制限“RoHS指令”が改正され、規制対象物質にフタル酸エステル類4種が新たに加わった。一般消費者向け電子・電気機器は2019年7月から、医療機器は2021年7月から基準値を超える規制対象物質を含む製品が欧州市場で販売できなくなる。電子・電気機器とそれに搭載する部品・材料を生産する企業は、改正後のRoHS指令に対応した管理体制の構築が迫られている。日立ハイテクサイエンスは、フタル酸エステル類を迅速・簡単に測定できる加熱脱離質量分析計「HM1000」を発売した。改正RoHS指令に対応した効果的かつ効率的な管理体制を構築するうえで、欠かせないツールになりそうだ。

 これまでのRoHS指令の規制対象物質は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6種だった。改正後には、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)も対象に加わり、これらの含有量が1000mg/kg以上の製品が販売できなくなる。
 今回追加されたフタル酸エステル類は、電線被覆、電気絶縁テープ、医療器具、包装用フィルムの塩化ビニルを軟化させる可塑剤として使われてきた。その他、ゴムや接着剤などにも含有している可能性がある。

環境規制への対応は経営課題

北原武夫氏
ブラザー工業
製造センター 生産革新部
環境製品グループ
エグゼクティブ・エキスパート
北原武夫氏

 製品の生産と輸送のリードタイムを考慮すると、準備期間は1年余りしか残されていない。改正前のRoHS指令では、摘発で市場からの退場を余儀なくされた事例が実際に数多くある。関連製品を販売する企業は、自社製品へのCEマーキングの貼付、適合宣言書と技術文章の作成保管とともに、適合状態維持に向けた評価・監査を含む管理体制を整える必要がある。
 ただし、どこまでの管理体制を構築すればよいのか測りかねている企業は多いのではないか。それは、こうした規制への準拠に関わる作業が、市場参入の条件ではあるものの、製品の価値向上には直接つながらない付帯作業であり、コスト上昇の要因だからだ。
 機器メーカーは、部品や材料のサプライヤーに規制対象物質の使用の有無や評価手段をヒアリングし、報告書の提出を求めるだけでも規制をクリアできるかもしれない。しかし、ブラザー工業 製造センター 生産革新部 環境製品グループ エグゼクティブ・エキスパートの北原武夫氏は、「安易なコスト意識で、規制順守の手綱を緩めれば、取り返しのつかない事態が起きる可能性があります」と強調する。
 実際、対応しているはずのケーブルの結束バンドに規制対象物質が含まれていて発見後対応し、事なきを得た事例があったという。結束バンド等の付属品は、ケーブルの製品そのものではないため、見逃しやすい。そのため、どのような材料に含有しているのか把握しておく必要がある。こうした不測の事態が原因でも、規制対象物質の含有が見つかれば、自社ブランドは毀損してしまう。

フタル酸エステル類を定期的にスクリーニングできる手段を提案

管理体制のミッシングパーツ

 日立ハイテクサイエンスのHM1000は、改正RoHS指令への準拠を迫られる多くの企業にとって、待望のツールである(図1)。これまでフタル酸エステル類を、工場で簡単にスクリーニングできる手法はなかった。
 改正前の規制対象物質は、蛍光X線分析計を使って5分から10分で簡単に検出できた。フタル酸エステル類のような高分子化合物の検出には、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)が必要になる。ところが、その測定装置は高価なうえに扱いが難しく、測定結果の分析にも高度なスキルが求められた。しかも、サンプルから検出対象物質の抽出に最も速い方法でも30分を要し、さらに測定時には高価で安定調達に不安を抱えるヘリウムガスの使用が欠かせなかった。つまり工場での定期的な検査に利用できる分析手法ではなかったのだ。
 北原氏は「改正RoHS対応には、スループットが高く、ランニングコストを抑えられ、なおかつ海外工場でも簡単に運用できる分析方法の登場が必須でした」という。

待望のスクリーニング装置が登場

 HM1000は、迅速・簡単にフタル酸エステル類を検出できる、これまでにない特徴を持った加熱脱離質量分析計である。
 1サンプルの測定に要する時間は10分以下で、標準搭載のオートサンプラーを使って50個のサンプルを約8時間で連続自動測定できる。また、サンプリングから測定までの作業は専用ソフトウエアで自動化され、専門知識がなくてもフタル酸エステル類の有無を判定できる。さらに、ヘリウムガスも不要であり、ランニングコストを従来比1/10に削減できる。
 迅速な測定ができる理由は、サンプルから気化させた被測定物質の分子構造を壊すことなくイオン化し、直接質量分析しているからだ。測定作業の流れと、測定原理は図2の通り。

フタル酸エステル類検査装置「HM1000」の測定原理

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HM1000は専門知識がなくても、工場で進捗と分析結果を確認しながら、短時間でフタル酸エステル類の有無を判定できる

的場吉毅氏
日立ハイテクサイエンス
営業本部 マーケティング部
主任技師
的場吉毅氏

 まず、約0.2mgにカットしたサンプルを置き、測定を開始すると、オートサンプラーがサンプルを1つずつ取り上げて測定器の中へセット。サンプルは加熱され、フタル酸エステル類を気化させる。
 ここまでは、従来のGC/MSと変わりないが、ここからHM1000独自の手法を使う。従来のGC/MSでは、電子をぶつけて被測定物質の分子をイオン化させて、質量分析する。この方法では、分子が分解してしまい成分を同定できない。このため、気化させた成分をカラムに通過させ、移動速度の違いを利用してまず成分を分離。その後イオン化させて質量分析していた。
 これに対しHM1000では、気化後すぐにプロトンを付加させてイオン化し、そのまま質量分析する。この方法ならば、被測定物質の分子構造を維持できるため、質量分析だけで分子量と成分量を測定できる。ヘリウムガスやカラムなど高価な消耗品も不要だ。
 「GC/MSで精密測定した結果とHM1000の測定結果には明確な相関が見られ、測定精度も十分です」と日立ハイテクサイエンス 営業本部 マーケティング部 主任技師の的場吉毅氏は言う。日立ハイテクサイエンスは、2013年に日立ハイテクノロジーズの分析部門とSIIナノテクノロジーが合併してできた企業であり、HM1000は、熱分析に強いSIIと質量分析に強い日立ハイテクの技術を融合させて完成した装置である。改正RoHS対応の厳格な管理体制を支える測定装置として、無二の存在であるといえる。

 

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的場吉毅氏

日立ハイテクサイエンスは、改正RoHS指令に関わる動向と最新分析技術を解説した「環境規制物質セミナー2017」を、9月から10月にかけて東京、大阪、名古屋で開催した。改正RoHS指令対応への関心の高さを反映して、いずれの会場も満員、講演では活発な質疑応答が行われた。関係各社の対応への検討が、着々と進んでいる様子が垣間見えた。

株式会社 日立ハイテクサイエンス
本社営業部門(東京) 050-3131-6844 /大阪営業所 050-3131-6973 /名古屋営業所 050-3131-6974
http://www.hitachi-hightech.com/hhs/

  • * 本ページの内容は日経エコロジー12月号に広告として掲載されたものです。
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製品情報

このページで紹介されている「フタル酸エステル類検査装置 HM1000」の製品情報、測定事例をご紹介しています。
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フタル酸エステル類検査装置