イオングループの一員として、「ジャスコ」や「サティ」など複数の店舗ブランドを九州全域に展開するイオン九州株式会社様。地域の人々の生活を応援する企業です。本社は福岡で店舗数は96店舗(2010年10月1日現在)。社員数1万人以上を誇り(※)、九州にしっかりと根付いた経営を行っています。追求するのは徹底した顧客志向の実践。「顧客満足業」を旗印に、グローバルとベストローカルを融合させた“グローカル”な経営を行っています。
そんなイオン九州株式会社様は、2003年にWeb会議システムを導入。拠点間のコミュニケーションを充実させ“店舗によってばらつきのあったサービスの質の向上”を目指すとともに、九州中から店長が集まる集合会議にかかるコストを削減するのがその狙いでした。
しかしそのシステムは画質・音質面で問題があり、かろうじて相手が誰か認識できる程度。全店舗の接続状態・出席者確認に30分以上も費やし、しかも途中で音声や画像が途切れるために、いつもストレスをかかえながらの運用でした。当然、期待していた効果は上げられず、逆にコミュニケーションの質は低下する一方。Web会議システムは敬遠される存在となってしまいました。
「Lifesize」が“高いクオリティ”と“多地点接続”を実現
そこで必要視されたのが新しいシステムの導入でした。求めるのは「高いクオリティの画質」と「多地点接続に対応できるネットワーク品質」。単に集合会議をTV会議に置き換えるだけでなく、“店舗間のコミュニケーションをさらに充実させ、顧客満足度の向上へつなげていける”ソリューションだったのです。
イオン九州株式会社様は当初、他社製のハイビジョン対応テレビ会議専用システムを第一候補として考えていました。「Lifesize」とは違ったプロトコルで、確かに画像はきれい。しかし96店舗という多地点接続が上手くいくのかなど、検討項目も少なくありません。そこでイオン九州株式会社様は、従来からITシステムおよびネットワークのサポートを任せている株式会社富士通マーケティング様に相談し、その流れから「Lifesize」も選択肢の一つとしてあげられるようになりました。
日立ハイテクノロジーズは株式会社富士通マーケティング様と協力し、イオン九州株式会社様の拠点をタイプ別に分類して「Lifesize」を中核としたハイブリッド型のシステムを提案しました。規模の大きな「GMS」には「Lifesize」を導入し、少人数で運営している「スーパーセンター」と「ホームワイド」には他社製のビデオ会議ソフトを用いたPCベースの環境を構築(※)。MCUには Web会議システムとの親和性の高い他社製のものを採用するというものです。これこそニーズに最もマッチしたテレビ会議システムだと判断したのです。
この提案に対してイオン九州株式会社様は、ニュートラルな立場からの最適なシステム提案に好印象。東京・芝にあるハイテクビジョンテクノセンタを見学していただく機会もあり、技術サポート体制に関しても安心感を持っていただきました。TV会議の品質は、ハードやソフトだけでなくネットワーク環境も大きく関係してきます。システム構築からネットワーク設定、サポートまで含めたトータルでの対応力と信頼性を高く評価して、それを決め手として「Lifesize」の採用が決まりました。
そして、いよいよ導入。2009年9月1日に、96店舗同時に本部からの一斉接続です。猶予は約1ヵ月で、短期間におよそ100店舗の完全接続というかなり高い技術的ハードルです。しかし日立ハイテクノロジーズの導入実績面からも「任せても大丈夫」と判断いただき、プロジェクトはしっかりと進んでいきました。
そして当日、社長の挨拶から始まった全体会議は無事に終了し、「テレビ会議専用端末49台・会議用PC51台・MCU4台・運用管理ソフト」で構成されるイオン九州株式会社様の新テレビ会議システムがスタートしたのです。その後少しの間は想定外の問題も発生したものの、日立ハイテクノロジーズの経験を生かした迅速な対応で、「日立ハイテクを選んで間違いなかった!」とまで言っていただけました。
導入から1年で「Lifesize」はおよそ1億円の経費削減を実現し、イニシャルコストを回収しました。また自動車などでの移動が少なくなることでCO2削減にも貢献。さらに嬉しいことには“小売業ならではのテレビ会議システムの活用法”がどんどん誕生しているということです。
TV会議室に設置された書画カメラ
たとえばデリカテッセンの担当者会議では、「Lifesize」とセットで導入した書画カメラでお弁当を画面に映し食材の盛り付け方などをみんなで研究し、商品のより魅力的なアピールの仕方を検討しています。またファッションショップの担当者会議では、各店舗で最も売れている商品を画面で紹介しながら商品の特徴や売れている理由などを他担当者にプレゼンテーション。名称や型番だけでは分からない衣料品のイメージを的確に掴むことに利用しています。
このように各店舗からの情報が隅々まで行き渡ることで、各店舗ではより高い販売力を実現することができるのです。
さらに教育・研修に関しても「Lifesize」は大活躍です。1ヵ月に1回程度の集合会議での研修は、どうしても多くの情報を短時間で詰め込むこととなります。しかしテレビ会議では、業務の合間に教育研修を行うことが可能。
たとえばバイヤー主催の売場マネジャー会議にコミュニティ社員(パートタイマー)が参加することで、バイヤーは販売員に直接商品のレクチャーを行うことができます。旬の情報をすぐに接客にいかすことができるわけです。経験の浅いパート社員にも直接話しかけられることで、同じレベルの教育が実現することが、全社的な品質向上に大きく役立っています。
当然店長や正社員、コミュニティ社員などがお客さまと接する時間が増え、店舗に
おける高い顧客満足度は以前にも増して加速しています。
各店舗でフル活用されている「Lifesize」
現在「Lifesize」の運営は、日単位・時間単位でワークスケジュールをしっかりと決めて、部門ごとに毎週必ず会議を行う体制をとっています。これにより生産性と効率はアップし、社員の日々の活動に大きなプラスを実現。移動の時間もなし。スケジュールが決まっているので会議がダラダラと長引くこともなし。交通費削減という数字で示すことのできるものだけにとどまらず、全ての社員が多くのメリットを享受しているのです。
経費削減だけでなく、“商品のセールスポイントや販売方法のヒントを各地域の担当者が自分の店舗にいながらにして手に出来る環境”を構築する「Lifesize」。イオン九州株式会社様の今後の計画としては、PCベースのWeb会議をHD対応の仕組みにすること、そして録画機能によるオンデマンド配信への対応を考えているとのこと。利用する社員たちからもいろいろと活用法のアイデアがささやかれており、「Lifesize」にはさらなる期待がかかっています。
「顧客満足業」としてさらに多くのお客様からの指示を目指すイオン九州株式会社様。さらなる攻めのビジネスが、ここから生まれそうです。
各拠点間で臨場感あふれるテレビ会議を実現
これまで不可能だった多くのことが、実現できるようになりました。
経費削減はもちろん、「Lifesize」はこれまで不可能だったまったく別のコミュニケーションを実現してくれます。PCベースのシステムはお手軽ですが、そのぶんある程度からは発展しません。その点テレビ会議システムは投資額は大きいけれど、リターンが全く違うと思いますね。大げさにいうと、企業力を生む攻めのビジネスも実現してくれるのです。
経営管理本部 情報システム部 部長
菅原 宏樹 氏
移動にかかる時間をお客さまに向けることができ、CS向上に。
「Lifesize」は臨場感が違います。それぞれが遠くに離れていても「一緒に会議をやっている」という実感があります。集合会議と違いテレビ会議は“会議を業務の中に自然に組み込める”というメリットがあります。小売業はお客さまと相対することが重要。会議のために移動にかかる長い時間を犠牲にしなくていいのもありがたいですね。
経営管理本部 情報システム部 情報管理グループマネジャー
松山 忍 氏
イオン九州株式会社様
本社:〒812-0016 福岡市博多区博多駅南2-9-11
イオングループの一員として、「ジャスコ」「サティ」「ホームワイド」「スーパーセンター」などの店舗ブランドを九州全域に展開。「顧客満足業」の使命のもとに、イオンのグループシナジーやスケールメリットを生かしながら、地域の特性に応じた店づくりでお客さまの生活を支えています。