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TCFD提言に基づく情報開示 :戦略

気候変動対応への戦略

当社グループでは、脱炭素経済への移行に伴い、ビジネス上の課題が顕在しうるか、1.5℃シナリオと4℃シナリオのそれぞれにおいてシナリオ分析を行いました。経営への影響度を大・中・小に分類し、また日立環境イノベーション2050の最終年度にあたる2050年を「長期」、2030年を「中期」、中期経営計画にあたる2024年を「短期」として3事業を対象としました。

*対象とした3事業のシナリオ分析の詳細(事業環境予測、取り組み)については、以下をご覧ください。

短期・中期・長期の期間

気候変動のリスクと機会の検討にあたっては、検討期間を「短期」「中期」「長期」の3つに分類し、それぞれを次のように定めています。 

分類 期間 設定根拠
短期 3カ年 2022~2024年度までの3カ年(「2024中期経営計画」に合わせて3年間の環境活動を定めた「2024環境行動計画」によるマネジメント期間)
中期 2030年度まで 日立環境長期目標2030年度目標に合わせ2030年度まで
長期 2050年度まで 日立環境長期目標2050年度目標に合わせ2050年度まで

リスクと機会の影響度

定義気候変動のリスクと機会の検討にあたっては、影響度を「大」「中」「小」の3つに分類し、それぞれを次のように定めています。

影響度 定義
事業が停止する、または事業の大幅な縮小や拡大につながる影響がある
事業の大幅な縮小や拡大にはつながらないが、事業に影響がある
ほとんど影響がない

選択した気候シナリオ(移行リスク)

気候変動緩和に向け、社会からの要請や政府の規制がどのように進展するかについて、さまざまなシナリオを確認し、3つのシナリオを選択しました。

区分 シナリオ名 説明
1.5℃シナリオ IEA「SDS」 IEAの主要シナリオの一つ。気候変動に対応しつつ、エネルギーの安定供給も加味したシナリオ
4℃シナリオ IEA「STEPS」 IEAの主要シナリオの一つ。パリ協定にて誓約された2020年以降の各国削減目標や気候変動対策をベースにしたシナリオ
IEA「CPS」 2015年半ば時点の実施措置が公式に採用されている政策のみを考慮し、これらの政策が強化されずに持続すると仮定したシナリオ

IEA: 国際エネルギー機関/International Energy Agency

選択した気候シナリオ(物理リスク)

気候変動に伴う気象災害の頻度や影響がどのように変化するかについて、IPCCの「共有社会経済経路(SSP)」シナリオを確認し、1.5℃と4℃のシナリオを選択しました。

区分 参考値 想定する将来環境
1.5℃シナリオ SSP1-1.9 持続可能な発展の下で、工業化前を基準とする昇温(中央値)を2℃未満に抑える気候政策を導入。21世紀後半にCO2排出正味ゼロの見込み。
4℃シナリオ SSP5-8.5 化石燃料依存型の発展のもとで気候政策を導入しない高位参照シナリオ
1850〜1900年を基準とした世界平均気温の変化

気候変動に関する主なリスクと機会

気候変動関連の事業リスクについては、前述の設定したシナリオの条件に基づき、環境省の「気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド」に沿って検討しました。

  1. 1.5℃シナリオの途上に起こる「脱炭素経済への移行関連リスク」
  2. 4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」
脱炭素経済への移行関連リスク(1.5℃)
カテゴリー 主なリスク リスクが
現れる時期
主なリスクへの対応
政策および法規制
  • GHG排出量規制の強化や炭素税導入による対応コストが増加するリスク
短期

長期
  • 事業拠点における再生可能エネルギーの活用と第三者機関によるCO2排出量開示値の検証
  • 事業拠点における環境設備投資の促進およびプロセス改善による省エネ推進と日立インターナルカーボンプライシングの導入(14K\/t-CO2で算出)
技術
  • 高い環境性能を持った製品を開発できない場合、売り上げ機会を喪失するリスク
  • 環境負荷を低減する技術開発投資により製品開発コストが増加するリスク
短期

長期
  • 環境配慮設計(エコデザイン)の強化、および製品の環境負荷を低減する技術開発による省エネルギーで高効率な製品開発の実現
  • 基盤技術の共通化と認定済み部品の採用拡大等による設計開発効率の向上によるコスト低減
市場
評判
  • お客様における高い環境性能を持った製品への需要移行に伴い、対応が遅れた場合に売上機会を喪失するリスク
  • お客様からの製造におけるCO2排出削減ニーズへの対応が遅れた場合に売上機会を喪失するリスク
短期
中期
  • 市場ニーズの的確な把握、それに基づく環境に配慮した製品の促進
  • 事業拠点におけるカーボンニュートラル化
  • 部材サプライヤーとともに、CO2排出量開示とクリーンエネルギー比率拡大の取組み推進
気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク(4℃)
カテゴリー 主なリスク リスクが
現れる時期
主なリスクへの対応
急性的
慢性的
  • 気象災害に伴い事業拠点やサプライチェーンが被害を受け、製品製造が滞り売上減少となるリスク
短期
中期
  • 新工場立地の評価において、気象災害による被害を考慮する
  • サプライチェーン上の被災リスクを考慮し、パートナー企業とともにBCPを構築する
気候変動シナリオに基づく機会
カテゴリー 主な機会 主な機会への対応
製品・サービス
  • お客様における製品使用時のエネルギーを削減する省エネ化、高速化、小型化等に基づく新製品/サービスの提供による売上げ増加の機会
  • パートナーとの顧客価値向上に向けたソリューション開発および提供による売上げ増加の機会
  • 気候変動や新たなパンデミックなどへの対応ニーズに対するソリューション提供による売上げ増加の機会
  • 中長期的な視点に基づく環境配慮設計(エコデザイン)の推進
  • 市場ニーズの継続的な把握およびニーズに適合した製品およびサービスの開発
資源効率
  • 事業拠点における生産合理化やDX化などによる事業運営コスト低減の機会
  • 事業拠点における環境設備投資およびサーキュラーエコノミーの推進
エネルギー
  • 事業拠点における省エネ設備や再エネ設備の投資およびプロセス改善による事業運営コスト低減の機会
  • 日立インターナルカーボンプライシング制度導入による環境設備投資の促進
  • エネルギーマネジメントの推進

下記3事業におけるシナリオ分析の詳細(事業環境予測、取組み)を説明します。