-半導体デバイスのプロセス評価・不良解析の効率向上に貢献-
2015年11月5日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:宮﨑 正啓/以下、日立ハイテク)は、透過電子顕微鏡(TEM*1)観察における微小試料の作製技術(マイクロサンプリング®)を自動化し、本技術を活用した新たなマイクロサンプリング®システムを開発しました。本システムにより、ユーザーの技術レベルに依存しない試料作製を実現するとともに、微細化が進む半導体デバイスの構造評価や故障解析での高精度・高効率な計測が可能となり、半導体デバイス製造における生産性向上に貢献します。
マイクロサンプリング®とは、半導体ウェーハなどから観察箇所を含むミクロンレベルの微小試料を、集束イオンビーム(FIB)と精密プローブ*2を用いて摘出する技術です。摘出後にFIBによる薄膜加工を行うことで、TEMでの高分解能観察・高精度解析が可能となります。日立グループは、1999年、本技術を活用したマイクロサンプリング®システムを世界に先駆けて発売し、現在、先端材料の解析や半導体デバイスのプロセス評価・不良解析に世界中で利用されています。
マイクロサンプリング®は、FIB加工による(1)表面保護、(2)周辺加工、(3)底部切断の工程と、精密プローブ操作を伴う(4)プローブ接着、(5)支持部切断、(6)摘出、(7)TEM試料台への固定、(8)プローブ切断の工程から成ります(図1)。(1)~(3)のFIB加工工程は既に自動化が実現していますが、(4)~(8)の精密プローブ操作工程は、ユーザーが全ての工程を手作業で行うとともに、三次元で高精度に位置を制御する必要があるため、熟練した操作技術が求められていました。
図1 マイクロサンプリング®全工程
新たなマイクロサンプリング®システムでは、(1)~(3)FIB加工工程に加え、
(4)~(8)精密プローブ操作工程を自動化
今回新たに開発したマイクロサンプリング®システムでは、これまで(4)~(8)の精密プローブ操作工程において自動化の課題となっていたプローブの先端位置の自動認識に対し、当社が長年培ってきたビームテクノロジーと独自の画像処理・マッチング技術を用いることにより、精密プローブの高精度な自動位置制御を実現しました。これにより、精密プローブ操作工程を自動化し、熟練した操作技術を必要とせず容易にTEM観察用の微小試料の摘出を可能としました。
さらに新しいマイクロサンプリング®システムでは、複数の加工位置と摘出試料の固定先を事前登録することで無人連続運転を行うことができるため、処理数の増加による解析スループット向上を実現し、半導体デバイスの歩留まり向上や量産体制の早期立ち上げに貢献いたします。
本発表内容は、11月11日(水)から13日(金)まで千里ライフサイエンスセンター(大阪府豊中市)で開催される「第35回ナノテスティングシンポジウム(NANOTS2015)」でご紹介する予定です。
また自動化したマイクロサンプリング®システムは、日立ハイテク製FIB-SEM*3複合装置への適用を計画しています。
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