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Hitachi High-Tech

High School+

岡山県立玉野高校岡山県立玉野高校

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日本各地で科学を学ぶ高校生たちを訪ねる本コンテンツ。第2回は岡山県立玉野高校を訪問し、自分たちが関心のあるテーマを掲げて、伸び伸びと科学研究を行っている高校生のみなさんにお話を伺いました!

玉野高校は、1939年(昭和14年)創立の日比高等女学校と、1941年(昭和16年)創立の玉野中学校を前身に持つ、歴史と伝統ある学校です。文系Ⅰ類、文系Ⅱ類、理系の3つの類型を持つ普通科高校で、現在、434人の生徒さんたちが学んでいます。玉野高校では、科学への学習意欲や関心を高め、将来、科学者として活躍できる人材を育成するために、科学研究実践活動推進プログラムを実施しています。

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瀬戸内海に面する玉野市に位置し、天狗山の麓に建つ校舎。屋上から現代アートの聖地と名高い「直島」が望める、風光明媚な地です。
4年ぶりに東京都内で20cm超の積雪を記録したこの日は、全国的な雪模様。パラパラと降り始めた雪が、心に残る出会いを予感させます。

理系2年生川合泰知くん
理系2年生森廣義孝くん

とある漫画の舞台にもなったという校舎。中庭を囲む外廊下を歩いていき、教室の扉を開けると、2年生の森廣義孝くんと川合泰知くんが机をはさんで向かい合い、何やらひそひそ作業をしています。

2人がやっていたのは「チリメンモンスター探し」。チリメンモンスターとは、チリメンジャコに混じった稚魚やエビ、カニなどの小さな生物のことで、略して「チリモン」。大阪府岸和田市のきしわだ自然資料館が、夏休みのイベントで実施したのをきっかけに、手軽に海の生き物に触れられると全国に広まりました。実習用の試料として販売されている、まだ選別されていないチリメンジャコを紙皿に広げ、チリモンを探します。

長い時だと3時間もチリモン探しに没頭するという2人。さすがに集中力が途切れそうですが、「カニの赤ちゃんのハサミが見えたり、サワラの歯のギザギザが見えたり、多様な生物を観察できるのが面白い!」と川合くん。産地や収穫時期によって、見つかるチリモンの種類や量が異なるそう。「その違いから、産卵時期や稚魚の生息域など、海の生態系が見えてきます」と、森廣くんも楽しそうに話します。

目標は、チリモンの楽しさを、幅広い世代に知ってもらうこと。各地からチリモンの画像を集め、日本全国のチリモン図鑑を完成させたい!とのこと。
近い将来、海の不思議を解き明かす貴重な発見が生まれるかもしれません。

  • 目を凝らさないと見えないほど小さなチリモン。こちらはタコの赤ちゃんです。
    ほらほらあったよ、とうれしそうに川合くんに見せる森廣くん。

  • アジ、サワラ、タチウオ、シャコ、カニ、ヨウジウオ、タツノオトシゴなどなど。
    ひとつの袋の中にこんなにもたくさんのチリモンが混ざっています。

理系2年生久志友香さん

次に向かったのは体育館。体育館に入ると、どこからかフワフワした物体が落ちてきます。見上げると2年生の久志友香さんが手を振っていました。久志さんが行っていたのは「タンポポの綿毛の研究」です。

この何とも可愛らしい研究を久志さんが始めたのは、中学の時の自由研究がきっかけだとか。「タンポポの綿毛に幼い頃からすごい興味があって、なんであんなふうにフワフワと飛ぶのかなって」。そこで久志さんは、身近な物を使って、タンポポの綿毛が飛行する様子を再現するという研究を始めました。

高校でも同じ研究を続けているのは、中学時代の久志さんの発表をたまたま見ていた担任の藤田先生が誘ったから。藤田先生は、玉野高校の科学研究を支える大切な存在です。全国の発表会に生徒さんたちを連れ出しては、そこで企業や大学の先生方と出会い、研究活動のサポーターを増やしていきます。日立ハイテクノロジーズが無償で貸し出した卓上電子顕微鏡もそのひとつです。

「電子顕微鏡で観察して初めて、タンポポの綿毛はこんな構造になっていたんだとわかり、感動しました」と久志さん。タンポポの綿毛は花の中心から斜め上方に伸びており、中は空洞で、表面に無数のトゲがあるそうです。そこで気泡の入ったポリエチレンのシートを使って、傘が逆さまになったようなモデルを作成。落下時間を計測すると、タンポポの綿毛に近い結果を得ることができたのです。

  • 電子顕微鏡の観察画像。左から綿毛の付け根、綿毛のアップ、綿毛の断面。

  • 久志さんがつくった歴代モデル(写真左)。中学時代から綿毛にトゲがあることには着目していたが、
    なかなかタンポポの落下速度に近づかなかったとか。やっと行き着いたモデルは、ふわりと落下する。

「中学時代にできなかったことが達成できて、すごく充実感があります」と久志さんは目を輝かせます。将来は文房具づくりに携わりたいとか。ひとつのことを諦めずに追求する姿勢は、必ずモノづくりに活かされることでしょう。

文系2年生藤井直哉くん
文系2年生入船力也くん
理系2年生星島大輝くん

校舎を一通り回り、最後に向かったのは実験室。2年生の星島大輝くん、藤井直哉くん、入船力也くんの3人が実験の準備をしています。彼らが研究しているのはなんと「超伝導体」。超伝導体とは、特定の条件下で電気抵抗がゼロになる物質のこと。その上に磁石を乗せると、重力に逆らうようにふわりと磁石が浮かびます。興味津津で見ていると、星島くんは理科の先生のように化学式を交えて原理を教えてくれました。「これは、イットリウム系酸化物高温超伝導体と言いまして」。話を聞いていると、とっても難しそうですが…。

通常2日かかる超伝導体の合成時間を2時間に短縮するのが、3人の研究テーマです。試料の質量や加熱時間、冷却時間を変え、さまざまなパターンを試し、現在、4時間まで短縮することに成功したそうです。原理は難しいですが、実験自体はとても楽しく、液体窒素のモヤの中を磁石が浮く様は本当に幻想的!
「電子顕微鏡などの特別な機械を使って実験できるのが楽しい。化学物質を混ぜて固めて、電気炉で焼いて、まるで料理しているみたい」と星島くん。子どもたちの理科離れが叫ばれて久しい昨今、3人は小学生でも楽しめるような実験方法を考えています。

  • 920℃または430℃という高温で一定時間焼成し、自然冷却した試料を電子顕微鏡で確認!
    結晶の画像を見て、どんな条件下で超伝導体が合成できるのかを確認します。

  • 合成した試料の上に-196℃の液体窒素をかけ、ネオジム磁石を置くと…磁石が浮かび上がりました!
    これが超伝導体になっている証だそうです。

実は、藤井くんと入船くんは文系で、理科が苦手だそう…。それでも研究に参加しているのは、藤田先生の存在が大きいと言います。「これだけの機材を用意してくれたり、大学の先生から直接指導してもらえたり、こんな経験は他の学校ではできない」と先生への感謝を語ります。先生の熱意と、生徒のみなさんとの信頼関係。それが、探究心を育む原動力になっています。

こちらは、残念ながら当日参加できなかった2年生の柏谷啓太くんの研究です。作家の緻密な計算と、偶然が組み合わさって焼き色がつくと言われる「備前焼」。柏谷くんは、その神秘的な美しさを科学の力で解き明かそうとしています。
「陶土でつくったプレートの上に植物を置いて焼くのですが、植物によって色が変わります。さらに植物の乾燥状態によっても色が変わるのが不思議!」と柏谷くん。その研究は、美術館館長を務める大学の副学長からも注目されているとか。柏谷くんの研究から、備前焼に新たな作風が生まれるかもしれません!

  • プレートの上に木炭を置き、さまざまな温度設定で焼成する実験では、
    1,200℃で灰が溶け、ガラス状になっているのが確認されました。

  • プレートの表面を電子顕微鏡で観察すると、結晶になっているのがわかります。
    左は灰が溶け黄色い釉薬状になった箇所、右は陶片が赤く発色した箇所の観察画像です。

取材を終えて

生徒さんたちが自ら研究したいテーマを考え、専門家のアドバイスをもらいながら自主的に研究に取り組んでいる姿に感心しました。たとえこの先、同じ研究を続けていかなかったとしても、大きく育った探究心は、必ず将来の役に立つことでしょう。
印象的だったのは、お会いした生徒さんが全員、科学研究実践活動推進プログラムの中心的存在である藤田先生への感謝の言葉を語っていたこと。また先生自身も心から楽しんでおられるようでした。探究心の赴くままにいろんな所に顔を出していけば、サポーターが増え、世界が広がっていく。夢を実現するための方法を先生自らが実践して、その背中を生徒さんたちに見せているように感じました。

※本文中の情報は、2018年1月当時のものです

※チリモン(チリメンモンスター)は株式会社カネ上の登録商標です(登録第5272412号・登録第5217723号)

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