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「日立ハイテクサイエンスの森」
50年先見据え、敷地内の森と草原を元の生態系に再生

循環型社会 自然共生社会 生物多様性保全

地球上には多様なたくさんの生物がいますが、気候変動の影響や自然環境の悪化に伴い、生物多様性は刻一刻と失われつつあります。過去50年で世界の生物多様性は68%も減少しました(出典:「生きている地球レポート2020」)。こうした生物多様性の課題解決に貢献しようと、日立ハイテクグループは2015年、日立ハイテクサイエンス富士小山事業所(静岡県小山町)内に整備した「日立ハイテクサイエンスの森」で、「生物多様性プロジェクト」を開始しました。研究開発施設を取り囲む約4万4000平方メートルにおよぶ樹林や草地を在来のものに再生し、50年かけて元々あった生態系を回復させる試みです。2020年12月には、生物多様性を評価するJHEP認証制度(※)で、最高位となる「AAA」を取得しました。

※ JHEP制度
「事業前の過去」と「事業後の将来」における生物多様性の価値を比較することで、その差を評価・ランク付けし、認証する制度。自然の量・質を過去よりも減らさない(ノーネットロス)、または向上させる(ネットゲイン)事業を行っていることを明示する日本唯一の認証制度
「日立ハイテクサイエンスの森」で植樹活動に参加した従業員ら
「日立ハイテクサイエンスの森」で植樹活動に参加した従業員ら

「森の整備を始めてから、シカやイノシシなどの大型動物が姿を見せるようになりました。どんぐりの実から育てた苗木も、すくすく育っています。それまであまり森の様子を気にしていなかったのですが、生物多様性プロジェクトに参加するようになって、自然や生態系の豊かさを実感しています。仕事の休憩中に森の中を歩くと、気分転換にもなりますね」

日立ハイテクサイエンス富士小山事業所で、生物多様性プロジェクトに参加する小山総務課長の田代秀也は、森の様子を笑顔で語ります。

分析・計測装置の開発・製造を行う富士小山事業所は、目の前に富士山が広がる、自然に囲まれた開放感あふれる日立ハイテクの研究開発拠点です。

この施設を取り囲むように広がる「日立ハイテクサイエンスの森」に足を一歩踏み入れると、腐葉土の地面がふかふか。木漏れ日がきらきらと光り、耳を澄ませば、シジュウカラやコゲラの鳴き声が聞こえてきます。

なぜ生態系の回復をめざすのか

「日立ハイテクサイエンスの森」がめざす姿(生態系ピラミッド)
「日立ハイテクサイエンスの森」がめざす姿(生態系ピラミッド)
出典:公益財団法人日本生態系協会 

日立ハイテクグループは2015年、人と自然が共に豊かになる未来をめざし、「日立ハイテクサイエンスの森」で「生物多様性プロジェクト」を開始しました。研究開発施設を取り囲む約4万4000平方メートルにおよぶ樹林や草地を、約50年かけて、かつてその地域にあった生態系を回復させ、人々との暮らしと共にあった里山として再生しようというものです。

すべての生命の生存基盤である環境は、生物の多様性が健全に維持されることによって成り立っています。この生物多様性を守ることは、地球上の生命と暮らしを支える基盤を守ることともいえます。

日立ハイテクグループでは、大きく分けて次の3つの活動を行っています。

既存人工林の広葉樹林化

人工的に植えられたスギ・ヒノキの針葉樹林を伐採し、跡地にクヌギ、コナラなど、地域の在来植物の苗木を植樹し、広葉樹林へ移行させていきます。苗木は敷地内で採取したどんぐりを育てたものです。広葉樹を増やし、光を採り入れた森にしていくことで、他の草木が育ち、昆虫や野鳥も集まる森になります。

ススキ草地の再生

敷地内のススキの親株を掘り起こし、子株に切り分け、芝生の草地の一部に移植。人工的に刈り込んでいた芝生の草地をススキなど在来の草はらにしていきます。

外来植物の駆除

在来の自然環境や野生生物に深刻な悪影響を及ぼす外来植物を定期的に駆除します。

「2065年」の森の未来、日立ハイテクが描く

熱心に植樹作業を行う従業員ボランティアら
熱心に植樹作業を行う従業員ボランティアら
植樹したどんぐりの苗
植樹したどんぐりの苗

「2065年はいまの子どもたちが大人になったころ。今は小さな苗木でも、きっと大きくなっているはず。未来に向けて、豊かな生物多様性を残していけたら」(田代)

日立ハイテクグループが2015年に活動を開始し、6年が経過しました。スギやヒノキの人工林から、クヌギ・コナラを中心とした広葉樹林に徐々に転換し、イロハモミジ、ムラサキシキブ、ヤマボウシといった高中低木種の苗木の植樹も進んでいます。

ススキが生い茂り、外来植物も駆除しながら、生態系の保全・回復に向けた活動は着実に成果を上げています。

こうした努力が実を結び、2020年12月、生物多様性保全の取り組みを定量的に評価する日本国内唯一の第3者認証制度「JHEP認証」で、最高位となる「AAA」を取得しました。

(当初)=スギ・ヒノキの人工林(ピンク色箇所)が多く、生物多様性の観点からはあまり価値が高くないものが占めていました
(当初)=スギ・ヒノキの人工林(ピンク色箇所)が多く、生物多様性の観点からはあまり価値が高くないものが占めていました
(現在)=計画通り人工林が伐採され、跡地に地域の在来種が植えられていること、ススキの草地も順調に群落ができていることが確認されました
(現在)=計画通り人工林が伐採され、跡地に地域の在来種が植えられていること、ススキの草地も順調に群落ができていることが確認されました

環境教育やイノベーションの創出にも貢献

生物多様性プロジェクトでは、日立ハイテクサイエンスだけではなく、日立ハイテクグループ全体で活動を推進しています。2018年からは、従業員ボランティアやその家族、地域住民の協力を得て、これまでのべ152人が参加しました。

こうした取り組みは、生物多様性の保全に貢献するだけではなく、グループを超えた従業員同士のつながりやモチベーション向上にもつながっています。さらに再生した豊かな自然環境が創造力を向上させ、革新的なアイデアを生み出し、高度な科学技術製品が世に出て行くことで、広く社会に貢献していくことも期待されます。

地域の学校の環境学習の場としても活用されています。日立ハイテクサイエンス富士小山事業所では、近隣の未就学児童の敷地内受け入れを積極的に行い、豊かな自然環境に身近に触れる機会を提供しています。

また、小山町内の小・中学生が町を知り、誇りを持ってもらうきっかけにする「ふるさと金太郎博士」事業とも連携。2018年には、近隣の小中学生とともに植樹祭活動を実施することができました。

日立ハイテク環境推進部の菅原一成は「さらにこの広大な敷地の樹林が2065年に向けて維持保全されることで、元々その土地にあった生態系が回復し、ニホンリスやコゲラ、コミスジといった森の生き物たちが生息する豊かな自然と、従業員や地域住民が共生する未来をめざしていきたい」と展望を語ります。

日立ハイテクグループでは、「人と自然が共に豊かになる未来」をグローバルな生物多様性保全活動の共通コンセプトと設定しています。当社の強みである「観察、測定、分析・評価」のプロセスを通じて、「日立ハイテクサイエンスの森」をはじめとするそれぞれの活動拠点で、従業員や地域住民とともに「ありたい未来像」に向けた取り組みを推進していきます。

人と自然がともに豊かな未来を目指す日立ハイテクグループ
人と自然がともに豊かな未来を目指す日立ハイテクグループ
2021-03-01

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