高感度型示差走査熱量計 DSC7000X

TA7000熱分析シリーズに最上位モデルとしてDSC7000Xが新たに加わり、熱分析装置のラインナップが充実しました。近年、エネルギー分野に代表される最先端材料の開発や医薬品などの分野では、わずかな試料で、より高感度で信頼性の高い測定ができるDSCが求められています。これらのニーズに対して日立ハイテクサイエンスでは、世界トップレベルの感度とべースラインの安定性・再現性に優れた高感度型示差走査熱量計「DSC7000X」を開発しました。
DSC7000Xに搭載の新技術
DSCの心臓部であるセンサーを基本設計から一新しました。熱電対を多重化することによって、センサー感度を大幅に向上させています。また、中心熱流方式の採用により、ヒートシンクからサンプルとリファレンスへ均一かつ安定したヒートフローを実現。DSCの基本性能を極限まで高めました。
New Sensor
最新のシミュレーション技術を駆使し、加熱炉の構造を最適化。低熱容量の金属三層断熱壁により、ベースラインの変動を極力抑えることで優れた安定性と再現性を実現しました。新ファーナスによって、冷却性能も大幅に向上。低温まで正確な温度制御を実現しました。また全自動ガス冷却ユニット(液化窒素冷却)と電気冷却ユニットを簡単に交換することができます。

DSC7000X 4つの特長
DSC7000Xの4つの特長をご紹介します。詳細は以下からご覧ください。
(1)高感度と優れたベースラインの安定性・再現性
DSC7000Xの最大の特長である世界トップレベルの感度とベースラインは、センサーとファーナスを新たに開発することで実現しました。これまで分析が困難だった小さな現象を「みえる化」します。
【高感度】

【ベースライン再現性】

(2)向上した温度追従性
最新のシミュレーション技術を駆使、ヒートパスに金属素材の熱伝導特性を利用することにより、電気冷却ユニット使用時の温度範囲を拡大し、冷却追従性も向上させる事ができました。
【電気冷却システム】 温度追従性


【全自動ガス冷却システム(液化窒素)】 温度追従性


(3)簡便な冷却ユニット交換
温度範囲と測定目的に合わせて、電気冷却ユニットと全自動ガス冷却ユニットをお客様でも簡単に交換することができます。

(4)優れた拡張性とオプションラインナップ
用途・目的にあわせた冷却機の選択はもちろん、PC上で流量設定とガスの切り替えができるマスフローを内臓でき、信頼性の高いルーチン測定を提供するオートサンプラは後からでも装着することが可能です。さらに、近年のニーズが高まっている光照射装置を付属することで光化学反応熱測定にも対応、試料の様子を観察しながらDSC測定できるオプションも用意しています。

- 電気冷却ユニット(-80~500°C)
- 全自動ガス冷却ユニット
- (-150~725°C)
自動空冷ユニット(RT~725°C)

- オートサンプラー(最大50サンプル搬送)


- マスフロー2ch(F.S.200mL/min)
- マスフロー1ch(F.S.200mL/min)
- ガスコントロールユニット(ガス切り替え)

- 光化学反応熱
- 試料観察オプション リアルビュー
応用事例/高感度測定
DSC7000Xの優れた感度とベースラインを活かし、微量試料を測定した事例を紹介します。以下よりご覧ください。
(1)微量ポリスチレン
わずか0.1mgでポリスチレンのガラス転移を捉えたチャートです。従来はベースラインの湾曲等で小さな変化を捉えることができませんでしたが、DSC7000Xでは明確に検出することができました。

(2)医薬品 カルバマゼピン
日本薬局方では3mgと規定されていますが、医薬品では貴重な試料が多く、極力少ない試料での測定が求められています。ここでは、カルバマゼピン0.03mgでも明確に相転移のピークが観測できました。

(3)たんぱく質 リゾチーム希薄溶液
タンパク質や食品試料は反応が小さい事も多いため、特別なDSCを必要としていました。DSC7000Xは、いつも通りの測定でリゾチーム希薄溶液の熱変性による吸熱ピークが捉えられました。

(4)Liイオン電池用セパレータ
短絡防止のためにLi(リチウム)イオン電池内で使用されている18µmの極めて薄いセパレータを1mm角に切って測定した結果です。10µgという通常では測定することが困難な極少試料でも、セパレータの融解ピークをクリアに捉えることができました。

DSC7000X 製品ラインアップ
熱分析 製品ラインアップ よりご覧ください。