キャッサバ(タピオカ)デンプン添加バイオプラスチック
日立ハイテクで開発中のバイオプラスチックは、キャッサバ(タピオカ)デンプンを添加したバイオプラスチックです。成形性が良く、従来の成形条件で成形できます。バイオプラスチックを適用することにより、一般的な石油由来プラを適用する場合に比べて、CO2排出量(特に、GHGプロトコルのスコープ3 カテゴリー1及び12)の削減が期待できます。
ラインナップ;バイオマスPP, ABS
バイオマスPPは、用途に応じた様々なラインラップを準備しております。メインは、バイオマス度25%(重量比換算)としております。主要グレードは以下となります。
- 高靭性グレード(射出用)
- 高流動性グレード(射出用)
- 低流動グレード(押出用)
- 食品衛生対応グレード(射出/押出用)
- マスターバッチグレード(バイオマス度50%以上, 射出/押出用)
植物由来を訴求する上では、ナチュラル色を推奨しておりますが、着色も可能です(図1)。

図1;バイオマスPP(JP-1-T25; 高靭性, バイオマス度25%)のナチュラルと白色の外観
要望に応じたカスタムグレード(例えば、抗菌グレード、防カビグレード、無機品やリサイクルPP活用グレード)の対応も可能です。さらに、主成分をバージンABSやリサイクルABSとしたバイオマスABSグレードもあります。
特徴
通常、バイオ由来材料を添加すると、剛性が高くなり、脆くなることが課題となります。一方、キャッサバ(タピオカ)デンプン添加品の特徴は柔らかいことです。そのため、高靭性を備え、ヒンジ性を有する製品に適しています。また、一部の市販されているバイオマスPPやABSは、樹脂(成形)温度が200℃以上となると焼けの発生が起こり、成形難易度は高いことが知られています。
弊社開発品は、図2に示すように、230℃までの成形温度でも焼けの発生が起こりにくく、従来のPPと同様に成形できることが特徴となります。ただし、事前乾燥(推奨は100℃4時間)は必要となります。また、ナチュラル色の場合、190℃に比べて、230℃で成形した方が色の濃さは若干増しますので、ご注意下さい。

図2;成形温度をパラメーターとしたときのJP-1-T25の成形品外観
加工例
主に、日用品や工業製品で検討されております。
成形品例1(図3);トレイ
各種グレードで成形した例です。従来のPPの成形条件を多少変更する程度で成形できております。バイオマス度25%の高靭性グレードは、曲げても折れることはありません。


図3;トレイの試作品例(5グレード)
成形品例2(図4);カードケース
ヒンジ性が必須な成形品例です。白色含めて5色の着色品の成形品例も示します。


図4;カードケースの試作品例(JP-1-T25とその着色品)