広視野ラマンスコープ RAMAN view
特長
実体顕微鏡で使われる広視野対物レンズに最適化した光学系を搭載。
広視野ラマンスコープRAMANviewは、ラマンイメージングの適用範囲を大きく広げました。
性能
「超広視野」「深い焦点深度」「高空間分解能」「超長作動距離」ーー
コンパクトな筐体に秘めた4つのバリューが、多彩なラマン分光分析を可能とします。
1. センチメートルの広視野を、ラマン分光で見る。
実体顕微鏡の対物レンズに最適化した光学系を搭載したRAMANviewは、極めて広い観察視野を備えます。1cm以上の大きな試料でも、全体像をしっかり観察して測定部位を選択。電動ステージによる時間のかかるイメージングではなく、超高速なレーザービーム走査を採用し、大面積観察と高速性能を完璧に両立させました。
広視野ラマンイメージングの視野サイズの例


対物レンズの倍率と、イメージング視野の関係

2. ピント合わせを不要にする、深い焦点深度。
RAMANviewの焦点深度は、約1.8mm(0.5倍対物レンズ使用時)。試料表面に1mmや2mmの高低差があっても、ピント合わせを気にせずラマンイメージングできます。この深い焦点深度は、バルク測定にも威力を発揮。測定場所によるバラツキや、ポリ袋などの薄い層の影響を受けずに、バルクのスペクトルを得ることができます。
深い焦点深度をいかしたイメージング例

対物レンズの倍率と、焦点深度の関係

3. 顕微ラマンのレベルに迫る、高い空間分解能。
高い空間分解能が求められる分析シーンでは、高倍率レンズが威力を発揮します。右のデータは、直径1ミクロンのダイヤモンドビーズを2倍の対物レンズでイメージングしたデータです。点線に沿ったピーク強度プロファイルより、2.5ミクロンの空間分解能が発揮できていることが分かります。局所領域の微粒子のイメージングや数%の低含量物質の検出も、RAMANviewなら簡単に測定できます。
RAMANviewの空間分解能評価

右)ピーク強度プロファイル。
RAMANviewとRAMANforceでの空間分解能の比較(SiC結晶多形の分布イメージング)


■4H-SiC ■6H-SiC
4. 測定シーンを広げる、超長作動距離。
RAMANviewの作動距離は約7cm(0.5倍対物レンズ使用時)。深い容器の底にある試料にもレーザービームが届くため、ラマン分光測定の適応シーンをさらに広げます。レンズから測定面までの距離がゆったり取れるため、サンプルと対物レンズがぶつかる心配もありません。窓材越しの測定や容器の中身の測定にも対応できます。
高さ45mmのバイアル瓶に入った試料の測定

右)顕微ラマンでは破損の恐れあり!
対物レンズの倍率と、作動距離の関係

分析事例
広視野ラマンスコープ RAMANviewは、ラマンイメージングの空間スケールの常識を変えます。
そこには、まったく新しいアプリケーションの世界が広がります。
1. 錠剤の高速ラマンイメージング分析
表面に1mm程度の高低差(カーブ)がある錠剤表面のイメージングは、まさにRAMANviewが得意とするところ。およそ1cm角の範囲を、わずか14分でラマンイメージングできます。0.5倍のレンズを使えば焦点深度はさらに深くなり、錠剤側面のイメージングも可能です。
湾曲した錠剤表面と側面の高速ラマンイメージング

測定条件(左)
励起波長 : 532 nm
対物レンズ : 1x
画素数 : 202 x 202 pixel
測定 : 14 min

測定条件(右)
励起波長 : 532 nm
対物レンズ : 0.5x
画素数 : 99 x 192 pixel
測定 : 8 min

■アセトアミノフェン ■エテンザミド ■無水カフェイン
ブリスターパック内の錠剤の測定もOK!
ブリスターパック内の錠剤は表面を削ってフラットにすることができません。固定もできないのでわずかな振動で揺れてしまいます。RAMANviewの深い焦点深度とレーザービーム走査なら、そんな条件下でも測定が可能です。
励起波長 : 532 nm
対物レンズ : 1x
画素数 : 202 x 202 pixel
測定 : 14 min


2. 錠剤の高精細ラマンイメージング分析
成分の分布をきめ細かく観察したいときは、高精細イメージングモードでの測定がおすすめです。右に示したデータは、2種類の解熱鎮痛剤の表面を、高精細ラマンイメージングしたデータです。高速イメージングモードに比べると測定スピードは落ちますが、高い空間分解能で広範囲にわたる成分分布をはっきりと観察できます。特定の成分に着目して、粒径解析を行うこともできます。粒子一つひとつを楕円で近似し、長辺と短辺のヒストグラムなどを算出することができます。
解毒鎮痛剤2種類の高精細ラマンイメージング


■アセトアミノフェン ■エテンザミド ■無水カフェイン ■アリルイソプロピルアセチル尿素
成分 ■ | 成分 ■ | 成分 ■ | 成分 ■ | |
---|---|---|---|---|
製薬A | 52% |
28% |
12% |
- |
製薬B |
19% | 48% | 10% | 7% |
製剤中のカフェインの粒径解析
(製剤AとBでの比較)


楕円率ヒストグラム

面積ヒストグラム

3. 製剤中の含量1%のAPIの検出

0.5mg錠におけるAPIの分布をイメージングしたデータです。RAMANviewの2倍対物レンズは、高い空間分解能と広い測定視野を兼ね備えており、製剤中にわずかに点在する物質を逃さず検出することができます。
4. ポリ袋に入った粉末の分析

深い焦点深度はバルクの測定に最適です。ポリ袋のような薄い容器に入った試料の測定では、容器由来のピークをほとんど含まないバルクのスペクトルが得られます。もちろん、イメージング分析も簡単にできます。
5. 樹脂成形品の結晶化度の分析

ポリエチレンテレフタレートは結晶化度により1720cm-1付近のピーク(C=O)の半値幅が変化します。上の画像は、ペットボトルのネジ口から胴体部分にかけての結晶化度の違いを可視化したものです。
6. SiC結晶中の多形分布観察

SiCの結晶多形の分析例です。4H-SiC結晶上に成長させた4H-SiCと6H-SiCが観察されています。RAMANviewを用いると比較的サイズの大きな結晶やデバイスであっても、全体を一度に測定することができます。
7. ダイアモンドの結晶品質分析

ダイアモンド工具の分析例です。ダイアが1330cm-1にシャープなピークを持つのに対し、人工ダイア中のアモルファスカーボンは、ブロードなピークを持ちます。大面積のDLC膜の分析へも応用が可能です。
デザイン
そこに洗練された機能があることを示す、クリアなプロポーションとカラー。
ミニマムに絞り込まれたボディは、温度変化に左右されない高精度なスペクトル測定を可能としました。
1. デザインの追求が生んだ優れたユーザビリティ

矩形や円柱を組み合わせたクリアなプロポーションは、シンプルな操作性と洗練された性能を象徴しています。

装置の横幅はわずか30cm。設置スペースの確保に頭を悩ませることはありません。

シンプルを極めたミニマムデザインは、ステージの周囲にゆったりとした作業スペースを創り出しました。

機能美の追求はスライド式の遮光カバーに帰結。カバーを下まで降ろせば、サンプルに360°どこからでもアクセスできます。

マウスホイールに連動してステージが上下動し、ピント合わせも楽々。

レンズから観察面までの距離(作動距離)は、たっぷり7センチ(0.5倍対物レンズ使用時)。対応できる分析シーンを広げます。
仕様
高い基本性能を発揮する高品質な532nmのレーザーと、蛍光回避に有効な671nmをラインナップ。
ラインナップ豊富な対物レンズで、多彩な分析シーンに対応できます。
1. おもな仕様
おもな仕様 | |
---|---|
レーザー波長 | 532 nm、671 nmから選択 |
対物レンズ |
0.3倍、0.5倍、0.8倍、1.0倍、1.6倍、2.0倍から選択 |
照明 |
LEDリング照明 |
分光器の焦点距離 |
350 mm |
グレーティング |
600 gr/mm、1200 gr/mm、1800 gr/mm、2400 gr/mmから選択 |
2. おもな性能
対物レンズ 0.5倍 | 対物レンズ 1倍 | 対物レンズ 2倍 | |
---|---|---|---|
視野(顕微鏡像) | 25.6 × 34 mm |
12.8 × 17 mm |
6.4 × 8.5 mm |
ラマン画像測定範囲 |
25 × 25 mm | 12.5 × 12.5 mm |
6.2 × 6.2 mm |
空間分解能 |
12 μm |
6 μm |
3 μm |
作動距離 |
70.5 mm |
60 mm |
20 mm |
スペクトル測定範囲 |
100~3200 cm-1 ※ (オプション50 cm-1~) | ||
スペクトル分解能(FWHM) |
3 cm-1@2400gr/mm, 5 cm-1@1200gr/mm, 9 cm-1@600gr/mm |
||
スペクトルピクセル分解能 |
1 cm-1@2400gr/mm, 2 cm-1@1200gr/mm, 4 cm-1@600gr/mm, |
3. 本体寸法と質量
本体寸法と質量 | |
---|---|
サイズ(W×H×D) | 300 × 610 × 720 mm (ペースプレート含む) |
質量 | 35 kg (ペースプレート含む) |

関連情報
ラマン分析機器に関する測定例、測定手法を、会員制情報検索サイト「S.I.navi」でご提供しています。
閲覧には会員登録が必要です。
本製品に関するのコンテンツ(情報・資料・画像等)の著作権は、ナノフォトン株式会社が保有します。ナノフォトン社の許可なく複製、転用、販売などの二次利用を禁じます。