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日立ハイテク
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科学遺産

「液体クロマトグラフィー科学遺産」と「分析機器・科学機器遺産」における、日立ハイテクグループの受賞製品をご紹介します。

液体クロマトグラフィー科学遺産

公益社団法人日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会において、2018年度より開始した認定制度です。「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す、と定義されています。

2020年

835形日立高速アミノ酸分析計

株式会社日立ハイテクサイエンス
「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。認定第3号となった「835形日立高速アミノ酸分析計」は、1977年に発売が開始され、下記に示す新技術、新機能により、我が国における代表的なアミノ酸分析計となった。

835形日立高速アミノ酸分析計

1962年に発売された日本初のアミノ酸分析計日立KLA-2形の遺伝子を受け継ぎつつ、コンパクトな床置き型にデザインを刷新した。
835形の開発・上市は1977年であり、世界中を騒がせた世に言うニューネッシーをサメの一種であると特定し、印象的なデビューを果たした。
ステンレス鋼カラムを採用し、20 MPa級のHPLC方式高速アミノ酸分析計となった。 ポストカラム誘導体化ニンヒドリン法の反応検出系を最適化する事により、KLA-2形の感度を1,000倍向上させた。
競合製品とは異なるタイプの特色ある陽イオン交換樹脂を用いる事により、高速・高分離化を達成した(タンパク質加水分解物分析法で50分間を実現)。
ワンカラムでの分析、溶離液タイムプログラムを磁気媒体に記録する等の革新性が高く評価され、アミノ酸分析計としての国内シェアは50%を超えた。
最先端を目指す開発姿勢は、最新型のLA8080日立高速アミノ酸分析計AminoSAAYAにも継承されている。
これらの先駆的な機能を有した「835形日立高速アミノ酸分析計」は日本も含め世界のHPLCの発展に多大な影響を与え、液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

分析機器・科学機器遺産

2016

SSC/560型 高感度示差走査熱量計

東京工業大学 物質理工学院
SSC/560は1978年に第二精工舎・科学機器事業部(現日立ハイテクサイエンス)にて開発され、製造販売を開始した熱流束型DSC製品である。アナログ制御が主流であった温度コントローラに世界で初めてマイクロコンピュータを採用、多彩な温度プログラムの設定と制御を可能とし、その後の熱分析技法の発展に寄与した。DSCセルはU型とS型の2種を有し、前者は温度範囲:-150~120°C、最高感度:0.025 mcal/s/フルスケール(105 µW/フルスケール)、後者は温度範囲:-150~500°C、最高感度:0.3 mcal/s/フルスケール(1.26 mW/フルスケール)の性能であり、当時のDSCとして世界のトップレベルの感度を有した。

SSC/560型 高感度示差走査熱量計

2015

日立705形自動分析装置

株式会社日立ハイテク
1970年代後半から、臨床検査数は急激に増加し、臨床検査の自動化が望まれていた。一方、70年代までの自動分析装置の技術では小型化が難しく、検査室に設置するためには広いスペースを必要としていた。また、分析項目ごとに測定に必要な試薬用のチューブが複数配管されており、保守点検が複雑で操作も難しく、大学病院や検査センター以外の多くの病院では生化学の自動分析装置導入は困難な状況にあった。
705形自動分析装置は、試薬分注ノズルが2本と単純な構成でありながら複数の分析項目の測定を可能とし、設置面積の大幅なコンパクト化、メンテナンス性が飛躍的に向上した。また、モニター画面で分析条件の指定と登録が可能なユーザーインターフェイスを搭載し、容易な操作性を実現した。
さらに 、分析条件の柔軟性を高めたターンテーブ ル・ランダムアクセス方式により、日立独自の全反応過程測光など多くの革新的な技術を採用し、自動分析装置のデファクトスタンダードとして世界中の顧客に使用されてきた。
その結果、705形自動分析装置は、酵素、脂質、血糖以外に、微量蛋白の測定など幅広い検査項目に対応することができ、緊急検査室や薬物検査、人間ドックなど、臨床検査業務の主要な領域に自動分析装置の活躍の場を広げた。これにより世界中の多くの病院に導入され、80年代の臨床検査の普及による診断支援の向上に大きく貢献した。

日立705形自動分析装置

2014

電子顕微鏡HU-2型

名古屋大学博物館
HU-2型は日本で最初の本格的な磁界型電子顕微鏡である。本標本(NUM-Ta00037)は、1942年に日立製作所で製造された2台のうちの1台で、名古屋帝国大学の工学部研究室に設置された。製造当時の電子レンズはコンデンサレンズ、対物レンズ、投射レンズの三段構成だったが、実験研究のため投射レンズが追加された。電子顕微鏡には高圧電源、陰極加熱電源、レンズれい磁電源などが必要だが、それらの部分の多くは失われている。
電子線の発生には鏡体内の電子線通路及びカメラ部を高い真空にする必要がある。そのため、真空ポンプとして、油回転ポンプと油拡散ポンプが使われている。これらのポンプは性能向上のため取り替えられているため、製造当時のものではない。
HU-2型は1955年ころまで稼働し、医学部や理学部などとの共同研究を行うなかで、電子顕微鏡のノウハウが蓄積され、名古屋大学の超高圧電子顕微鏡(加速電圧300~500 kV以上)の研究開発につながった。

電子顕微鏡HU-2型

HU-11B形 日立電子顕微鏡

東北大学
本透過型電子顕微鏡(以下TEM)は、1966年2月に東北大学科学計測研究所に設置された。1969年にTEMの格子分解能0.88 Å(0.088 nm)を記録し、当時、ギネスブックに掲載された。また、1971年にはウルトラミクロトームを用いて作製したアスベスト繊維の超薄切片試料の超高分解能写真から、同心円状や多重らせん状となっていることを解明し、アスベスト繊維の微細構造の解明に寄与した。
日立TEMの商用1号機は、1942年12月の「HU-2」であるが、東北大学科学計測研究所には、1949年に日立HU-5(日立の商用8号機)が納入されており、本TEMは同研究所に1966年2月10日に出荷され、日立の累積1,000台目のTEMである。出荷の際には、日立那珂工場で記念式典が催された。
HU-11形は1959年に発売され、1973年までの14年間にマイナーチェンジを繰り返し、国内外に累計731台納入されたロングセラー機である。さらには、1965年に日本で初めてTEM用のWDX(波長分散型分光器)が付属装置として発売されるなど、科学技術の発展に寄与した。

HU-11B形 日立電子顕微鏡

2013

170-70形 日立偏光ゼーマン原子吸光分光光度計

株式会社日立ハイテク
170-70形 日立偏光ゼーマン原子吸光分光光度計は試料を炭素炉内で加熱し、発生した原子蒸気の光吸収によりµg/L(ppb)レベルの金属類の濃度を測定する装置である。試料に磁場をかけて吸収線を分裂させることによりバックグラウンド補正を行う、ゼーマンバックグラウンド補正方式を採用した国内初のモデル。従来の重水素ランプバックグラウンド補正に比べて補正能力が優れており、当時公害問題にもなっていたカドミウム、ヒ素、鉛等の重金属汚染の測定に威力を発揮した。現在のゼーマン原子吸光光度計の先駆けとなった装置である。

170-70形 日立偏光ゼーマン原子吸光分光光度計

2012

日立分光光度計 139形

株式会社日立ハイテク
139形は、1961年に日立製作所と米国Perkin-Elmer(PE)社との製品相互補完を目的に結ばれた技術提携により開発した低価格なシングルビーム紫外可視分光光度計である。一番の特長は、技術導入による回折格子を分散子として採用したことにより、高性能(高分解、低迷光)かつ高安定性を実現したことである。
光源、分光器、試料室、受光部がブロック式で構成されており、吸光分析に限らず、付属装置を組み合わせることにより、炎光、発光、蛍光測定など、多種多様の応用測定が可能である。
また、本製品はPE社のワールドワイドな販売網による海外進出を開始した最初の分光光度計であり、食品・環境・化学分野の研究や品質管理、臨床検査など幅広い分野で使用され、約8000台を出荷したベストセラー機である。以後、139形の設計思想は、臨床検査分野向けに発売された101形分光光度計(約2万台出荷)を筆頭に、100シリーズ、U-1000/1100形を経て、現在発売中のU-5100形分光光度計に引き継がれている。

日立分光光度計 139形

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