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技術機関誌 SI NEWS日立ハイテクノロジーズ

分光蛍光マイクロスコープ「EEM® View」
—反射光・蛍光画像の分離表示による可視化観察を実現—

Fluorescence Spectrophotometer with CMOS Camera System "EEM View"
(Simultaneous Reflectance and Fluorescence Analyzer with Sample Imaging)

堀込 純

はじめに

分光蛍光光度計は、白色光をプリズムや回折格子などで単色光に分けて試料に照射して生じた蛍光をさらに単色光に分けて検出することで、蛍光物質の性質や濃度の測定を行う装置です。
近年、LED照明やディスプレイなどさまざまな用途に用いられる蛍光材料の小型化・高精細化が進んでおり、分光蛍光光度計による電子材料や工業材料の性能や特性の評価に対し、より高精度な測定へのニーズが高まっています。
今回開発した分光蛍光マイクロスコープ「EEM® View」は、積分球とCMOSカメラを組み合わせることで、世界に先駆けて(*1)分光画像とスペクトルデータの同時取得を実現した分光蛍光光度計専用測定システムです(図1)。
分光蛍光光度計から照射される単色光を光源に、積分球で照明を拡散化することでムラ無く試料に均一照射してCMOSカメラで画像を取得し、AI技術を応用した計算アルゴリズム(*2)により、蛍光成分と反射成分の画像の分離表示を可能としました。さらに、取得した試料画像を25分割した際の、区画ごとの拡大表示や蛍光・反射スペクトルデータも取得できます。従来、分光蛍光光度計では、試料全体の平均的なスペクトルデータの取得に留まっていましたが、「EEM® View」を用いることで反射・蛍光スペクトルを可視化し、画像による蛍光発生部位の把握や特定箇所のスペクトルデータの取得が実現でき、より高精度な蛍光物質の評価が可能となります。

図1 分光蛍光マイクロスコープ「EEM® View」システム外観
図1 分光蛍光マイクロスコープ「EEM® View」システム外観

【主な特長】

  1. 各照明条件(白色光と単色光)における画像の取得が可能
  2. 新開発の解析アルゴリズム(*2)により蛍光画像と反射画像を分離表示可能
  3. 画像より、区画(最大25区画)ごとのスペクトル化(*2)(蛍光スペクトル、反射スペクトル)が可能
【主な仕様】
照射波長 360 nm~700 nm
カメラ カラー(RGB)CMOSセンサー
撮影可能波長 380 nm~700 nm
最大有効画素数 1,920×1,200(H×V)
主な機能 EEM測定 単色光画像撮影 白色光撮影

解析ソフトと応用例

EEM® Viewにて測定した試料画像と三次元蛍光スペクトルは、専用の解析ソフトウェアでデータの閲覧・スペクトル解析が可能です(図2)。ファイル一覧より閲覧・解析したいデータを選択するとデータが表示されます。スペクトルデータとしては、三次元蛍光スペクトルおよびトレースバーで切り出された励起スペクトル、蛍光スペクトルが表示されます。画像データとしては、励起波長に合わせて撮影された画像がサムネイル一覧で表示されます。画像サムネイルで選択した画像は拡大画像として確認できます。表示された拡大画像に対し、5×5の区画領域で蛍光・反射スペクトルの算出が可能です。区画を選択すると、選択した区画のスペクトル重ね書きおよびトレースバーの波長のデータリストの表示がされます。
例えば、図2に示す測定においては、蛍光体が実装された白色LEDでは蛍光体の輝度ムラを画像と蛍光スペクトルにて確認することができます。

図2 EEM® Viewの解析画面
図2 EEM® Viewの解析画面

次にLEDによる面発光照明に応用される蛍光体が塗布された樹脂シートを測定した例を示します(図3)。この例では、蛍光体の凝集、分散状態を評価しました。サンプルに入射光として、360~640 nmの単色光を照射して試料の蛍光特性を取得しました。EEM® Viewモードでは、この時、同時に各照明条件における画像を取得します。蛍光体が塗布された樹脂シートの白色光照明下での画像を取得し、反射成分・蛍光成分に分離した画像を算出しました。蛍光成分に分離した画像にて塗布状態の確認が可能です。同時に、反射スペクトル・蛍光スペクトルの確認ができます。

図3 シートの撮影画像と算出スペクトル
図3 シートの撮影画像と算出スペクトル

図4に塗布状態が異なる箇所の撮影例を示します。蛍光成分に分離した画像にて塗布状態のムラを確認できます。更に、区画ごとに算出された蛍光スペクトルより、強度のばらつきの評価が可能です。今回、ムラが確認された試料では、中央部で輝度が高い画像が取得されました。スペクトルについても、ピーク強度が15%程度高いデータが得られました。

図4 蛍光体塗布樹脂シートの撮影画像と算出スペクトルによる塗布ムラ確認
図4 蛍光体塗布樹脂シートの撮影画像と算出スペクトルによる塗布ムラ確認

まとめ

「EEM® View」は、日立ハイテクサイエンスが販売している分光蛍光光度計F-7100に搭載し使用します。試料のスペクトルデータとCMOSカメラによる蛍光・反射画像の分離表示データの同時取得を実現し、より高精度な測定が求められている材料・医薬品・食品など幅広い分野における研究開発や品質管理をサポートします。
日立ハイテクサイエンスは、「EEM® View」の蛍光分析への活用により、微細測定ニーズが高まるLEDやディスプレイなどの電子材料や工業材料分野をはじめ、食品検査分野やライフサイエンス、バイオテクノロジー分野など、幅広い分野での研究開発や品質管理に貢献してまいります。

(*1)
日立ハイテクサイエンス調べ(2018年12月時点)。
(*2)
計算アルゴリズムは、国立情報学研究所 佐藤 いまり 教授・鄭 銀強 准教授との共同研究により開発したもので、蛍光・反射画像分離および区画ごとの蛍光・反射スペクトルの算出に用いられている。
  1. EEM:励起蛍光マトリックスを指し、励起波長・蛍光波長・蛍光強度を三次元表示し、物質の蛍光特性を表す分析データ。三次元蛍光スペクトル、蛍光指紋と呼ばれることもある。
  2. “EEM®”は、株式会社日立ハイテクサイエンスの日本国内における登録商標です。

著者紹介

堀込 純
(株)日立ハイテクサイエンス 光学設計部

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