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Hitachi

株式会社 日立ハイテクノロジーズ

違法薬物捜査を支援するポータブル質量分析計を開発

-スピーディで高精度な質量分析で薬物捜査の信頼性向上に貢献-

2012年5月23日

株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:久田 眞佐男/ 以下、日立ハイテク)は、覚醒剤や麻薬などの違法薬物の捜査現場に持ち込むことができ、スピーディで高精度な薬物検出を可能にした、ポータブル質量分析計(*1)のプロトタイプを開発しました。

平成23年警察白書によると、2010年中の薬物事犯の検挙人員は14,529人と、年間1万人を超える状況が続いています。このうち80%以上を覚醒剤事犯の検挙人員が占め、覚醒剤の密輸入事犯の検挙件数も高水準であるなど、薬物情勢は依然として深刻な状況にあります。
さらに近年、覚醒剤等に化学構造を似せて作られた物質を含有する物品を販売する店舗等が増加しています。このような状況から、違法薬物の取締りのため、迅速かつ正確な違法薬物の検出方法が必要とされています。
その中でも、違法薬物の本鑑定にも使用されている質量分析計は違法薬物の検知性能が高く、様々な種類の違法薬物にも対応できるなど、他の検出手法よりも優れた方式として以前より注目されていました。しかしながら、一般的な質量分析計は、装置の質量が100kg以上あり、操作にも専門知識が必要であるなど、違法薬物の捜査現場で使用できるような装置ではありませんでした。

日立ハイテクは、理化学分野で長年培ってきた技術である「質量分析技術」を新たな事業に展開するために、質量分析計の小型軽量化、迅速化、簡便化に取り組んできました。そしてこの度、文部科学省の科学技術振興調整費および科学技術戦略推進費による「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」において、警察庁 科学警察研究所(所長:福島 弘文)および国立大学法人山梨大学(学長:前田 秀一郎)、神戸学院大学(学長:岡田 豊基)、株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明)研究開発本部と共同で、捜査現場に持ち込むことができるポータブル質量分析計のプロトタイプを開発しました。

本装置は、新開発の超小型質量分析モジュールや超小型高感度イオン源、測定試料を間欠導入することで大幅に軽量化した真空排気系などによって質量を約10 kgまで軽減し、内蔵バッテリーで約1時間動作させることができます。また、独自アルゴリズムを用いて、試料に含まれる覚醒剤や合成麻薬(MDMA、MDA)などの違法薬物を、測定開始から5分以内に自動的に検出し、検出された違法薬物名を画面にわかりやすく表示します。また、自動タンデム質量分析機能(*2)を搭載しており、検出が困難な尿中の覚醒剤や合成麻薬を、0.1 ppm(1000万分の1の濃度)まで検出することができます。

ポータブル質量分析計プロトタイプの外観(左)と表示画面(右)
ポータブル質量分析計プロトタイプの外観(左)と表示画面(右)

日立ハイテクは、将来の事業の柱となる新事業を創生するスキームとして、2009年度よりCプロ(Challenge/Corporateプロジェクト)制度をスタートしました。今回開発したポータブル質量分析計はこのCプロ制度を活用した事業化第一号となります。
今後は、2012年度中にポータブル質量分析計を製品化し、違法薬物捜査に関係する行政機関と協力して、捜査現場での実証検証を行っていくとともに、安全・安心な社会を実現するために質量分析技術を応用するという、新たなソリューションビジネスをグローバルに展開していきます。

今回開発したポータブル質量分析計のプロトタイプの詳細については、2012年6月4日(月)から9日(土)まで、静岡県浜松市で開催される「TIAFT2012(国際法中毒学会第50回大会)」および「第96次日本法医学会学術全国集会」において、論文発表やセミナーでご紹介する予定です。

*1
質量分析計:測定試料の分子などの粒子をイオン化して、そのイオンを真空内で電界や磁界によって質量分離することで、試料の成分を分析する装置。
*2
タンデム質量分析:質量分離して取り出した特定の質量のイオンを、電界などを加えて衝突させて破壊して、破壊されたイオンを更に質量分離することでイオンの分子構造を推定し、より正確に試料の成分を特定する手法。

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