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上下水道ソリューション
安心・安全な水インフラ守る日立ハイテクの「目」

健康と安全・安心 生産現場の効率化

蛇口をひねればおいしい水の出る水道、安心して水を流せる下水道――。私たちの生活を支える上下水道という社会インフラを維持するため、日立グループは長年、上下水道施設の機械・電気設備を手がけてきました。その中枢となる監視システムの一端を、日立ハイテクソリューションズが担っています。安心・安全な水を安定的に供給するという使命感のもと、先進技術の開発で社会に貢献する「上下水道ソリューション」について紹介します。

安全で安心な水を安定的に供給する

各家庭にきれいな水を供給できるように日立ハイテクソリューションズの監視制御システムが監視する
各家庭にきれいな水を供給できるように日立ハイテクソリューションズの監視制御システムが監視する

私たちが利用する水道水は、河川などの水源から取水され、浄水場でろ過や消毒をされた後、配水池を通って供給されます。その各過程で、水の濁りを計る濁度計やアルカリ度計、残留塩素計などの機器によって水質が確かめられます。それらの水道用計測機器を手がけているのも日立ハイテクソリューションズです。

「安全で安心な水を安定的に供給するという大前提に沿ってソリューションを提供しています。川から取ってきた水をきれいにして最終的に各家庭に配るまで、ポイントポイントで水がきれいになっているか、消毒量が適正かどうか。また、配水池のタンクが空になって断水しないように、水がどれだけあるかも常に計っておきます」

こう説明するのは、日立ハイテクソリューションズ制御システム事業ユニット技師の佐々康二です。

水の濁りは、雨の有無や温度で変動します。そのため、日立ハイテクソリューションズは、川から取った水は濁り度合いが大きいので通常の濁度計で計り、浄水場から出てきた水は濁りが少ないため高感度の濁度計で最終チェックするなど、2種類のセンサーを使い分けています。

こうした計測データは常にコンピューターで管理し、異常があれば施設の運転員に知らせなくてはなりません。そのための機器を「監視制御装置」と呼びます。

監視制御装置は1970年代ごろからさまざまな機器で構成されてきました。コンピューターの小型化とともにダウンサイジングされ、ネットワーク技術の発達によって広域に点在する施設のデータを通信回線で集めて、集中監視できるようになりました。

「それでも、今までは各施設に人が張り付いて画面を監視する必要がありました。しかし、今はタブレット機器などによって施設の外でもデータを見られます。人は休んでも、水道の水は止められません。何かあったときにタブレットで確認でき、対応の緊急度の判定と対応策を確認できることは、運転面のサポートにつながっています」(佐々)

自治体で進む深刻な人手不足

厚生労働省によれば、日本の水道で供給される水(有収水量)は2000年をピークに減少し、2070年には半減すると試算されています。背景には急激な人口減少があります。

水道事業の運営費は原則、水道料金で賄われています。しかし、人口減少に伴い給水量が減少し、水道事業の収益が減少することで、水道事業の経営状況はますます厳しくなっていきます。

また、水道事業に携わる職員数は、ピークの1980年代と比べて現在は約3割減少。特に小規模事業体では職員数が著しく少ないことが課題になっています。

「遠隔監視の技術などが求められる背景にはこうした事情があります」と指摘するのは、同じ制御システム事業ユニット副部長の矢橋正寛です。

「私たちが多く手がけるのは、給水人口5000人以下を対象にした簡易水道施設の機器。そのクライアントである市町村では、団塊世代の退職で水道職員がどんどん減っています。町や村では、家は点在し、配水池などがいろいろなところに分散しています。昔なら人手をかけて昼夜交代で監視したり、現場を1件1件車で回ったりしていましたが、今は1人や2人の職員で対応しなければなりません。こうした現実からも、遠隔監視の技術は非常に重要となってきています」(矢橋)

遠隔監視は2000年ごろから実用化され始めましたが、当初は回線速度が遅く、十分には活用できませんでした。やがて通信技術の発達で回線速度が速くなり、現在はモバイル端末による監視が普及してきています。また、ネットワーク経由でサーバーから端末にデータを引き出す技術も組み合わせ、より多様でオープン、かつ信頼度の高い監視システムが実現しています。

これにより水の安心・安全の確保はもちろん、運営する自治体の業務負荷を軽減することにもつながっているのです。

広域化や官民連携の課題にも取り組む

しかし、日本の水道事業は課題が山積みです。人口減少により、特に地方では複数の自治体が連携する広域化が求められています。この流れの中で、広範囲に広がる設備をしっかり監視・運営していくためには、前述のコンピューターやネットワークの活用を含めたデジタル化による効率化を、より一層進めなくてはなりません。

デジタル化については、佐々は「日立製作所と一緒になって、できるところからやっていきます。将来的にはAI(人工知能)なども活用していくことになるでしょう」と言います。

人口減少社会の課題に対するもう一つの解決手段としては、水道事業における「官民連携」があります。日本でも包括委託からPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ:民間資金などの活用)、コンセッション(公共施設など運営)事業、そして完全民営化までのさまざまなモデルが模索されています。慎重論もありますが、避けては通れない課題です。効率化が進むことで、省エネ化や労働力不足の解決にもつながります。

これについて矢橋は「日立グループとして民営化は一つのビジネスチャンスだと認識しており、私たちも当然その下でやっていかなければならない」とし、民間ならではの技術や経験を生かして、課題解決の一翼を担う覚悟を示します。

民間といえば、水は家庭向けだけでなく、工業地帯向けの工業用水としても供給します。日立ハイテクソリューションズでは、水の使用量を正確に計るための流量計を工業用水向けに収めている事例もあります。

非常時にはグループ企業と連携

水道施設の保守管理については、グループ企業の日立ハイテクフィールディングと連携しています。日立ハイテクフィールディングは上下水道供給システムのメンテナンスも手がける拠点が全国にあり、日立製作所、特約店、日立ハイテクソリューションズと連携して予防保全およびお客さまの業務の改善、効率化など課題解決に向けたサービスを展開しています。

「私たちの監視制御装置に異常信号が上がると、日立ハイテクフィールディングに即時通知され、ユーザー自身が『壊れたので見てほしい』と伝えることもできます。『どこも人手が足りない中で非常に助かる』と言ってもらえています」(矢橋)

こうした体制は大地震などの災害時にも有効です。

災害時には、まず日立ハイテクフィールディングのチームが現場に入り、迅速な復旧に向けてのお手伝いをいたします。最近では、ゲリラ豪雨や洪水など、水に関する災害も増えていますが、「水を止めてはいけない」という使命感で活動しています。

「日本の水道は当たり前に蛇口をひねれば水が出て、水道普及率も98%を超えています。それを考えると水道を敷設するという使命は終わっていて、継続していく段階になっています。私たちがしているのは、その中でも『水をつくる』という縁の下の、影の部分の仕事。水は止めることのできないライフラインであり、人がいる限り継続することを使命としていきます」(佐々)

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2022-08-05

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