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  7. 分光蛍光光度計基礎講座 2. 分光蛍光光度計のしくみ

2. 分光蛍光光度計のしくみ

2.1 大まかなしくみ

下に一般的な分光蛍光光度計のブロック図を示します。

(1) 励起光源は試料に照射する励起光を与えるための光源で、通常キセノンランプが使われます。

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光源から発せられた白色光(いろいろな波長の光を含んだ光)は(2)励起側分光器に入射されます。励起スペクトルを測定する時はこの(2)励起側分光器を動かし、試料に照射する波長を順次変えていきます(このことをスキャンとか波長走査といいます)。逆に蛍光スペクトルを測定する時は励起側分光器は特定の波長を選択させて止めておきます。

励起側分光器から出射した光は試料を励起するため試料に向かうとともに、この一部がハーフミラーによって分割され、(3)モニタ検出器に向かいます。このモニタ検出器は試料に照射される励起光の強度を監視しています。通常は、光電管(ホトチューブ)、ホトダイオード、光電子増倍管(ホトマルチプライヤー、ホトマルともいいます)等が使われます。

さて、励起光が試料に到達すると、試料は励起されて蛍光を発します。発した蛍光は(4)蛍光側分光器に入射されます(図では省略していますがレンズで集光します)。 励起スペクトルを測定する時は、この(4)蛍光側分光器を特定の波長を選択させて止めておきます。蛍光スペクトルを測定するときは、この蛍光側分光器を動かし、どのような波長の蛍光を発しているかを測定します。

蛍光側分光器を出射した蛍光は、(5)蛍光検出器に入射します。通常は光電子増倍管が使われます。蛍光検知器は蛍光をアナログ電気信号に変換して、(6)A/D変換回路で、ディジタル信号に変換されます。
これらの波長スキャンや、ディジタル信号の処理はすべて(7)コンピュータが制御しています。

2.2 どんな部品が使われているか

次に、分光蛍光光度計の光学系統図を示します。
これらの詳しい解説はここでは省略しますが、このように精密な、多くの光学素子によって構成されています。

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2.3 性能を比べるときに注目すべきこと

装置のカタログの最終ページにはその装置の性能仕様が記載されています。ここで使われている用語の意味と数字の読み方を解説します。

  1. 感度:お客様がもっとも気にする項目です。いかに雑音の少ない滑らかなデータが得られるかの指標であり、この数字が大きいほど良い装置といえます。S/N(signal/noise)という言い方もします。しかし、この数字は感度の測定条件によって大きく変わってきます。スリット(バンドパス)、レスポンス(時定数)などの条件が同じであることを確認したうえで比較しなければ意味がありません。有利な条件で感度を測定し、カタログに掲載しているメーカーもあります。
  2. 光源:励起光源は一部メーカーを除いて、150ワットのキセノンランプを使っています。オゾンレスランプを使用すると、220 nm以下の波長の光が非常に弱いため励起光として220 nm以下の光が使えなくなってしまいます。
  3. 測定波長範囲:広いほど汎用的です。
  4. スリット:バンドパスともいいます。分光器の入口出口にあるスリットの幅を表します。スリット幅を広くすると光の量が増えるため、相対的に雑音の少ない(感度の良い)データが得られますが、スペクトルの細かいピークが判定できなくなります。狭くするとスペクトルの細かいピークが判定できますが、光が少なくなって雑音の多いデータになります。
    試料にも大きく依存しますが、分光蛍光光度計を希薄試料の定量などに使用するときは、雑音の少ないことが優先されるため、狭いスリット幅にこだわる必要はありません。
  5. レスポンス:大きいレスポンスを選ぶと、スペクトルは滑らかになりますが形がなまってしまいます。励起/蛍光スペクトルを測定するとき、スキャンスピードに応じて最適なレスポンスを選ばなければなりません。レスポンスは小さければ(速ければ)いいというものでもなく、スキャンスピードに合ったレスポンスを選ばないと、雑音が増えたり、スペクトルが歪んだりします。
  6. その他:3次元測定やりん光測定など特殊な測定はオプションソフトを使用して可能になる場合もありますが、標準でこなせるモデルもあります。

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