医用機器 お客様の声(製品導入事例)
- 聖霊病院 -
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これより先のページは、日本国内の医療関係者の方を対象に日立ハイテク製品に関する情報を提供することを目的としています。
一般の方および日本国外の医療関係者への情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
患者貢献目指す検査室へ
現場スタッフとメーカーの協力で実現
社会福祉法人聖霊会 聖霊病院(名古屋市、198床)は2022年8月から、検査室の大幅な改革に踏み切った。
信頼できるパートナーとして他メーカーを取りまとめた日立ハイテク提案を選び、現場スタッフと共に検体採取から結果報告までのプロセスを見直し、検査動線も改善した。「LABOSPECT 006」日立自動分析装置(以下、LABOSPECT 006)2台と業務支援システム「LaboQ」を中心とした機器を2023年8月に導入。
業務効率化により生まれた時間は、内視鏡の補助業務などの多職種連携、地域住民向けの健康教室などの活動につなげ、検査室の存在価値を高めている。
聖霊病院は、社会福祉法人聖霊会が運営母体で、カトリックの精神に基づき「地域医療を通して、キリストの愛をもって人びとに奉仕します」を理念に掲げている。主に高齢者急性期、周産期、緩和ケア、病診連携推進の4つの機能を担い、診療所と大学病院の間をつなぐ多機能型ハブ病院として地域医療に貢献している。
以前の検査室は、単年契約更新のFMS形式で運営していた。また、多くの装置が老朽化し、業務効率が悪いことが大きな課題となっていた。担当スタッフの役割が明確に分かれ、互いに協力して業務を進めることも少なかったという。このため、近隣の大学病院から2022年8月に転籍した今枝義博技師長が「病院の一部門として患者に貢献する検査室を目指す」として一連の改革に踏み出した。
今枝氏はまず、検査室のビジョンを「患者に貢献できる検査室」と決定。さらに現場スタッフからボトムアップで新しい検査室を構築するよう若手らに検討を促した。
一緒に改革を進めてもらうパートナー企業には他メーカーを取りまとめた日立ハイテクを選んだ。地域において病院が求められている機能を念頭に、検体採取から結果報告までのプロセスを視野に入れ、検査室全体の改善策を総合的に提案してくれる点を評価した。今枝氏は、前任の施設に勤務していた頃から日立ハイテクの対応に信頼を置いていたという。


検査プロセスを見直して改善
病院1階の検体採取と生理検査のスペースでは、備品などを整理して、採血ブースを従来の2つから4つに増やした。また、病院2階にある検査室の検体受付窓口周辺の動線を見直し、より迅速に検体を装置に載せられるようにした。また、分注が必要な検体は、従来は紙に印刷して情報共有していたが、検体にラベルを貼付する方法に変更した。
新たに導入する装置については、検査業務の効率化効果とともに、検査の収益とコストのバランスを試算して検討した。
「LABOSPECT 006」は時間当たり最大1000テスト(比色項目)の処理能力があり、幅広い検査ニーズに対応する。装置立ち上げの時間が短く、必要なメンテナンス項目を組み合わせて一括で実行できる。操作方法が分かりやすく、メンテナンスがしやすい点が特徴だ。
また、ISO 15189の要求事項や改正医療法に対応する業務支援システム「LaboQ」は、「LABOSPECT006」から得た測定結果、試薬、エラーデータなどの情報をリアルタイムにオンラインで取り込み、必要な情報を集計してグラフ化したり、帳票類を作成したりできる。装置や試薬の情報をより効率的に管理することができ、品質の担保が期待できる。
同病院は2023年8月、「LABOSPECT 006」2台と「LaboQ」を新たに導入。これにより業務が大幅に効率化した。一方で、メンテナンスは全てメーカーに依頼するのではなく、スタッフが一部を担う形にし、現状の収益に見合う契約内容にした。
このほか、全自動化学発光酵素免疫測定装置「AIA-CL1200」(製造元:東ソー、販売元:栄研化学)の導入に伴い、モノテスト試薬を採用し、試薬消耗品のロス低減やTAT短縮に貢献している。
また、生化学検査の試薬はメーカーを集約したことで、問い合わせの窓口も集約された。メーカー担当者と相談しやすい関係が構築され、トラブル発生時の早期解決につながっている。

業務効率化により多職種連携や地域貢献も
採血ブースの増設や新たな装置の導入などにより、患者の待ち時間は短縮。検体検査のTATは以前と比べて15~20分程度短縮した。
検査業務の効率化により生まれた時間で内視鏡の補助業務や院内糖尿病セミナーを開始し、多職種連携へ参画。近隣のショッピングモールで地域住民向けの健康講座も開催するようになった。
臨床検査技師の桑原舞氏は今回の「LABOSPECT 006」や「LaboQ」を中心とした機器の導入について、「検査が大幅に迅速化し、精度管理に関するデータも簡単に確認できるようになり、検査の精度に自信が持てるようになった」と話す。特に試薬のロットが変わった日やカレント試薬になった日などを簡単に把握できる点や、2台の機器間差のデータなども簡単に抽出して確認できる点を評価。現在は業務時間にも余裕が生まれ、婦人科の超音波検査も手掛けている。
今後については、「今年は電子カルテの更新に合わせてDX化を進め、生理検査や内視鏡検査を拡大して、地域の健診を引き受けていきたい」(今枝技師長)と意欲を示す。検査室から地域へと貢献の範囲をさらに広げていく予定だ。
本記事は株式会社じほう社刊 THE MEDICAL & TEST JOURNAL 2025年3月31日 第1689号を元に著作権者の許可を得て、二次使用するものです。