医療現場の新しい働き方を支える自動分析装置「LABOSPECT 006 α」
佐世保共済病院
“ボタンを押したら後は任せられる”
さらなる自動化が課題解決の一手に
業務が拡大する中で課題だったメンテナンスの標準化
滝澤 近年、臨床検査技師の業務範囲が広がっていますが、改めまして一日の業務の流れを教えてください。
稲田 当院の検査室は、患者さんから採取した検体を分析する「検体検査」と、心電図や超音波検査などの「生理機能検査」の二つに分かれており、私たちが所属する検査室では前者を担当しています。一日の流れとしては、まず分析装置の精度管理を行い、入院患者さんの検体が届いたら一つひとつ分析し、外来開始前までに結果を出します。その後、外来の患者さんが午前中から来院されるため、再び検体を分析し、最後に再度精度管理を行って翌日につなげる——これが主な流れです。
ただ、近年は臨床検査技師の人員が減少していることに加え、2024年4月から始まった「医師の働き方改革」の推進に伴い、タスク・シフト/シェア*1が進められており、各種委員会への出席やそのための資料作成など、業務の幅が広がっているのが現状です。
滝澤 日々の業務の中で、特に時間がかかっている作業や手間が多いと感じることはありますか?
稲田 精度管理業務と分析装置のメンテナンス業務です。ノズルの洗浄や洗剤のセットなど、項目が多いうえに手作業も多く、私たちの業務の中でかなりのウエイトを占めていました。
一番の問題は、メンテナンス業務が標準化されていなかったことです。ある人はこういうやり方をしているけれど、別の人は違う方法で行っている、といった具合にメンテナンス手順が統一されておらず、ローテーションを組んでいると作業や精度のズレが生じるという課題がありました。
*1これまで医師が行っていた業務を他の医療専門職に移管・共同化し、医師の負担を軽減させること
分析業務の効率化により検査技師の精神的な負担も軽減
岩永 従来使用していた装置は10年以上前のもので、そろそろ更新が必要だと感じていました。そんな折、とある学会で日立ハイテクの営業の方とお会いする機会があり、新製品がちょうど発売されたタイミングとも重なって、導入を決めました。
決め手はやはり、分析業務を効率化、統一化できる点です。先ほど申し上げた通り、検査室によって役割が異なる中で、最近では一人の臨床検査技師が複数の検査室の業務を掛け持つケースが増えています。そのため、あまり慣れていない技師がメンテナンスを担当することも多くなっています。私たちとしては「誰でも簡単に作業できる装置に変えたい」という思いがあり、「LABOSPECT 006 α」はまさにその要望に合致していたのです。
滝澤 実際に導入されてみて、どのような点にメリットを感じていますか?
稲田 まず、安全かつ正確に分析ができる点です。「LABOSPECT 006 α」には、試薬の交換予約機能や洗剤の自動切り替え機能が備わっており、さらに装置の立ち上げ時にはブランクキャリブレーション*2を自動で実行するため、安全性や正確性が向上しています。
特に試薬については消費が多い時には、交換のために急遽装置を停止し、現場に迷惑をかけることもありました。それが予備試薬を持てることでゼロになり、私たち検査技師の精神的負担も大きく軽減されています。
もう一つ助かっているのが、メンテナンスの進捗状況がボタン一つで一目で確認できる点です。メンテナンスのタイミングもアラームで通知されるため、当初の狙いだった「誰でも簡単に作業できる」という理想が、しっかりと実現されています。
*2検体内の物質濃度を測定する際に基準となる「検量線」を更新・調整する作業
「誰でも使いやすい」から「人の手が要らない」へ
滝澤 「LABOSPECT 006 α」は、お客さまの業務効率化を第一に考えて開発を進めてまいりました。実際にその効果をご実感いただけているとのこと、大変嬉しく思います。今後の製品開発に向けて、現場で「こんな機能があったら」「こういう装置が必要だ」と感じられていることがあれば、ぜひお聞かせください。
稲田 先述したように、人手不足が加速しており、臨床検査技師が担う業務範囲も広がっています。今後は、分析業務に特化したスペシャリストというよりも、幅広く一定レベルの対応ができるゼネラリスト的な役割が求められていくと感じています。そう考えると、ボタンを押せば一部の作業を自動で装置がこなしてくれるような、さらなる自動化がカギになると思います。
少し話が広がりますが、将来的には「スマートラボ」のような形が理想的ではないかと考えています。例えばAIを活用して、一人ひとりに最適な医療や、その時に必要なメンテナンス・運用方法を提案してくれる仕組み。そして、最新の技術情報を自動で取り込み、他の装置やソフトウェアとすぐに共有できるような環境が整えば、さらなる効率化が図れると思います。
岩永 あとは、コスト面ですね。現在、どの病院も経営が厳しく、病床数を減らす一方で、人件費は増加しているという課題に直面しています。病院の経営者だけでなく、私たちスタッフ一人ひとりがコスト意識を持って業務に取り組まなければならないと日頃から感じています。
コスト削減の観点で直近で求められるのは、やはり「故障が少ないこと」です。装置が止まってしまえば業務が滞り、医師や患者さんにご迷惑をかけてしまいますし、それに伴うコストもかさんでしまいます。そして、稲田が言うように「自動化」も重要です。臨床検査技師の業務が広がっていく中で、一定の作業を装置に任せ、患者さんの対応に集中できるようになれば、負担の軽減とコスト削減の両立が可能になると感じています。
滝澤 臨床検査技師の皆さんのお仕事が非常に大変だということは、常に意識していますし、何とか力になりたいという思いを持っています。先ほどのお話にもあったように、「ボタンを押したら、あとは装置に任せられる」というところまで進化させたい。そのためには、やはり現場のユーザーの方の声が欠かせません。私たちは普段、工場の中で仕事をしていますが、今後はさらに現場との接点を増やし、皆さまのお困りごとにしっかり耳を傾けていきたいですね。
