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Hitachi

社会課題解決のストーリー株式会社 日立ハイテク

RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム

製品の有害物質を分析・管理し、持続可能なモノづくりを支える

冷蔵庫や洗濯機、パソコン、ゲーム機――。私たちの生活はたくさんの電気製品に囲まれています。そうした製品にはさまざまな物質が含まれています。一部の物質は経済成長や社会の発展に貢献する一方で、適切な管理がなされていない場合には、大気や水、土壌を汚染したり、人間の健康に悪影響を与えたりします。特定有害物質の使用を制限するRoHS指令をはじめ環境規制が厳しくなるなか、日立ハイテクサイエンスは2021年11月、「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」の販売を開始しました。有害物質の管理強化に貢献することで、企業のサステナブル(持続可能)なモノづくりと発展を支えています。

有害物質を自然環境中に放出させない

日立ハイテクグループは、「見る・測る・分析する」技術の力で、社会課題の解決に取り組んできました。「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」も、その一つです。複数の分析装置で測定した多種多様なデータを一元管理することができ、有害物質の分析と管理を、より確実に、より簡便にします。

「メーカーは、RoHS指令をはじめとした環境規制に対応するため、有害物質をなるべく使わず、有害物質を自然環境中に放出させない製品づくりに日々取り組んでいます。私たち日立ハイテクサイエンスは、分析装置やデータ管理のサービスを提供することで、そうした企業努力を支えたい。それが企業の持続可能な成長と、健全な地球環境や人々の健康を守ることにつながると考えています」

同システムを開発した、日立ハイテクサイエンス分析開発設計本部FS第一設計部主任技師の坂井範昭はこう話します。

RoHS指令とは、電気・電子機器に含まれる有害物資の使用制限に関するEUの法律です。製品をリサイクルしやすくしたり、製造過程や廃棄過程で有害物質が排出されたりしないように、特定の有害物質を非含有にし、また含有量を制限することを目的に定められました。

2006年7月に最初の指令(RoHS1)が施行され、2013年1月に改正RoHS指令(RoHS2)が施行されました。現在対象になっている特定有害物質は、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、フタル酸エステル類4物質の計10物質です。

最大許容濃度を超える有害物質が含まれた製品は、EU域内で販売することができません。EU以外にも、中国版RoHSや韓国版RoHS、台湾RoHS、米カリフォルニア州版RoHSなど各国・地域で規制があります。

2015年9月に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)でも、適切に化学物質を管理し、製造や廃棄工程で有害物質の放出を最小化することが目標に掲げられています。

有害物質を分析する日立ハイテクサイエンスの製品
有害物質を分析する日立ハイテクサイエンスの製品

不適合品発生時にも迅速な調査・対応を実現

日立ハイテクサイエンスは、これまで特定有害物質の含有状況を検査する「蛍光X線分析装置」や「加熱脱離質量分析計」の開発・製造を手掛けてきましたが、従来、個々の測定・検査結果は個別管理されていました。

今回開発した「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」は、RoHS分析に特化した専用アプリケーションであるとともに、個々の測定結果を日立ハイテクのIoTサービスポータル「ExTOPE®(エクストープ)」につなぐシステムとした点に特長があります。

これにより、各工場や各事業所に設置されている分析装置の測定データをリアルタイムかつ一元で管理できるようになったのです。

「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」の使用イメージ
「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」の使用イメージ

一元管理のメリットについて、日立ハイテクサイエンス事業本部事業戦略部部長代理の篠原圭一郎は「万が一、製造中の製品・部材の含有物質を調査する必要が出てきた場合でも、リアルタイムにデータを取得できるので、速やかに調査開始、結果確認、判断、アクションができます」と説明します。

「分析装置を導入していただいているお客様の多くは、グローバルに事業を展開しています。『RoHS』アプリを導入していただくことで、国内の離れた拠点や、海外のデータも速やかに確認できます。また、同一の部品を各工場で検査する重複作業をなくし、効率もアップします」(篠原)

開発の背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もありました。日立ハイテクサイエンス分析開発設計本部FS第一設計部技師の岩田寿哉は、「コロナ禍でメーカーの管理者が製品検査をリモートで行う必要が出てきた」と言います。

「各分析装置から検出された測定データが『RoHSアプリ』に収集されるので、リモートで確認できるようになり、現場に出向く必要がありません。当社のサービス員が遠隔で装置を監視しているので、装置の正常稼働も担保されます。お客様からは、検査・管理業務の効率化の向上にも役立ったという声をいただいています」(岩田)

有害物質をスクリーニング検査する様子
有害物質をスクリーニング検査する様子

「お客様の課題解決が設計者の使命」

日立ハイテクサイエンスは、お客様の課題、さらにその先にある環境・社会課題を解決したいという思いで、分析装置やシステムの開発に取り組んできました。

「私たち設計者も、お客様と直接話し、課題を次の改善・開発に活かしていくことを心掛けています。お客様が抱える課題を解決すると喜んでいただけますし、ソリューションを形にしていくことが、私たちの使命だと思っています」(坂井)

「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」の開発にあたっては、分析装置を導入している企業へのヒアリングを重ねてきました。そこで見えてきた課題を解決する新たなサービスの提供も始めています。

「お客様が抱えている課題の一つに、分析手法の煩雑さがありました。拠点ごとに検査体制のバラツキもありました。単に分析装置を提供するだけではなく、検査体制自体の改善も必要だと考えたのです」(日立ハイテクサイエンス事業本部事業戦略部部長代理・堀込純)

例えば、金属メッキや顔料などに広く使われる「六価クロム」は、強い毒性があり、RoHS指令では使用することを禁じられています。しかし、この六価クロムの含有状況を分析するには、抽出方法など前処理の難しさがありました。加えて、分析技術者の世代交代や人手不足などにより、分析技能の的確な伝承が難しくなっていました。

マーケティング担当者として企業にソリューションを提供してきた堀込は、「お客様の課題を聞くなかで、検査の簡易システムを作りました。従来は前処理含めて測定作業に1時間くらいかけていたものが、簡易測定で25分ほどに短縮できるようになりました。測定者の知識や経験の度合いに左右される事がなく測定できるような仕組みをつくり、有害物質が含有されない製品づくりに貢献していきたい」と話します。

お客様と環境規制の対応を進めてきた篠原は、「環境規制が強化されるということは、その分環境破壊が進んでいるということ。製品が大量に生産され、大量に消費されるにつれ、生態系や土壌などへの影響が懸念されるようになりました。製品が環境規制を満たしていない場合、企業は訴えられたり大きく報道されたりするリスクがあります。私たちは、企業のビジネス機会の損失を防ぎ、持続可能なモノづくりや成長を後押ししていきたい。その結果、健全な地球環境を守る――という好循環を創造していきたい」と思いを語ります。

日立ハイテクサイエンスは40年以上にわたり、環境規制に対応する分析装置の製造・販売を行ってきました。工場排水に有害物質が含まれていないかを分析・測定する装置や、排ガスをセンサーでモニターする装置も提供しています。

「私たちは分析・計測技術をコアとして、さまざまな事業を展開しています。分析や計測するということは、『知る』ということです。何が入っているのか、どれくらいの量が入っているのか。『知る』ことは環境負荷低減や省エネにもつながります。分析や計測をコアとして社会の役に立つようなソリューションをこれからも提供していきたいです」(堀込)

ExTOPE」は、株式会社日立ハイテクの日本およびその他の国における登録商標です。
日立ハイテクグループが掲げるマテリアリティのうち、「1:持続可能な地球環境への貢献」、「2:健康で安全、安心な暮らしへの貢献」、「3:科学と産業の持続的発展への貢献」に貢献します

RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システムが貢献する日立ハイテクグループのマテリアリティ

「RoHSアプリケーションに対応した装置データ収集システム」が貢献
2022-02-18