X-MET8000 Expert Geoによるガラス中のヒ素分析
液晶パネルのリサイクルや電子機器分野、ガラス原料の受入においては、有害元素であるヒ素(As)を迅速かつ適切に把握するニーズが高まっており、分別精度の向上や規制対応、品質管理の観点から現場での分析が重要となっています。例えば、液晶テレビのパネルには、ガラスの清澄剤(消泡剤)として亜ヒ酸(ヒ素酸化物)が使用されてきましたが、近年ではヒ素フリー化が進んでいます。そのため、リサイクル工程ではヒ素を含むガラスと含まないガラスが混在する可能性があり、ヒ素の含有状況を把握し適切に管理することが求められています。
こうした中でハンドヘルド蛍光X線分析装置を導入することで、現場で即時に測定・判別が可能となり、分別効率の向上やリサイクルプロセスの最適化を実現できます。さらに、事前スクリーニングによる分析コストの 削減や、不適合材の早期排除による品質安定化・製造トラブル防止といったメリットも得られます。
本資料では、X-MET8000 Expert Geoによるガラス中のヒ素分析例をご紹介します。
ガラス中のヒ素分析
分析方法
表1 装置仕様
| モデル | X-MET8000 Expert Geo |
|---|---|
| 検出器 | 広域SDD |
| X線出力 | 最大50 kV (4 W) |
| 測定領域 | 10.7 × 9.4 mm |
| バッテリー寿命 | 最大12時間 |
| 動作温度 | -10~50℃ |
|---|---|
| 防塵・防滴性 堅牢性 |
IP54 MIL-STD-810G(振動・衝撃・落下)試験準拠 |
| ケースサイズ 本体サイズ 重量 |
415 (L) x 325 (W) x 170 (H) mm 210 (L) x 93 (W) x 272 (H) mm 1.5 kg(バッテリー含む) |
表2 サンプルおよび分析条件
| サンプル | ガラス標準物質 BAM-S005B (ドイツ連邦材料研究試験研究所製) |
|---|---|
| 分析条件 | 鉱物分析用アプリケーション |
| 測定時間 | 30秒 |
分析例
表3 標準物質の参考値および測定結果 (n=5)
※1 BAM S005BのAs₂O₃認証値 (132 mg/kg) をAs濃度として換算した値
- サンプルを5回繰り返し測定し、平均値 (Avg.) と相対標準偏差 (RSD)※2 を算出しました (表3)。
- AsのKα線(約10.53 keV)とPbのLα線(約10.55 keV)はエネルギーが非常に近いため、Pbが共存するとピークが重なり、Asの識別や定量精度に影響を及ぼす場合があります。そのため、Pbを含むサンプルのAs分析では注意が必要です。
- BAM-S005Bは約188 mg/kgのPbを含有していますが、Asについては参考値と同等の結果が得られました。
- RSDは良好であり、精度良く測定できていることが分かります。
※2 RSD (%)=(標準偏差/平均値)×100
