マテリアルズ・インフォマティクス関連サービス導入事例
株式会社クラレ様【DX推進編】創業100年に向けた「人と組織のトランスフォーメーション」
株式会社クラレは、「PASSION2026」という中期経営計画の中で「3つの挑戦」を掲げている。そのひとつである「人と組織のトランスフォーメーション」の取組を事業部で推進するにあたり、日立ハイテクをパートナーとしてスピーディに走り続けている。
▼この事例に関するソリューション・商品
背景
背景は中期経営計画「人と組織のトランスフォーメーション」
クラレは創業100年に向けた中期経営計画の中で「3つの挑戦」を掲げており、そのひとつが「人と組織のトランスフォーメーション」です。その中核となるのが、社員一人ひとりがデジタルに精通し、データを活用して意思決定を行うデータドリブン組織への進化です。「データで考え、データで決める」組織への変革を挑戦課題に掲げ、取組をスタートしました。
研究開発において「失敗データ」や「別工程データ」は重要
研究開発は、仮説検証を通じて知を磨き、価値を創造するプロセスです。データはその原動力ですが、課題として過去データをうまく活用できていない現実がありました。
例えば、報告書には成功事例が整理されている一方で、失敗した実験は記録されずに「無い」ことがあります。
また、別工程とのデータ連携も限定的で、仮説検証に必要な情報が不足したまま意思決定をする状況がありました。
失敗データの活用や、チームを超えたデータ連携を通じて、より広く深い情報を基に意思決定を行う組織運営を意識しています。
ポバールフィルム研究開発部
中井 慎二 氏
「仮説検証型」×「データ駆動型」の変革
本来、研究開発は仮説検証を繰り返します。仮説を立てるセンスは属人的になりますが、データ駆動だと仮説がなくても「データを元にしたレコメンド」が得られます。これまで見逃していた切り口からの試験提案が得られるということです。
「仮説検証型」に「データ駆動型」のアプローチを取り込み両立することで、研究開発の仕組みそのものを変革したい。これが今回の取組における原点であり、スタートです。
目指すビジョンはあるがパートナーが不在
明確なビジョンはあるので、その実現に向けて情報を集めました。検討の当初は、データ駆動型のシステムについて各部署で検討がなされていた段階で、私の部署でも、自部署の特徴にあったシステムの導入を検討しました。私の部署においては、似た実験を繰り返す傾向があるため、これらのデータを効率良く収集することを重視しました。
そこで、社内のデジタル・ITサポートチームに相談すると、複数の分野で協業して成果を上げている日立さんの名前が挙がり、具体的なアドバイスを得ることができました。さらに、システム連携やセキュリティの懸念も解消できたことで、今回の取組を進める大きな後押しとなりました。(中井氏)
課題解決に向けた日立ハイテクからの提案
ワークショップで現場を巻き込んだ課題整理
2024年の5月に「目指すビジョンと期間が決まっている中で、日立さんで可能ですか」とお問い合わせをしました。日立ハイテクの仙波さんから「まずは現場課題を深堀して、本当に必要な要素を見極めるのはどうですか」と提案をいただきました。最初に徹底的に業務の棚卸をすることで「本当に大事なのはここだ」という共通認識がチームに生まれました。(中井氏)
ありたい姿は明確に決まっている中で、どうスピード感をもって具体化させるべきかを考えました。チームメンバーを巻き込んで腹落ちするためには、ワークショップで現状整理から始めるとスムーズで、かつスピードに乗れるんじゃないかと考えたんです。ワークショップが進む中で、データサイエンティストやエンジニアなど必要な人財をジョインして、日立側もキャッチアップを素早く行い、戦略立案をしていきました。(仙波)
インフォマティクス推進部
仙波 拓己
導入効果
「人」依存ではないデータ起点の議論
研究開発におけるDXの一般的な効果は、実験の効率化と研究の高度化に集約されると思いますが、まだ取組を開始したばかりで、定量的な成果は示せません。ただし、「効率化」を実験の時間短縮やデータ共有による再利用性の向上とするならば、十分に実現可能であると見込んでいます。「高度化」についても、MIと組み合わせることで、実験の予測精度向上や、従来の枠にとらわれない新たな視点からの提案が可能になることから、今後の展開に大きな期待が持てます。
「人」に依存しないで、システムによって決まった方法でデータを収集すると、他チームのデータも活用できます。これまで自分が担当しているデータだけで仮説検証を行っていたのを、他チームのデータを活用することで、ひとりの研究員が扱えるデータ量が圧倒的に増えます。
これまでは、各研究員が自身の担当している少ないデータで考察し、その妥当性を議論するスタイルが主流でした。今後は、データを中心に据え、多角的なデータ分析を基に研究方針を議論するスタイルを定着させます。最初は少人数で始めますが、最終的には全研究員がデータを起点とした議論ができる組織を目指します。
データで見える評価項目への見直し
データ活用が前提になったので、評価項目についても見直しが必要になりました。従来は定性的な観点で評価していた項目も、「データとして取り扱うなら」という視点で考えるようになりました。定性的な評価項目を数値で表現することは、研究員として一時的に手間が増えるかもしれません。しかし現場には、将来的なデータ活用を見据えたマインドチェンジが起きており、前向きに取り組んでいます。
主役は現場の研究員
仮説検証のアプローチは、知識や経験が豊富なマネージャーが主導的な立場にありました。マネージャーの承認がなければ実行できないので、「マネージャーの意向に沿ってやらされている」と感じる研究員もいたのではないかと思います。
しかし、これからは現場の研究員が主役です。データ活用が当たり前になれば、過去の経験や勘ではなく、データに基づく意志決定が可能になります。自分で取得したデータを自分で解析し、研究の方向性を自ら考えて進められるようになります。研究員の主体性や、やりがいが大きく広がると感じています。(中井氏)
日立ハイテクを選んだ決め手
決め手①:社内推薦で「日立なら」
前段でも少し触れましたが、クラレ内にはDX推進をスムーズに実行できるサポート体制があります。技術本部・DX-IT本部・研究開発本部にはデジタル技術導入を企画・実行する専門チームがあり、社内外の技術情報に広くアクセスできます。そこから「日立さんなら技術・コスト・実績の面でバランスが取れており、安心して任せられる」と推薦があり、問い合わせました。
決め手②:スピード感 × 提案力 × 技術
「いつまでにこうありたい」が明確な中、スピード感がなかったら正直話にならなかったのですが、実際は問い合わせからワークショップ開催まで1ヶ月というハイスピードで進んでいきました。
また一次提案のときに「サポートしながら伴走する」姿勢を強く感じ、今後も継続的な提案が期待できる安心感を得ました。
実際に、5月に問い合わせ、6月~8月にワークショップ、9月に実験データ収集サービスのPoC検証、10月に予算化、翌年1月には開発&実装を実現しました。そして、問い合わせから1年後にはマテリアルズ・インフォマティクス(MI)ツールの導入というスピードで動けています。
決め手③:ベンダーではなくパートナー
ワークショップで日立ハイテクさんは、単なるベンダーではなく共に課題に向き合うパートナーだと実感しました。自分たちを深く理解し、必要な人財を集めて、一緒に走ってくれています。我々は単なる下請けを求めているわけではありません。だからこそ、こうした姿勢は今後の期待感と安心感につながり、日立ハイテクさんと一緒に走ることを決めました。(中井氏)
今後の展望
新たな100年に向けた飛躍
クラレは2026年に創立100周年を迎えます。新たな100年を見据え、私たちはデータドリブンな組織へ進化し、次の時代のスタートラインに立ちたいと考えています。
創造力×データの力で若い世代が意思決定できる未来
データの価値が飛躍的に高まることで、現場の研究員が自ら研究の方向性を考え、決定できるようになります。従来の考え方も大事ですが、若い世代が中心となり、データに基づき自ら考え、判断し、動けるように「変革」を進めます。これまでの延長線上で「改善」するのではなく、今の枠組みを壊して新たに創り上げる「変革」です。
従来のサイエンスに基づく「創造力」に「データの力」を掛け合わせることで、若い世代がもつエネルギーと革新性が最大限に発揮される未来を創り出します。
株式会社クラレ
株式会社クラレは、日本を拠点とする化学メーカーで、主に樹脂、フィルム、化学品、活性炭、繊維などの製造・販売を行っています。1926年に設立され、長い歴史を持つ企業です。
高機能樹脂で知られており、これらの製品は包装材料や自動車部品、電子機器など、さまざまな分野で使用されています。また、環境に配慮した製品開発にも力を入れており、持続可能な社会の実現に貢献しています。さらに、クラレはグローバルに展開しており、世界中に生産拠点や販売拠点を持っています。これにより、地域ごとのニーズに対応し、顧客に高品質な製品とサービスを提供しています。
クラレグループは使命である「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」に基づいて、革新的な技術と製品を通じて社会に貢献しています。
関連情報
株式会社クラレ様
【現場編】DX構想策定~データ収集~データ利活用をハイスピードで実施
MI(マテリアルズ・インフォマティクス)を活用した成功事例
MI(マテリアルズ・インフォマティクス)は開発の効率化ができるだけでなく、新しい革新的な開発の一助を担っているため多くの注目を集めています。
日立ハイテクの材料開発ソリューション
MI(マテリアルズ・インフォマティクス)を使うと、開発の効率化が可能になります。
実験データ収集サービス
実験データを一元管理し、データドリブンな研究開発を行えます。
