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日立ハイテクサイエンス

原子化法

次にいくつかの原子化法を説明しましょう。

  1. フレーム法・・・炎を用いて原子化する
  2. グラファイト炉法・・・電流を用いて原子化する
  3. 水素化物発生法・・・フレーム法の応用
  4. 還元気化法・・・気化しやすい性質を利用して原子化する

1. フレーム法

バーナの機能

炎(フレーム)に試料を導入し、中に含まれる元素を原子化します。 そのとき、試料を霧化する必要があります。霧状にしないとせっかくの炎が消えてしまいます。

ネブライザー:試料を霧化する。
ディスパーサー:霧化した試料を当て、小さい粒子にしてフレームに供給。全体がガラス製。
バーナヘッド:安定したフレームを供給し試料中の元素を原子化させる。

バーナヘッドには、標準バーナと高温バーナの2種類があります。それらの比較を次に示します。

標準バーナと高温バーナの比較

標準バーナ

高温バーナ

使用ガス系 空気-アセチレン:2000°C
空気-水素:2000°C
アルゴン-水素:1600°C
酸化二窒素-アセチレン:3000°C
火口の大きさ 0.5 mm×100 mm 0.4 mm×50 mm
測定元素 Pb Cd Fe Cu Mn Cr Au
K Ag Zn Na Ca Mg など
Al B Ba Be Ge Si Ti V W など

高温バーナはなぜ必要か・・・
標準バーナの温度では原子化されない元素があります。

高温のフレームを得るため、酸化二窒素(亜酸化窒素)-アセチレン系が必要です。
フレームが安定して供給されるためには
[ガスの流出速度]>[混合ガスの燃焼波速度]
が必要条件です。
これが崩れると火は内部に入ります。

標準バーナヘッドではアセチレン-酸化二窒素のガス系はバックファイヤの条件に合致します。 そこで、火口部を小さくしガス噴出速度を大きくした高温バーナヘッドが作られました。

2. グラファイト炉法

炭素管に大電流を流して、得られる熱で試料中の元素を原子化します。
炭素管保護のためアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気で通電測定します。
大容量の電源が必要です。(単相200 V/30 A)
高温になるため電極部は水冷にします。

フレーム法と比べての利点

  1. 感度が高い
  2. 試料の前処理が省略できる
  3. 少量の試料で測定できる

フレーム法と比べての難点

  1. 測定時間が長い
  2. 間歇測定のため再現性が劣る

3. 水素化物発生法

ヒ素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)の高感度分析(数ppbオーダ)が可能です。

測定法

水素と金属元素が反応し気体状の水素化物を発生。
生成した気体を原子化部に導入。
熱により分解し、原子化する。

このとき使う水素は、酸(塩酸など)と還元剤(水素化ホウ素ナトリウム)を反応させて生成させます。生成した水素化物の気体はアルゴンガスを用いて原子化部まで運びます。

4. 還元気化原子吸光法

水銀の測定にのみ適用(水銀Hgは常温において原子状態で存在できる)します。

測定法

反応容器に試料を加え、魔法の水を添加(硫酸と塩化第一錫(6N塩酸溶液)添加)すると水銀が容器から気化して出てくる(還元されて出てくる)。 気化した水銀をエアポンプで 水銀セルまで導き測定する。(熱分解は必要なし)通称フレームレス法という。