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原子吸光光度計基礎講座 第7回 バックグラウンド(BKG)とは

第7回 バックグラウンド(BKG)とは

Q:「バックグラウンドってなんだろう」

A: 光の吸収測定では、目的とする金属元素の吸収以外の原因によって分析線が減光することがあります。この減光をバックグラウンドと言います。

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例えば、海水中の塩化ナトリウム(NaCl)の場合、Naが吸収する波長とカドミウム(Cd)やニッケル(Ni)が吸収する波長が重なっています。

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「海水のように多量(数%)にNaClを含んでいては微量(ppm)のCdやNiは正確に測定できません。
バックグラウンド吸収を正確に補正しないと測定結果はめちゃくちゃとなってしまいます。」

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バックグラウンド(BKG)の補正方法

BKGをどのように補正しているか、その原理についてお話しましょう。
その前に・・・
「どのようにしてBKGの吸収のみを測定しているか・・・」がポイントになります。

1)D2(重水素ランプ)補正法

光源にホローカソードランプとD2ランプを使用します。(光学系を下図に示します)HCLを光源とする光度計とD2ランプを光源とする光度計があると思ってください。二つの光度計の信号は電気信号で処理され、区別されます。

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  1. HCLを光源とする光度計:原子蒸気の吸収+BKG吸収が測定されます。
  2. D2ランプを光源とする光度計:BKG吸収のみが測定されます。ここがポイントです。D2ランプが光源の場合、波長幅は分光器のスリット幅に依存しており、原子吸収線よりはるかに広いため(原子吸光光度計の原理参照)原子蒸気による吸収はほとんど認められません。実際は極微小の吸収があります。
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2)自己吸収補正法 ホローカソードランプ(HCL)の点灯方法を工夫しています。

  1. ある時間、通常に点灯します。次の短時間、過剰電流で点灯します。これを1秒間に数十の回数で繰り返します。
  2. 繰り返し、次のようなスペクトルが得られます。
過剰電流放電により自己吸収現象が現れ、このような形のスペクトルになります。
過剰電流放電により自己吸収現象が現れ、このような形のスペクトルになります。

前頁のD2ランプ光源スペクトルの代わりに過剰の電流で点灯して得られたスペクトルを使うのが自己吸収補正法です。

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