Q:「バックグラウンドってなんだろう」
A: 光の吸収測定では、目的とする金属元素の吸収以外の原因によって分析線が減光することがあります。この減光をバックグラウンドと言います。
例えば、海水中の塩化ナトリウム(NaCl)の場合、Naが吸収する波長とカドミウム(Cd)やニッケル(Ni)が吸収する波長が重なっています。
「海水のように多量(数%)にNaClを含んでいては微量(ppm)のCdやNiは正確に測定できません。
バックグラウンド吸収を正確に補正しないと測定結果はめちゃくちゃとなってしまいます。」
BKGをどのように補正しているか、その原理についてお話しましょう。
その前に・・・
「どのようにしてBKGの吸収のみを測定しているか・・・」がポイントになります。
光源にホローカソードランプとD2ランプを使用します。(光学系を下図に示します)HCLを光源とする光度計とD2ランプを光源とする光度計があると思ってください。二つの光度計の信号は電気信号で処理され、区別されます。
(1)-(2)により真の原子吸収量が測定できます。
過剰電流放電により自己吸収現象が現れ、このような形のスペクトルになります。
前頁のD2ランプ光源スペクトルの代わりに過剰の電流で点灯して得られたスペクトルを使うのが自己吸収補正法です。