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EU RoHS指令について

  • 旧RoHS指令(2002/95/EC):2006年7月1日適用開始
    DIRECTIVE 2002/95/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 27 January 2003 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment
  • 現RoHS指令(2011/65/EU):2013年1月3日適用開始
    DIRECTIVE 2011/65/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 8 June 2011 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment
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図2 CEマーク

EUにおいて、電気電子製品(EEE、定格電圧AC1000V/DC1500以下)を対象に特定の有害物質の使用(許容濃度を超えて含有すること)を制限する指令。RoHSは、Restriction of the use of certain Hazardous Substancesの略である。 旧指令をRoHS1またはRoHS(I)、改正後の現指令をRoHS2またはRoHS(II)と称す場合がある。

対象製品は、当初WEEE指令同様10カテゴリー(Cat.)に分けられていたが、改正(RoHS2)により、RoHS1では対象外であったCat.8(医療機器)、Cat.9(監視及び制御機器)が2014年7月~2017年7月の期間に順次適用となると共に、新たにCat.11(その他の電気・電子製品、2019年7月より適用)が追加され、オープンスコープ(全てのEEEが規制の対象(但し、一部対象外あり))となった(表1参照)。

また、RoHS2よりCEマーキングが義務づけられたが、他の指令(低電圧指令、機械指令、EMC指令等 複数あり)にて、既にCEマーク(図2)を表示している場合は、自動的にRoHS2適合と見なされるため注意が必要である。
RoHS2のCEマーキングは自己宣言によるもので、
(1)整合規格EN50581に基づき適合していることを確認
    ↓
(2)技術文書(TD:Technical Document)の作成(含むエビデンスの明確化)
    ↓
(3)適合宣言書(DoC:Declaration of Conformity)の発行
    ↓
(4)CEマークの貼付
の手順を取るが、不含有(最大許容濃度以下)であることのエビデンスを明確化しておくことが重要である。

制限物質(AnnexIIに記載)は、現在、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)、ポリ臭化ビフェ二ル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質群であるが、新たに、4種類のフタル酸エステル(DEHP, BBP,DBP,DIBP)の追加が決定し、Cat.1~7,10,11は2019年7月より、Cat.8,9は2021年7月より規制されることになった(表2参照)。
含有濃度は最大許容濃度以下であることが要求されるが、その分母は、REACH規則とは異なり、均質材料(部位と称す場合あり)単位であるため、混同しないよう注意が必要である。

なお、制限物質については、技術的に代替化が困難な物質・用途に限定し、期限付きでの適用除外が認められており、リスト化(AnnexIII、IVに記載)されている。今回の改正に伴い、Annex III(全Cat.対象)とAnnex IV(Cat.8,9限定)に分けられた。
今後も制限物質の追加、適用除外の見直し(削除、追加)が行われるので、注意が必要である。
特に適用除外については、期限を過ぎると含有とみなされ不適合となるため在庫品管理においては特に注意が必要である。

制限物質の含有有無の管理には、分析確認が有効手段となる。大別すると受入検査等のスクリーニングとしての簡易分析方法と含有有無の最終判定時に用いる精密分析方法がある。
前者には、蛍光X線分析装置(XRF)を用いる場合が多い。後者には、物質に応じてICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(ICP-OES)、ICP質量分析装置(ICP-MS)、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)、紫外線検出器付き液体クロマトグラフ(HPLC-UV)、原子吸光分光光度計(AAS)等(*1)が用いられるが、いずれもその分析方法については、国際規格IEC62321(*2)により規格化されているので、これに基づく分析が必要である。

表1 対象製品(製品カテゴリー)と適用開始日
Cat. 製品群 主な製品 適用開始日
1 大型家庭用電気製品 冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど 2006/7/1
2 小型家庭用電気製品 掃除機、アイロン、時計など
3 IT及び電気通信機器 パソコン、プリンター、複写機など
4 民生用機器 ラジオ、テレビ、楽器など
5 照明器具 蛍光灯など
6 電動工具 電気ドリル、電動のこぎり、ミシンなど
7 玩具、レジャー・スポーツ用品 ビデオゲーム機、電気電子部品を含むスポーツ器具など
8 医療機器 放射線療法機器、心電計、透析機器など 2014/7/22
(体外診断用医療機器は2016/7/22)
9 監視及び制御機器 煙感知器、測定機器、サーモスタットなど 2014/7/22
(工業・産業用は
2017/7/22)
10 自動販売機 飲料自動販売機、キャッシュディスペンサーなど 2006/7/1
11 上記カテゴリーに入らないその他の電気電子製品   2019/7/22
(RoHS1では設定なし)

備考:但し、次のものは対象外

  1. 武器、弾薬及び軍事目的に特化した軍需物資など、加盟国の安全保障上の主要な利益を保護するために必要な機器
  2. 宇宙に送ることを目的として設計された機器
  3. 対象外機器の一部として専用に設計・設置される機器であって、当該機器の一部になった場合にのみその機能を発揮し、同様の専用に設計された機器によってのみ置き換えることができるもの
  4. 大型据付産業用工具
  5. 大型固定設備
  6. 人及び物品の輸送手段(型式認可されていない電動二輪車を除く)
  7. 道路通行用ではない移動機器(専門用途に限定して提供されるもの)
  8. 能動型埋め込み医療機器
  9. 太陽光パネル(固定された場所において公共、商業、工業及び住居用に太陽光からエネルギーを産出する恒久的な使用を目的とし、専門家により設計、組立、設置されたもの)
  10. 企業間ベースでのみ利用可能な、研究・開発のみを目的として特別に設計された機器
表2 制限物質(AnnexII)とカテゴリー別適用開始日
制限物質
(元素記号、略号)
最大許容濃度 カテゴリー別適用開始日
Cat.1~7,10 Cat.11 Cat.8,9
カドミウム(Cd) 0.01wt%(100ppm) 2006/7/1 2019/7/22 2014/7/22
(一部(表1参照)は2016/7/22
2017/7/22
より適用開始)
鉛(Pb) 0.1wt%(1,000ppm)
水銀(Hg) 0.1wt%(1,000ppm)
六価クロム(Cr6+ 0.1wt%(1,000ppm)
ポリ臭化ビフェニル(PBB) 0.1wt%(1,000ppm)
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) 0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP) 0.1wt%(1,000ppm) 2019/7/22 2021/7/22
フタル酸ブチルベンジル(BBP) 0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ジブチル(DBP) 0.1wt%(1,000ppm)
フタル酸ジイソブチル(DIBP) 0.1wt%(1,000ppm)

*1 参照「日立グループ RoHS指令対応の分析ガイドライン」

*2 IEC 62321 Ed. 1.0:2008 (b)  Electrotechnical products-Determination of levels of six regulated
substances (lead, mercury, cadmium, hexavalent chromium, polybrominated biphenyls, polybrominated diphenyl ethers) として2008年12月に発行された。
現在は、項目別に分けられ、ファミリー規格(IEC 62321-1、-2、-3・・・・・)として順次改定中である。

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