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液体クロマトグラフ(HPLC)基礎講座 第1回 HPLCの原理とシステム構成(1)

クロマトグラフィーの原理

クロマトグラフィーは混合試料を成分ごとに分離する技術です。もともとは分離した成分を回収 (分取・精製)することが目的でしたが、装置として完成された現在は分離された成分の定量を目的として使用することが多くなっています。
「クロマトグラフィー」の名付け親は、ロシアの植物学者であるTswettです。彼はガラス管に炭酸カルシウムの粉末を充填したカラムに植物抽出液を通し、石油エーテルを流すと図1のように色素が分離されてくることを示しました。そしてこの分析法を、「色」と「描く」を意味するギリシャ語の「chroma」と「graphos」から「Chromatographie」と命名しました。

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図1 Tswettによる実験の模式図

「クロマトグラフィー」は分離する方法を示します。似たような言葉ですが、分析する装置のことを「クロマトグラフ」、分離の結果として得られる、信号強度の時間変化を記録したチャートを「クロマトグラム」とよんで区別します。
クロマトグラフィーでは試料を分離するために移動相・固定相とよばれる媒体が必要で、その状態により表1のように分類されます。

表1 クロマトグラフィーの種類
移動層 固定相 分析法 測定対象
気体 固体・液体 ガスクロマトグラフィー(GC) 常温で気体の試料、加熱すると気化する試料
  • 石油化学系、香料、シンナーなど
  • 高分子化合物は熱分解して測定
液体 固体・液体 液体クロマトグラフィー(LC) 液体試料、何らかの溶媒に溶ける固体試料
  • GCに比べると測定対象が広範囲
  • 高分子化合物も溶媒に溶ければOK

GCもLCも分離・定量という使用目的は同じですが、分離する際の試料の状態が異なるため測定対象が異なります。ここで固定相とは一般的にカラム(充填剤)、移動相とは試料をカラムに流し込む媒体のことを指し、LCでは移動相を溶離液とよんでいます。
「固定相が液体?!」は理解しにくいかもしれませんが、シリカゲルなどの担体の表面に液層がコーティングあるいは化学的に結合されていて、ガスや溶媒を流してもはがれにくい状態になっていると考えてください。

カラムの中で試料成分はどのように分離されるのでしょうか?
試料成分が移動する速さは、試料成分が固定相・移動相のどちらに親和性を持っているかで決まります。親和性には吸着・分配・イオン交換などさまざまな作用が考えられます。
図2に示すように、固定相より移動相に親和性が高い成分の移動速度は速くなり、固定相の方に親和性が高ければカラムからの溶出が遅れます。カラムから溶出する順序や分離の度合いは固定相と移動相の選択で変わります。

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図2 分離の模式図

HPLCは何の略?

昔ながらのカラムクロマトに比べ、移動相をポンプで強制的に送液し、高速、高性能な分析法となったことからHPLCはHigh Performance LCの略語とされています。また、近年高耐圧装置を用いた超高速分析が注目されています。超高速LCについてはUHPLC(Ultra High Performance LC)が略語として定着しつつあります。

クロマトグラフィーの原則は「測定条件が同じであれば、各成分がカラムに注入されてから溶出するまでの時間は変らない」ことで、この特性を利用して定性・定量を行っています。次回は清涼飲料水中のアスパルテーム(合成甘味料)の測定を例に、定性・定量について説明します。

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