「売上高1兆円」を掲げた中期経営戦略

2002年4月、当社は実質的なスタートとなる新年度を迎え、本社、那珂事業所、笠戸事業所にて入社式を開催した。

樋口社長は、第1期生に対して「『人』と『技術』の強者連合により最強のソリューションを提供できる体制が整った。その強みを発揮するには事業統合の効果を早期に実現することが重要であり、次の時代を担う新入社員の皆さんには、『大志を抱く』、『全力でチャレンジする』、『一流のプロをめざす』、『個性を活かす』の4点を心掛けて、着実に実行していただきたい」と語りかけた。

6月には初めての2001年度決算を発表したが、当社への関心は高く100名近くのアナリストが出席した。業績(単独決算)は、米国発のIT不況の影響で世界的に景気が減速し、半導体製造装置や光通信用部品などが低迷したことで、日製産業株式会社時代の2000年度決算に比べて売上高、経常利益、当期純利益とも大幅な減少となったが、事業統合に対するアナリストの期待は大きく、当社を「買い推奨」とするアナリストレポートもあった。

併せて、2004年度を最終年度とする3か年の「連結中期経営計画」を発表し、数値目標として「売上高1兆円」「経常利益300億円」の目標を掲げた。

連結中期経営計画では、商社機能と製造機能の融合という世界でも例のないユニークな事業体制を活かした高付加価値なトータルソリューションの提供、営業プロフィット制度の徹底、バイオ分野向け分析装置などナノテクノロジー事業の強化や新製品・新事業開発などを重点施策とし、事業投資の推進(研究開発・設備投資、アライアンス)、製品競争力の強化、連結経営の強化を共通戦略とした。さらに、セグメント別事業戦略、グループ企業の事業戦略にも踏み込んで目標を設定している。

この基本戦略のもと、6月に米国、欧州、アジア地域で半導体製造装置、計測器事業の再編・統合を開始した。国内でも本社、支店の業務効率向上を期して基幹情報システムを刷新する「SAPR/3導入プロジェクト」が4月にスタートした。

こうした取り組みの途上にあって、9月に樋口社長が健康上の理由で退任し、桑田会長が代表取締役取締役社長を兼務することとなったが、10月には三洋電機株式会社からチップマウンタ製造/サービス(三洋ハイテクノロジー株式会社、三洋ハイテクサービス株式会社)の株式取得を発表、2003年4月1日付で両社の全株式を取得し、2社は、株式会社日立ハイテクインスツルメンツ、株式会社日立ハイテクインスツルメンツサービスとして新発足し、実装装置における「製・販・サ」一貫体制が確立した。2003年10月には、株式会社日立製作所が保有する日立電子エンジニアリング株式会社の全株式を取得することで合意し、2004年3月1日付で子会社化することになった。

業績では、2001年度連結決算は、IT不況の影響で売上高7,383億円、営業利益99億円、当期純利益55億円と低迷したものの、新体制初の2002年度連結決算では、世界不況が続く中、DNAシーケンサなどライフサイエンス部門が健闘し、売上高7,782億円、営業利益118億円、当期純利益59億円となった。2003年度連結決算も、イラク戦争やSARS問題があったものの半導体市況に明るさが見え、売上高8,311億円(前年度比6.8%増)、営業利益138億円(同17.0%増)、当期純利益72億円(同20.8%増)となった。

「連結中期経営計画説明会」
証券アナリスト向け「連結中期経営計画説明会」
共同記者会見
チップマウンタ事業移管の共同記者会見