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日立ハイテク
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マテリアリティ3 科学と産業の持続的発展への貢献

アイコン:質の高い教育をみんなに アイコン:産業と技術革新の基盤を作ろう

基本的な考え方・めざす姿

科学や産業の発展には、それを支える高度な技術が不可欠です。当社グループは、「計測・分析技術」「自動化・制御技術」「モノづくり力」を最大限に活用・高度化することで、研究開発や生産現場の生産性向上、製品の品質向上を支え、科学と産業の持続的な発展に貢献します。また、自社製品を活用した社会貢献活動の実施により、次世代人財の育成にも貢献します。

活動目標

1. 科学技術の発展

高精度な観察・分析が可能な電子顕微鏡の開発・提供により、材料・デバイス工学分野や科学理論の検証・研究の発展に貢献します。また、卓上型電子顕微鏡を活用した理科教育支援活動を通じて、子どもたちの科学技術への興味関心を喚起し、「理科離れ」という社会課題の解決と科学技術の発展に貢献します。

2. 生産現場のレジリエンス実現

「見る・測る・分析する」に関連するコア技術、AI や IoT 技術といったデジタル技術、そして各プロセスから収集されるデータの分析・活用により、生産現場の効率化、柔軟で強靭な生産体制構築を実現することで、モノづくり企業の生産性向上、製品品質の向上に貢献します。

活動計画

活動計画表

アナリティカルソリューションアナリティカルソリューション

ナノテクノロジーソリューションナノテクノロジーソリューション

バリューチェーンソリューションバリューチェーンソリューション

コアテクノロジーソリューションコアテクノロジーソリューション

取り組み内容の詳細

活動目標1 科学技術の発展

1 開発スピードを高速化し新素材の開発・提供に貢献する、材料開発ソリューションの提供

2022年度実績

MIソリューションと半導体検査ソリューションサービスの提供開始により、半導体素材をはじめ、さまざまな材料開発の業務効率化が可能に

環境負荷の少ないプラスチック素材など、持続可能な材料へのシフトが必要不可欠となる中、AIを活用して材料開発を高効率化するマテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics、以下MI)の活用が期待されています。2022年度は、材料開発や、材料配合・生産の効率化に課題をかかえる企業に対し、2021年に事業化したMIソリューションの提供を開始しました。これにより従来、専門家の知見や経験、勘に基づいて行っていた実験候補の策定を、AIで代替できるようになりました。機械学習を用いた実験計画支援により、実験回数も軽減できるため、新しい素材を生み出す実験のための原材料や手間、時間だけでなく、消費電力やCO2の排出量までトータルな削減を可能にします。また、当社は、半導体を検査・計測する装置CG7300を製造・販売していますが、半導体素材を開発する事業者に、当該装置を提案するとともに、原料配合の検討や素材の画像検査工程にMIソリューションを組みこむことで、属人的な画像分析の効率化が可能になることも提案し、採用いただきました。半導体素材の開発と検査の両方を高効率化できる、当社グループの連携による強みが評価されたものです。今後は、MIソリューションと、当社が提供する検査・計測・解析・分析装置等との組み合わせを独自性として打ち出し、大手から中小企業まで、環境問題の解決と、日本全体のモノづくりレベルの向上、技術力・生産力の底上げをめざします。

2024年度に向けた取り組み

海外でのサービス提供の開始と、医療・医薬分野への貢献をめざす

2023年度は、海外の日系素材メーカー・研究所にコンタクトし、MIソリューションや実験データ管理に関するソリューションを海外にも展開し、世界の素材開発効率化への貢献をめざします。
また、ケミカルズ・インフォマティクス(Chemicals Informatics、以下CI)*と連携し、ソリューションの機能を拡充します。CIソリューションを創薬分野にも活用して、化合物を探索・選定するプロセスを迅速に処理します。さらに選定した化合物をどう活用して新しい材料を生み出すのか、MIソリューションでシミュレートすることで、従来の化学・素材分野のみならず、創薬分野でも、医療の質の向上や人々のQoL(Quality of Life)向上に貢献していきます。
また、昨今では、膨大な量の実験データを効率よく有効に活用することが求められています。当社は、当社が製造・販売する分析装置等とMIソリューションの連携を図り、顧客が当社の分析装置を使用し蓄積したデータを、MIにより結合し分析を自動化します。顧客課題をより広く解決できるソリューションに拡大・提供することで、材料開発の効率化の実現をめざします。

新素材の開発に必要な化合物をAIで探索するサービス

*新素材の開発に必要な化合物をAIで探索するサービス

2 卓上型電子顕微鏡を活用した理科教育支援活動

2022年度実績

SDGs達成への貢献を強化した活動、Youtuberとのコラボレーションによる活動の拡充により、多様な学びの機会をグローバルに展開

2022年度は、SDGs達成への貢献を強化するため、当社の卓上型電子顕微鏡を用いたリモートによる理科教育支援活動を、これまで活動が届きにくかった離島や適応指導教室などに拡大しました。

  • 幅広い世代に理科や科学への興味を喚起するため、サイエンスアーティスト、市岡元気さんのGENKILABOとのコラボレーションも推進しています。これまでに配信された、当社の製品を活用したYouTube動画は、延べ79本、総再生回数4,864万回(2023年3月時)を超えました。動画に対する感想には科学の面白さだけでなく、当社の装置や技術への関心も多数寄せられています。また、当該動画により関心を持った事業者が、装置購入にいたるケースもありました。
  • こうした理科教育支援活動は、グローバルでも継続的な広がりをみせています。現地の若い科学者育成に貢献すべく、活動体制を構築、2022年度は新たにマレーシア、インドネシアでも活動を開始しています。これらの取り組みの結果、グローバルで約62,500人に理科教育支援活動を提供しました。

2024年度に向けた取り組み

卓上型電子顕微鏡だけでなく、当社のさまざまな製品を理科教育支援活動に活用

2023年度も毎年、5万人以上に対して理科教育支援活動を提供するとともに、さまざまな自社製品の活用により、科学や社会課題を身近に感じていただける活動を深堀りしていきます。卓上型電子顕微鏡の各地の高校への貸与は10年以上が経過し、多くの高校生が理系の道へ進学するきっかけになっています。当時の在校生にお話を伺ったインタビュー記事では、研究活動を通して発見した新しい自分や将来の夢についてコメントをいただいています。このように次世代の理系人財の姿を発信していくことで、世の中の理工系の職業イメージの向上に寄与し、さらには、企業、研究機関等で理系人財が活躍する社会の実現に貢献していきます。シンガポールでは、リー・コン・チェン自然史博物館に卓上型電子顕微鏡を貸与する計画を進めています。現地の科学者や教師、博物館職員等を巻き込んだ、教育関係者向けプログラムと、アセアンの豊かな生物多様性の保全を目的としたワークショップの実施を予定しています。今後も、自社の技術や製品から生まれる科学技術の価値を多くの方に伝え、学びの機会を提供することにより、将来の理系人財育成に貢献できるよう本活動を推進していきます。

GENKILABOによる、YouTube動画の紹介ウェブページ

理科教育支援活動の指標の連鎖図

活動目標2 生産現場のレジリエンス実現

3 高効率な半導体生産を可能にするデジタルサービスソリューションの提供ナノテクノロジーソリューション

2022年度実績

顧客との協創により半導体生産を加速させる、協創センターを米国に開設

スマホやパソコン、家電や自動車、企業や国・自治体のオンラインシステムなど、半導体はデジタル社会に欠かせないデバイスであり、今後も半導体関連市場は成長・拡大することが見込まれます。半導体開発には、厳しい品質・生産管理が求められ、スピード感をもって実行する必要があります。2022年8月には米国に新たな統合開発拠点「ナノテクノロジーイノベーションセンターポートランド」を竣工しました。「デジタルサービス」のコンセプトである、加工・検査・計測・解析の各工程で蓄積されたデータを統合・紐付によって、顧客課題である、開発期間の短縮、生産性・歩留まり向上に貢献するデジタルサービスソリューションの開発を行っています。今後も顧客との協創によって、半導体市場を支える「見る・測る・分析する」テクノロジーの開発に貢献していきます。

2024年度に向けた取り組み

米国に続き、台湾・韓国にも協創センターを開設。顧客との関係を強化し半導体開発の高度化・スピード化を加速

2023年度は、米国に続き、台湾と韓国にも協創センターを設立します。韓国・台湾でも半導体の先端技術開発はますます加速しています。これらの施設を設けることで、顧客の近くでリソースを集め、半導体製造の各工程で、顧客とともに開発期間の短縮、生産性・歩留まり向上に向けたソリューション開発が実現します。協創センターで、一層顧客と密に連携し、半導体の開発・製造に向けてともにソリューション開発に取り組みます。

ナノテクノロジーイノベーションセンターポートランドの外観

ナノテクノロジーイノベーションセンターポートランドの外観

4 サプライチェーン全体の可視化を通じ業務効率化・品質向上に貢献する、審査・検査代行サービスの提供

2022年度実績

海外のサプライヤーに対し、現地での審査・製品検査代行サービスの提供を開始

ユーザーが安心・安全に使える製品を提供するには、製造工程での事故防止や品質管理が不可欠です。当社では、世界有数の先進的な品質プロバイダーであるTRIGO社との連携を強化し、安心・安全な製品提供をめざし、サプライヤーに対する審査・検査業務に取り組んでいます。2022年度は、日立グループの海外サプライヤーに対して審査・検査を実施しました。これにより、不良品の日本への輸出を現地で防ぎ、サプライヤーへ代替品の要求と不具合内容のフィードバック・改善指導が可能となりました。
TRIGO社は、現地のスタッフが審査を行うため、サプライヤーは指摘事項に関しても齟齬の少ない理解が可能です。近年、検査不正や製造現場での事故がニュースになりますが、より深いレベルでの審査・検査を実現することで、製造現場の安全性を向上し、製品の不良品率を低減することで、安心・安全な製品の提供に貢献していきます。

2024年度に向けた取り組み

サプライチェーン全体の安全性の向上、生産現場の効率化をめざす

環境配慮や製造現場での品質向上の意識が高まる中、近年ではさらに踏み込んだ審査・検査サービスを求められるシーンが増えています。今後は、環境に影響を及ぼす化学物質についても審査・指導サービスができるよう、準備を進めています。また製造工程についても、QC(品質管理)工程表と実際の製造現場を確認できるようにするなど、審査・検査の質の向上とともに、対応できる業務範囲の拡大をめざします。新型コロナウィルスのようなパンデミックがいつ起きたとしても、現地のスタッフが現地のサプライヤーを審査・検査できるというTRIGO社の強み(オンサイト対応力)を活かし、サービスを日立グループからグループ外へも提供できるよう、連携を強化していきます。

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