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Hitachi

株式会社 日立ハイテク

2002年7月2日

日立ハイテクノロジーズは、東京大学の技術移転機関である先端科学技術インキュベーションセンター(CASTI、東京都千代田区、代表取締役社長 山本貴文)より「細胞内のタンパク質の立体構造を直接解析する技術」のライセンスを受け、今後の市場拡大が予想されるプロテオーム市場に向けて、新しい装置の開発に取り組むことを発表した。なお、本件の技術移転は、リクルート(東京・中央区、河野栄子 代表取締役社長)がCASTIの側面支援をしてなされた。

東京大学医科学研究所の片山栄作助教授と工学院大学工学部の馬場則男教授が開発した「サンプル前処理技術」と「3次元画像構築技術」を、日立ハイテクノロジーズがライセンスを受け、自社の電子顕微鏡装置と組み合わせることで新たなタンパク質構造解析システムを構築する。これにより、生きた状態に近い細胞内環境でタンパク質などの生体高分子がどのような状態で存在しているかを解析できる可能性が開ける。また、単独の、あるいは複合体中のタンパク質分子表面の凹凸プロファイルを任意の方向から観察したり、構造変化の様子を調べることができる。

従来、タンパク質の立体構造は、組織・細胞などの生体材料から分離・精製されたタンパク質試料をNMRやX線結晶回折などを用いて解析することによって得られ、、莫大な構造データが蓄積されている。しかし、そのような構造解析の対象とできないタンパク質も多く、また細胞内で実際にタンパク質がどのような構造を取っているかを知ることは極めて困難であった。今回、日立ハイテクノロジーズが開発する新しいタンパク質構造解析システムが完成すれば、原理的には任意のタンパク質の表面構造を調べることが可能となるだけでなく、NMR解析やX線結晶回折で得られた精製タンパク質の立体構造が、細胞内で機能を果たしつつある状態でどのように変化しているかを調べることができるようになる。

当方法は電子顕微鏡トモグラフィの一種であり、元来、細胞内あるいは溶液内のタンパク質分子の立体構造を解析することを目指して開発された。将来的には、従来の逆投影法に替わり、細胞内小器官の立体構造を再構成したり、金属や半導体などいわゆる材料系試料の構造解析にも適用できるものと見込まれる。現在、このような応用に向けて開発を進めている。

日立ハイテクノロジーズは、旧 日製産業の時代から、大学や理工系研究機関向けに様々な理化学機器の販売業務を行なっており、この営業活動を通して大学研究室に多くの優れた発明が存在することに注目、大学TLO(技術移転機関)との関係を模索していた。
昨年10月に日立製作所の計測器グループとの事業統合後は、自社技術と大学研究者らとの技術融合による新製品開発に力をいれており、今後もCASTIを始めとする国内TLOからの新技術導入に積極的に取組みたいと考えている。

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