疾患関連マーカー探索を従来比一桁の高感度化
2005年4月19日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:林 將章/以下、日立ハイテク)は、株式会社日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦)と共同で、高感度が得られるリニア・イオントラップ(以下、リニアトラップ)と高精度な質量数決定を可能とする飛行時間質量分析計(TOF)を結合したタンパク質解析用液体クロマトグラフ質量分析計「NanoFrontier L」を開発し、世界に先駆けて発売します。
創薬や体外診断の分野にて、疾病メカニズム解明および疾患関連マーカー探索のために、細胞、血清、尿などに含まれるタンパク質や代謝物解析用の質量分析装置の重要性が増大しています。より微量で複雑な構造を持つタンパク質や代謝物等の疾患関連物質の解析には、さらなる高感度と高精度の構造解析能力が求められています。
近年高感度な質量分析方式としてリニアトラップ方式が注目を集めています。リニアトラップは、構造解析能力を向上させるために「質量分析計内にて試料イオンを多段階に解離する」機能を有した「イオントラップ」方式の1種で、従来のイオントラップに比して約一桁高感度である、という特長を持ちます。一方リニアトラップ単体では、構造解析能力のもう一つの指標である質量決定精度が数十ppmという欠点を持ち、5ppmの質量精度が必要とされる未知タンパク質や未知代謝物質の解析には不十分でした。
日立ハイテクは、独自のリニアトラップ・TOF方式により高感度と高い質量精度を実現しました。「NanoFrontier L」は、これにより従来難しかった微量で膨大な数の混合タンパク質を同時に測定するという、疾病メカニズム解明および疾患関連マーカー探索の最先端の研究ニーズに応えます。
質量分析計でタンパク質を同定するためには、通常トリプシン等の酵素で消化させ1タンパク質当たり数十個のペプチドに分解して測定します。従って数百種類のタンパク質を同時に測定する場合には数千~数万個のペプチドを同時に測定することになります。「NanoFrontier L」では、質量分析計の直前でペプチドを可能な限り分離するオンラインの手段として、最新の高分離テクノロジーである「2次元HPLC」(近日発売)のシステム化を省スペース、低コストで実現しています。また質量分析計の多段階解離のソフトウェアにも特殊なソフトウェアを搭載し、従来の装置では見過ごしがちであった微量なタンパク質をも同定可能としています。
日立ハイテクは、2004年10月にタンパク質解析用質量分析装置の市場に参入。今回、日立製作所との共同開発により、先行する海外メーカーに先駆けてリニアトラップと飛行時間質量分析装置を結合したタンパク質解析用液体クロマトグラフ質量分析計「NanoFrontier L」を発売し、さらなる市場拡大と他社との差別化を図ります。
本体定価は7千7百万円。2005年度は40台、2006年度には100台の販売を見込んでいます。
なお、本製品技術の一部は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成事業「バイオ・IT融合機器開発プロジェクト」の一環として、株式会社日立製作所にて開発した技術です。
日立タンパク質解析用液体クロマトグラフ質量分析計「NanoFrontier L」
日立タンパク質解析用液体クロマトグラフ質量分析計「NanoFrontier L」 製品詳細情報
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