マスク開発期間を大幅に短縮
2006年7月4日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:林 將章/以下、日立ハイテク)は、半導体デバイスの設計開発効率や生産歩留まりの向上に役立つ、マスク設計データ計測システム「DesignGauge(デザインゲージ)」を新たに開発し、このたび市場投入しました。
半導体デバイスの生産においては、リソグラフィープロセスでの液浸露光技術導入の本格化により、45nm世代以降への微細化が加速しています。一層の微細化に伴い、異物に起因する欠陥の低減だけではデバイス生産の歩留まり向上が徐々に困難となっており、設計データの修正までさかのぼって対策するDFM(Design For Manufacturability)への対応が要求されてきています。
半導体ウェーハに回路パターンを露光、転写する場合、光の回折効果でマスクパターンと実際のパターンとの間にずれが生じます。このずれを解消するために、光の近接効果を考慮してマスクに補正をかけるOPC(*1)処理を行っていますが、微細化の進展に伴いOPC処理が複雑化し、マスクに起因する欠陥が歩留まり向上を阻害する大きな要因となってきています。
今回開発した「DesignGauge」は、マスクパターン設計データと測長SEM(*2)で計測したウェーハ上の回路パターンの画像データを高精度に照合比較するシステムです。
本システムは、設計データを利用することにより、従来は測長SEMを使用しなければ作成できなかった測定レシピを、オフラインで作成可能にしています。さらに、測定レシピに基づき測長SEMをリモート制御することで、マスクパターン設計データとウェーハに転写されたテストパターンを自動的に照合してOPCモデル作成用のデータを取得します。
「DesignGauge」の導入により、大量なOPCモデル作成用のデータ取得作業が高効率化でき、データ取得期間を従来に比べ約5分の1にまで大幅に短縮できます。
日立ハイテクは、今回開発した「DesignGauge」のパターン照合技術の精度をさらに向上させ、設計データを活用した新たな計測技術を確立することで、世界市場でトップシェアを誇る測長SEMの付加価値をさらに高めていきます。同時に、微細化が進む最先端プロセスにおける計測ニーズに応えるため、DFMに対応した計測技術、システムの開発を推進していきます。
設計データを活用することにより、従来は測長SEMを使用しないとできなかった測定レシピ作成作業が、装置を使用せずにオフラインで実施できる。
「DesignGauge」を使用して作成した測定レシピの実行により、測長SEMはリモート制御され、設計データと半導体パターンを照合比較しながら、測定レシピ上で指定された測定点のSEM画像データを取得する。また、取得した画像は「DesignGauge」に保存される。
通常の測長SEMに搭載されている測長機能に加えて、マスクパターン設計データと半導体パターンの寸法の差を測長する機能が搭載されている。
「DesignGauge」に保存されたSEM画像を使用して、再度、測長機能を実行させることができる。
Design Gauge システム構成図
操作画面
測長SEM「S-9380II」
お問い合わせ頂く前に、当社「個人情報保護について」をお読み頂き、記載されている内容に関してご同意いただく必要があります。
当社「個人情報保護について」をよくお読みいただき、ご同意いただける場合のみ、お問い合わせください。