-球面収差補正機能を搭載し高分解能観察を実現-
2006年8月31日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:林 將章/以下、日立ハイテク)は、ドイツ・セオス社(CEOS GmbH、社長:Dr. Maximilian Haider)と共同で、球面収差補正機能を搭載した新形の走査透過電子顕微鏡(STEM)(*1)「HD-2700形」を開発し、9月1日より発売します。
日立走査透過電子顕微鏡HDシリーズは、物質表面と内部の微細構造を観察するだけでなく、特性X線(EDX)(*2)やエネルギーフィルター(EELS)(*3)による各種元素分析(オプション)を行う多機能分析電子顕微鏡として、ナノテクノロジー分野における研究・開発や品質管理など多方面で活用されています。特に、半導体分野における分析・測長・できばえ評価においては、その操作性の良さと解析精度の高さから高い評価を受けています。
また、試料のサンプリング・加工を行う日立FIB(FB-2100形)とのシステム化により、日立マイクロサンプリング法(日本国特許:2774884、米国特許:5270552)による試料前処理から観察・解析まで一貫した工程を組むことが可能で、高スループット化を実現しました。
HDシリーズは、最先端の研究開発から生産現場における評価解析まで幅広いニーズにお応えします。
今回開発した「HD-2700形」は、HDシリーズのハイエンドマシーンとして開発され、電子顕微鏡の性能上の制約となっていた球面収差を補正し、高分解能観察(従来機比約1.5倍)、高感度分析(プローブ電流約10倍以上)を可能としました。
従来、HDシリーズで好評をいただいていたSEM感覚のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)や初心者でも簡単に使用できる各種自動調整機能も搭載されています。また、ナノ領域の分析に適応した試料汚染防止機能の強化と電子光学系安定度の向上を施し、昨今のデバイス開発の微細化に伴う寸法管理に威力を発揮する高精度倍率校正機能(オプション)も新たに搭載可能となりました。EDX・EELS(いずれもオプション)については各社の装置が搭載可能で、これまで蓄積されてきたデータ相関性や操作性を損ないません。
本体標準価格は2億8千万円。出荷開始は2006年12月の予定で、初年度5台の受注を見込んでいます。日立ハイテクは、9月3日(日)から9月8日(金)まで札幌コンベンションセンターにて開催される「国際顕微鏡学会IMC16」において同機の実機展示を行う予定です。
像分解能 | 0.144nm(DF-STEM像) |
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倍率 | ×100 ~ ×10,000,000 |
加速電圧 | 200kV |
映像信号 | 位相コントラスト像(BF-STEM像) Zコントラスト像(DF-STEM像) 高加速2次電子像(SEM像) 電子回折像(*) 特性X線像(*) EELSレシオ像(*) |
電子源 | ショットキー形電子銃(標準) 冷陰極電界放出形電子銃(*) |
収差補正器 | 6極子/トランスファーレンズ方式(CEOS社製) |
試料微動 | X,Y=±1mm |
試料傾斜 | ±30°(一軸傾斜ホルダー) |
真空排気系 | ターボ分子ポンプ、イオンポンプ |
PC/OS | Windows(R) XP |
新形走査透過電子顕微鏡「HD-2700形」
日立走査透過電子顕微鏡 HD-2700
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