-安定した超高分解能と新たな解析手法を併せ持った、次世代FE-TEM(*1)-
2007年5月14日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:大林 秀仁)は、高輝度冷陰極電界放出電子銃と300kVの高加速電圧を組み合わせた、新型の電界放出形透過電子顕微鏡(FE-TEM)「HF-3300形」を開発し、5月14日より発売します。
冷陰極電界放出電子銃は、その高い輝度とエネルギー分解能により、高性能電子顕微鏡になくてはならない電子源として高く評価されています。当社では、本電子源の有用性にいち早く注目し、走査電子顕微鏡だけでなく、透過電子顕微鏡においても本電子源を広く採用しています。
今回開発した「HF-3300形」では、この冷陰極電界放出電子銃と300kVの高加速電圧を組合せることで、原子レベルの超高分解能観察(分解能:0.1nm)とナノオーダーの極微小部分析を安定して実現しています。
透過電子顕微鏡では加速電圧が高いほど、分解能が高くなるだけでなく、透過能も向上します。すなわち、厚い試料でも高い解像度で観察することが可能です。また、原子番号が大きく電子線が透過しにくい金属やセラミックスの観察においても、高い加速電圧が求められています。「HF-3300形」では300kVの高加速電圧を採用することで、試料の厚さ・組成に左右されることの少ない、安定的な超高分解能観察を可能としました。
極微小部分析においては、エネルギー分散型X線分析装置(EDX(*2))や電子エネルギー損失分光器(EELS(*3))に加えて、電子線ホログラフィー、位置分解型EELS、ナノ電子線回折という新たな解析手法を提案します。電子線ホログラフィーは極微量元素分析への、位置分解型EELSはナノ領域の元素状態解析への、ナノ電子線回折は結晶構造の局所高精度解析への応用が期待されています。「HF-3300形」はこれらの手法により、高度化する材料解析ニーズにお応えします。
また、日立集束イオンビーム加工装置(「FB-2100形」)とはホルダリンケージを実現しており、メッシュを受け渡すことなく、試料作製からTEM解析までの一連の作業を実施できます。TEM試料作製に欠かせない技術として高い評価を受けているマイクロサンプリング(日本国特許:2774884、米国特許:5270552)を併用することで、特定部位のTEM解析を迅速かつ確実に行うことができます。
「HF-3300形」の本体標準価格は、2億8,500万円です。出荷開始は2007年9月の予定で、初年度5台の受注を見込んでいます。
電界放出形透過電子顕微鏡「HF-3300 形」
像分解能 | 0.10nm(格子像) 0.19nm(粒子像) 0.13nm(インフォメーションリミット) |
---|---|
倍率 | ×200 ~ ×1,500,000 |
加速電圧 | 300kV、200kV(*)、100kV(*) |
電子源 | 冷陰極電界放出形電子銃 |
試料微動 | X, Y=±1mm |
試料傾斜 | ±15° |
EDX立体角 | 0.15sr |
真空排気系 | ターボ分子ポンプ、イオンポンプ |
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