―超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡―
2011年4月19日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:久田 眞佐男/以下、日立ハイテク)は、新開発の電子銃の搭載により超高分解能観察を実現し、かつ電子線による観察時の試料ダメージの軽減を可能にした新型の電界放出形走査電子顕微鏡(SEM)「SU9000形」を開発し、4月19日より発売します。
走査電子顕微鏡は、半導体デバイスやエレクトロニクス、先端ナノテクノロジー材料、あるいは生物、製薬などの幅広い分野で使われています。特に半導体解析の分野では、研究開発から生産現場のプロセスコントロール、さらに故障解析に至るまで、微細構造を観察するために不可欠な装置となっています。このような最先端技術を支える走査電子顕微鏡は、優れた高分解能観察能力が必要なだけでなく、電子線による試料ダメージの軽減を目的とした低加速電圧での観察能力や、1日に100視野以上の観察を行えるスループット、また、これらの性能を常に発揮できる安定稼働が求められています。
この度発売した「SU9000」は、日立が得意とする超高分解能観察に適した新型のコールドFE電子銃を搭載しています。従来のコールドFE電子銃に比べて、起動直後から待ち時間なく長時間安定して使用でき、その安定領域でのプローブ電流は約2倍で、明るく、S/Nに優れた画像を取得可能です。また、日立独自の技術であるインレンズ形対物レンズの性能は、低加速電圧(1kV)の分解能が1.2 nmに向上し、高加速電圧(30 kV)のSTEM分解能(オプション)においてもグラファイトの格子像(C(002) d=0.34 nm)にて分解能を保証します。「SU9000」は、世界最高分解能0.4 nm(30 kV:SE像2011年4月時点)を誇るSEMでありながら、試料導入方式にサイドエントリー方式を採用しているため、試料交換から高分解能写真を取得するまでの時間が約6分以内(*1)という高スループットでのデータ取得を実現しました。さらに、形状評価や組成評価など観察目的に合わせて高コントラスト観察を可能とする日立ハイテク独自の信号検出系を装備し、快適な操作環境を提供する24.1型の大型ワイドモニタを採用。ユーザビリティを追求した新インターフェイスにより、ユーザーが使いやすい環境を整えました。
本体標準価格は9,100万円(税別)で、年間80台の販売を見込んでいます。出荷は2011年上期から適時開始する予定です。
超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「SU9000」
仕様 | SU9000 |
---|---|
二次電子分解能*2 | 0.4nm (加速電圧 30kV、Sample Height=1.0mm、倍率800kx ) 1.2nm (加速電圧 1kV、Sample Height=2.0mm、倍率250kx ) |
STEM分解能 (オプション) |
0.34nm (走査透過電子像による格子像、加速電圧30kV Sample Height=0.0mm) |
倍率表示 | LM:80~10,000x / HM: 800~3,000,000x |
ステージ | サイドエントリーゴニオメーターステージ |
可動範囲 | X: ±4.0mm、 Y: ±2.0mm、 Z: ±0.3mm、T: ±40° |
標準ホルダー(1本付属) | 平面試料台: 5.0mm×9.5mm×3.5mm(高さ)(最大) |
試料台:6種類x1個付属 | 断面試料台: 2.0mm×6.0mm×5.0mm(高さ)(最大) |
専用ホルダー (オプション) |
断面ホルダー: 2.0mm×12.0mm×6.0mm(高さ) 断面2軸傾斜ホルダー: 0.8mm×8.5mm×3.5mm(高さ) |
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