―低加速電圧時においての、スピーディで高画質な観察を実現―
2012年5月11日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:久田 眞佐男/以下、日立ハイテク)は、低加速電圧における像分解能を向上させ、高画質でより正確な観察を可能にした新形走査電子顕微鏡(SEM)「SU3500形」を5月11日より発売します。
走査電子顕微鏡は物質表面の微細構造を観察する装置として、ナノテクノロジー分野やバイオテクノロジー分野をはじめとする、あらゆる産業分野の研究・開発から品質管理など、多方面でその有用性が認められ、活用されています。特に、電子デバイスの実装部品に代表される絶縁物試料や、再生医療で注目される各種培養細胞などの含水試料を、前処理不要で観察できる低真空観察法(6~270Pa)を実用化した日立低真空SEMシリーズは、世界中のお客様にご利用いただき、ご好評をいただいております。
今回開発した新形の低真空SEM「SU3500形」は、電子光学系を一新し、二次電子像では加速電圧3kVで7nm、反射電子像では5kVで10nmという分解能を実現し、SEM像の観察能力を向上しました。さらに新設計の信号処理技術により、速い走査速度においても、ノイズが少なく明るい画像の観察が可能となり、フォーカスや非点調整時における高い操作性を実現しました。
「SU3500形」では、新たな試みとして「ライブステレオ観察機能」(*1)を開発しました。本機能は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の「研究成果展開事業 先端計測分析技術・機器開発プログラム」の一環として、日立ハイテクをリーダーに、株式会社ナナオ、新潟大学、静岡大学とともに開発した技術を採用したものです。この機能により、試料を傾けることなく、速い走査速度で3次元のSEM像を構築し、リアルタイムでの像観察が可能です。また「SU3500形」では、低真空機能を標準装備することで、絶縁物試料でも前処理なしで観察することができ、より多分野での開発・解析をサポートします。さらに高感度の低真空専用検出器 「Ultra Variable-pressure Detector (UVD)」をオプションとして新たに開発し、低加速電圧から高加速電圧まで、また試料室圧力が数Paから数百Paという幅広い条件においての観察を可能にしました。
日本国内における本体標準価格は3,000万円(税別)。発売開始は2012年5月11日、出荷開始は2012年8月の予定で、年間200台の販売を見込んでいます。
日立ハイテクは、5月14日(月)から5月16日(水)まで、つくば国際会議場にて開催される、「日本顕微鏡学会第68回学術講演会」の商業展示において、本機のパネル展示を行う予定です。
走査電子顕微鏡「SU3500」
仕様 | SU3500 |
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二次電子像分解能(*2) | 3.0nm(加速電圧:30kV、高真空モード)、7.0nm(加速電圧:3kV、高真空モード) |
反射電子像分解能(*2) | 4.0nm(加速電圧:30kV、低真空モード)、10.0nm(加速電圧:5kV、高真空モード) |
加速電圧 | 0.3~30kV |
倍率 | ×5~×300,000(写真倍率)、×7~×800,000(実表示倍率) |
試料ステージ | X:0~100mm、Y:0~50mm、Z:5~65mm、T:-20°~90°、R:360° |
最大搭載可能試料サイズ | 200mm径 |
最大観察可能範囲 | 130mm径(R併用) |
最大試料厚さ | 80mm(WD=10mm) |
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