-生体材料をはじめとする含水試料の大気圧下電子顕微鏡観察を実現-
2015年9月1日
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:宮﨑 正啓/以下、日立ハイテク)は、ソフトマテリアルや生体材料など含水率が高い試料について、大気圧下で電子顕微鏡(SEM)観察を実現した、卓上大気圧顕微鏡「AeroSurf 1500」を、9月1日から発売します。
従来のSEMは真空下に試料を配置するため、生体材料などの含水試料は真空中でも形態を保持できるように固定・脱水・乾燥などの煩雑な前処理を必要としていました。また複雑な前処理過程で、試料の収縮に伴う変形により、正確なSEM観察ができないという課題がありました。
一方、含水試料にダメージを与えずに観察する手法には、試料を凍結してSEM観察を行うクライオ観察法が一般的ですが、設備が高額であるため容易に導入することが難しい状況がありました。
これまで日立ハイテクは、お客様のご要望に応じて大気圧電子顕微鏡の個別販売を行い、市場調査を行ってきました。その結果、製薬・医療・食品をはじめ幅広い分野において活用のニーズがあり、このたび、より操作性と信頼性を向上した「AeroSurf 1500」を開発しました。
「AeroSurf 1500」では、試料を真空下ではなく大気圧下に配置した状態でのSEM観察を実現しています。試料を配置する大気圧チャンバーと真空空間になっているSEM内部を、電子線を透過させ真空を封止する隔膜で分離することで、SEM内部の真空を保持しながら、試料に電子線を照射し観察することが可能です。これにより含水試料の煩雑な前処理が不要となり、試料そのままの姿のSEM観察を実現します。また本装置では試料と隔膜を非接触にしているため、通常のSEM観察と同様に、試料の視野移動や表面観察などが可能です。さらに、従来困難であった含水試料の乾燥工程における形態の経時変化を評価することもできます。
日立ハイテクは「AeroSurf 1500」の販売により、科学技術および産業の発展に貢献します。
国内販売価格は980万円(税別)からで、年間50台の販売を見込んでいます。
日立ハイテクは、9月2日(水)から9月4日(金)まで幕張メッセ国際会議場(千葉県千葉市)で開催される「JASIS 2015」(分析展2015/科学機器展2015)において、「AeroSurf 1500」の実機展示を行う予定です。
卓上大気圧顕微鏡「AeroSurf 1500」
低真空圧力時(数Pa~数10Pa)
大気圧または負圧時(約104Pa~105Pa)
SEM内部の構成図(隔膜の取り外しが可能)
電子銃 | プリセンタードカートリッジフィラメント |
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検出系 | 高感度4分割半導体反射電子検出器 |
加速電圧 | 5kV / 15kV |
倍率 | ×15~×60,000 (デジタルズーム使用時: x240,000) |
観察圧力 | 大気圧モード(105Pa) (隔膜装着時) 負圧モード(約104Pa ~ 105Pa) (隔膜装着時) 真空モード(数Pa ~ 数10Pa) (隔膜取り外し時) |
最大試料寸法 | 55mm径 |
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