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Hitachi

株式会社 日立ハイテク

毛髪部位計測に対応した小型・携帯型脳活動計測装置
ウェアラブル光トポグラフィ「WOT-HS」を開発

-高感度かつウェアラブル性を向上した光トポグラフィ計測を実現-

2016年2月24日

株式会社日立ハイテクノロジーズ
株式会社日立国際八木ソリューションズ

 株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:宮﨑正啓/以下、日立ハイテク)と株式会社日立国際八木ソリューションズ(代表取締役社長:久富裕之/以下、HYS)は、近赤外光を用いて脳活動を可視化する「ウェアラブル光トポグラフィ」シリーズの新製品として、毛髪部位の計測に対応したウェアラブル光トポグラフィ「WOT-HS」*¹を開発しました。

 近年、欧米や日本では脳機能を解明する動きが広がっており、大量のデータを日常環境で計測する需要性が高まっています。
 日立ハイテクとHYSは、光トポグラフィ技術(NIRS) *²を用い、日常環境において脳活動の計測が可能な携帯型脳活動計測装置の開発、製品化を行ってきました。

 今回開発したWOT-HSでは、信号処理プロセッサやセンサーなどを内蔵した小型カプセルユニットを新たに開発し、光ファイバーを使用せず、かつ信号ケーブルの使用数を削減することでウェアラブル性を向上するとともに、同ユニットに近赤外光の受光装置としてアバランシェフォトダイオード(以下、APD)を採用することで、より高感度な計測を実現しています。
 これにより、前額部以外にも、毛髪部位である側頭部に小型カプセルユニットを配置することで、聴覚などに関する脳活動の計測を可能としています。
 さらに、皮膚血流などの生体ノイズの低減に有効なマルチディスタンス方式に切り替えて計測することが可能です。そのほか、小型カプセルユニット上部に新たに追加したLEDで装着状態を確認可能にするなど、ユーザビリティの向上を実現しています。

 日立ハイテクとHYSは今後、前額部と側頭部に加え、頭頂部に対応した装置も開発していく予定です。ウェアラブル光トポグラフィ製品を通じて、両社はより日常に近い環境における脳活動の計測手法を多くの研究機関に提供し、脳機能の解明に貢献していきます。

 日立ハイテクは2016年3月7日(月)、8日(火)に京都大学・桂キャンパス(京都府京都市)で開催される「第18回ヒト脳機能マッピング学会」で展示を予定しております。また本製品は日立ハイテクより2016年度中頃の出荷開始を予定しております。


WOT-HS 装置装着時


小型カプセルユニット

本製品の主な特長

(1)小型カプセルユニットを採用した光ファイバーレスなウェアラブルデザイン

信号処理プロセッサやセンサーなどを内蔵した小型カプセルユニットを新たに開発し、個々に処理を行わせることで、信号ケーブルの使用数を大幅に削減しています。これにより、センサー数を従来機の16個から35個に増やし計測範囲を広げた一方で、約25%の軽量化を実現しました。
さらに、ヘッドセット表面上の信号ケーブルの露出を可能な限りおさえ、光ファイバーを一切使用しないファイバーレス構造を採用することでウェアラブル性を向上しています。

(2)APD採用による高感度計測

受光装置にAPDを採用することで受光感度を大きく向上させ、毛髪部位の計測を可能としました。

(3)マルチディスタンス方式を標準装備

発光装置、または受光装置が内蔵されている小型カプセルユニットを横2列・縦12列で配置し、さらに受光装置が内蔵されている小型カプセルユニットを、前述の2列間に横1列で追加配置したことで、マルチディスタンス方式での計測を実現しています。従来は、皮膚血流に由来する生体ノイズを抑制するために、計測の手続き(段取り)を工夫する必要がありました。これに対し、マルチディスタンス方式では、WOT-HS内にて皮膚血流に由来する生体ノイズを低減するため、リアルタイム計測などの際に自由度が向上します。
本製品では、マルチディスタンス方式と従来の光トポグラフィ方式の2方式を、任意に切り替えて計測することが可能です。

[マルチディスタンス方式]

受光点Aと受光点Bの計測値を用いて、皮膚血流などの生体ノイズを低減する方式

[受光装置の追加配置]

従来の発光装置と受光装置の格子状配置に加え、WOT-HSではその中央部(点線部)に受光装置を追加配置することで、マルチディスタンス方式に対応

(4)小型カプセルユニットにLEDを搭載し、装着状態を表示

各小型カプセルユニット上部に設置したLEDの表示色で、装置装着時にセンサーが頭皮に接触し、計測が実施可能かの確認をスピーディーに行うことができ、作業効率向上を実現します。

(5)加速度センサーを搭載

ヘッドセットに加速度センサーを新たに搭載したことにより、光トポグラフィの信号データと同時に加速度データが計測・保存され、計測後のデータ解析作業に活用することができます。

*1
本製品は研究用途としての利用を目的としております。
*2
光トポグラフィ技術:近赤外分光法(NIRS:Near-Infrared Spectroscopy)とも呼ばれており、日立グループでは、株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)が、1995年、世界に先駆けて開発。その後、日常環境に近い状態で計測できることをめざして、「頭部近赤外光計測装置」(2009年11月)や、最大4人を同時に計測が可能な小型・携帯型の「ウェアラブル光トポグラフィ」シリーズを製品化(2010年4月)。2015年9月にはスマートフォンやタブレットでの脳活動データ活用によるトレーニングアプリケーション開発を可能にした、携帯型脳活動計測装置「HOT-1000」の販売を開始しております。

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