脳科学をモノづくりに活用
株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:宮﨑 正啓/以下、日立ハイテク)、株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、脳科学をモノづくりに活用する取り組みの一環として、株式会社キッズスター(代表取締役:平田 全広/以下、キッズスター)が提供する高齢者向け認知症・介護予防サービス「脳エクササイズ」の開発に協力しました。
近年、日本では高齢化が進む中、心身ともに健やかな日常生活を送る「健康寿命」の維持・伸長が注目され、身体のみならず脳を鍛えたいというニーズが高まっています。そこで、これまでも脳科学の知見をさまざまなモノづくりに活用する取り組みを進めてきた日立ハイテクと日立の両社は、今回新たに検証した研究の知見を活用し、キッズスターの「脳エクササイズ」の開発を支援しました。
検証では、脳機能計測と認知科学的手法を用いて、高齢者(60~72歳の男性18名)を対象に、画面上に表示される問題に対し全身を使ってプレイする「脳エクササイズ」と、ゲームパッドを用いて指先だけでプレイする「PCゲーム」を体験してもらい、体験前後に認知課題(ストループ課題*1、GO/NOGO課題*2)を実施しました。分析の結果、前頭部中央右側領域において、「PCゲーム」ではプレイ前よりプレイ後の方がストループ課題中の脳血流反応の増加が小さくなりましたが、「脳エクササイズ」のプレイ前後では、脳血流反応の増加に変化は見られませんでした。このプレイ前後の脳血流反応の変化は、「脳エクササイズ」と「PCゲーム」の間で統計的有意差があることがわかりました。
また「脳エクササイズ」を行うことにより、認知課題の回答時間が短くなることもわかりました。この結果は、短時間の運動により脳の代償機能(加齢による脳機能低下を防ぐと言われる)が関与し、認知機能が向上することを明らかにした先行研究*3と同様の傾向を示しており、「脳エクササイズ」により高齢者の認知機能が向上することが期待されます。
本知見を活用した「脳エクササイズ」は、「脳を鍛えるトレーニング」+「体操」をコンセプトに開発された、認知症・介護予防と利用者同士のコミュニケーション活性化を図るサービスです。入力デバイス「Kinect™ for Windows®」を活用しており、テレビの前で身体を動かしながら脳トレーニングを行うことができます。介護施設やフィットネスクラブなどでの利用が想定されており、2017年3月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催される「第3回CareTEX 2017」にて公開されます。
日立ハイテクと日立は、今後も脳科学に基づく研究を進め、さまざまな分野でパートナー企業との連携を図り、脳科学のモノづくりへの活用を進めていきます。
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