人権の尊重
基本的な考え方
日立ハイテクグループは、2025年5月、グローバルに事業活動を行う上で不可欠な人権尊重の取り組みを強化するため、「日立ハイテクグループ人権方針」を改定しました。当社グループは、2014年に本方針を策定し、人権リスクマネジメントの強化に取り組んできましたが、複雑化する事業環境および人権を取り巻くグローバルな動向を踏まえ、人権デュー・ディリジェンスを義務化する法規制*1への対応に加え、顕著な人権課題の特定など、従来実施してきた人権デュー・ディリジェンスの結果を反映しています。当社は本方針に基づき、グループの社員はもとより、グループの事業活動や製品・サービスを通じて関係するすべての人の人権を尊重します。
*1 2024年7月に発効した欧州連合の「コーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)」など
人権方針の概要
コミットメントの明確化
当社グループは、コミットする国際基準を本方針の中で明らかにし、「国際人権章典」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO*2宣言」、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」、「OECD*3責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」、「国連グローバル・コンパクトの10原則」に規定されている、国際的に認められたすべての人権を尊重する責任を果たすことを明確にしています。
顕著な人権課題の特定
当社グループは、「強制労働(移民労働者の権利侵害を含む)」、「児童労働」、「ハラスメント」、「差別」、「安全衛生の欠如」、「結社の自由の侵害」の6つをリスクの高い人権課題(顕著な人権課題)として特定し、これらの人権リスクの軽減に向けた取り組みを強化します。
日立ハイテクの人権デュー・ディリジェンスプロセス
当社グループは、人権デュー・ディリジェンスの実施を本方針の中で宣言し、その宣言に従い、当該プロセスを具体的に記載しました。
*2 International Labour Organization:国際労働機関
*3 Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構
体制
当社グループでは、Chief Human Resources Officerをグループ全体実行責任者として、社長を推進責任者、各統括本部から実行者を選出し、人権問題に密接にかかわる人事総務本部・調達本部・CSR本部の3部門が日立製作所のHRDD*4推進事務局と連携しながらリードし、日立グループ横断の情報共有および審議の場として開催のHRDD実行者会議等での議論を通しグローバルな人権リスクへの対応に向けた推進体制の構築・整備を進め施策の検討や推進を担っています。
*4
人権デュー・ディリジェンス(HRDD):
事業上の人権への影響を特定して評価、対応し、負の影響に対して防止・軽減、救済の措置を講じて、その効果を継続的に検証・開示すること
取り組み
人権デュー・ディリジェンス
人権デュー・ディリジェンス(HRDD)には、潜在的または実際の人権への影響を特定して評価することやリスクを防止または軽減するための措置を講じることが含まれます。当社は、人権への影響やリスクに効果的に対処するため、こうした措置の効果を継続的に検証していきます。具体的には、懸念されるコンプライアンスリスクの洗い出しを定期的に行っており、その中で人権問題と労働問題も含めて調査しています。万が一問題が発生した際は臨時会議を開催し、事実調査・原因究明・是正措置・再発防止等を審議することとしています。2024年度は、当社Gr全拠点を対象に、人権やハラスメントを含む労働問題についてコンプライアンスリスク評価を行いました。また、調達パートナーに対してはEcoVadisを通じたサステナビリティリスクアセスメントを行っています。
HRDDプロセス
強制労働、児童労働の禁止
従業員の雇用にあたっては、各国・各地域の法令に準拠するとともに、国際規範を基準として実施します。当社グループでは、児童労働を未然に防止するため、入社時に公的な書類にて年齢が児童労働には当たらない事を確認しています。また、従業員の意に反した不当な労働はさせません。
人権啓発研修の推進
「日立ハイテクグループ人権方針」のもと、階層別研修を中心に毎年5講座、10回以上の人権啓発研修を実施し、正しく本質的な理解を深め、広く人権を尊重する風土・意識の醸成に努めています。また、3年に1回の頻度で、e-ラーニングによる当社グループ全従業員を対象とした研修も実施しています。
企業のグローバル化が進むにつれ、児童労働や強制労働などさまざまなタイプの人権問題に直面するようになりました。そこで、2014年度からは、「ビジネスと人権」という観点を強化し、企業に関わる各ステークホルダーの人権を尊重し「人権配慮の視点を持って仕事に取り組む」ということについて理解を深めています。
また、ハローワークが主催する対外研修に定期的に採用担当者等が参加し、自社の状況と照らし合わせることで活動推進に活かしています。
当社グループでは、職場におけるハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為との認識のもと、ハラスメントに関する階層別研修や全従業員向けのe-ラーニング(2回/年)を実施しています。
| 項 目 | 内 容 | 参加・受講状況 |
|---|---|---|
| 階層別研修 | 新入社員・新任主任・中堅社員・新任管理者・新任部長研修での、人権啓発・ハラスメント防止教育の継続的実施 | 計1,128名 |
| e-ラーニング | 全従業員を対象にハラスメントに関するe-ラーニング教育(8月・2月)を実施 | 計5,574名 |
人権に関する苦情処理メカニズム
ハラスメント相談窓口の設置
万が一、職場でハラスメントの発生を認めたり、従業員から苦情が生じたりした場合は、関係者のプライバシーの保護、機密の保持を基本に速やかな対応がとれるよう社内相談窓口を設置しているほか、外部専門機関と契約しているEAP*や内部通報の窓口も活用できるようにしています。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 相談・解決件数 | 5 | 3 | 3 | 1 | 0 |
* EAP(Employee Assistance Program)メンタル面から従業員を支援するプログラム
また、当社の事業活動によって何らかの問題が発生した際に、社外からお問い合わせいただけるよう、Webサイトに各種問い合わせ窓口を設けています。万が一、通報があった場合には当該部門と連携のうえ、適切に対処することとしています。
