IT不況の中で継続した液晶・HD製造・検査装置開発が花開く

株式会社日立ハイテクファインシステムズは、1965年設立の日立電子エンジニアリング株式会社を前身とする。同社は、株式会社日立製作所の戸塚、小田原、武蔵、高崎など各工場の製造設備の開発・設計を支援し、1970年代よりハードディスク(HD)と半導体の製造・検査装置を手がけ、1980年代前半から外販を行ってきた。その後、液晶パネルの製造・検査装置に参入している。

「2001年のIT不況で半導体やHDの設備投資が激減し、液晶市場もこれからという中で、当社も苦境に立ちました。その中で新しい垂直磁気記録方式に対応したHDの製造・検査装置や、液晶パネルの大型化に対応する製造・検査装置の開発を続けてきました」と、産業インフラ事業部長の加藤 治芳取締役は当時を語る。

2004年4月に、日立ハイテクグループとなり、日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社に社名変更したが、苦しい時に開発を続けてきた製品がここで大きく花開いた。

フラットディスプレイは液晶が主流となり、液晶テレビの増産に向けて液晶パネルの製造・検査装置の受注が急拡大した。HD製造・検査装置も、2003年の日立グロー バルストレージテクノロジーズの誕生や情報家電市場の立ち上がりをきっかけに急速に需要が拡大し、海外メーカーからも大型発注が相次いだ。2006年度には液晶・HD関連装置の売上高が800億円に迫り、全社の利益に大きく貢献するまでに成長した。

「HD関連ではメディア検査装置のRQシリーズ、ガラスやアルミの基板を検査する光学検査装置NSシリーズ、液晶関連では、年々大型化するパネルに対応したカラーフィルタ用洗浄・現像装置、露光装置、モジュール組立装置が大きな実績をあげ、業界シェアの60%を超えるまでに成長した」と当時営業活動の先頭に立っていた産業インフラ事業部の岡本 英一事業部長付は当時の活況を振り返る。

その後、グローバル規模での競争激化に対応し、事業基盤の強化と伸長分野への事業展開を図った。現在は、培ってきた技術を生かして、社会インフラ分野の鉄道検測事業の拡大と海外への事業展開、産業インフラ分野の自動化設備事業の拡大、産業用インクジェットプリンタなどの新事業の立上げを推進している。

メディア検査装置 
RQ9000/RQ7800シリーズ
大型ガラス基板露光装置 LE0200SD