半導体設備投資の激減で初の減収減益

2008年度に入って、4月にCDB推進本部を経営戦略室に統合して経営戦略本部を設置し、経営戦略部、海外事業戦略部、新事業開発部のもとで包括的に戦略を立案・実行する体制を整えた。同月、株式会社日立ハイテクインスツルメンツの熊谷新本社工場が完成し、チップマウンタの生産がスタート、5月には、埼玉事業所のクリーンルームが完成した。

6月、株式会社日立製作所の財務部門で実績のある﨑山 忠道氏が社外取締役会長に就任した。﨑山会長は「開発・製造・販売・サービス一体となってグローバルにお客様に価値を提供できる当社ビジネスモデルの強みを発揮して企業価値を向上し、世の中の変化への感性を高め、周到な準備のもとでの事業展開に期待する」と挨拶した。

同月、大林 秀仁社長の主催により、全執行役が一堂に会してグループの企業価値を最大化するために議論する場として「執行役ブレインストーミング(BS8)」が開催された。変化の激しい事業環境を見据え、事業基盤の強化とともに将来の成長を確固たるものとするために、BS8では、開発のスピード化、商事部門の活性化、グローバル事業強化について忌憚のない討議が行われた。これ以降、2年ごとにBSを開催し、中長期の経営課題を議論し、戦略として固めていくことが定着していった。

このような積極的な取り組みの中、2008年9月にリーマン・ショックが発生した。米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに世界金融危機・世界同時不況が一気に広がり、米国経済に対する不安から急激なドル安・円高が進んだ。このため、自動車、半導体などを含めて世界的に投資が停滞し、日本でも投資の一時凍結を行う企業が広がり、当社を取り巻く経営環境は一気に悪化した。

大林社長は、統合後初めて到来した危機を乗り切るには全社一体の取り組みが欠かせないと判断し、「従業員の皆さんへ」と題して、2008年度下期の厳しい事業環境と2008年度連結決算の見通しを紹介し、事業構造改革の積極的推進と総コスト低減、開発のスピードアップ、連結経営の深化、キャッシュフロー経営の強化、「基本と正道」の遵守、不測の損失発生防止、人財の計画的育成を緊急的に呼びかけている。

しかし、2008年度連結決算は、半導体製造装置や液晶関連製造装置の市場回復が遅れたことなどが響いて、売上高が前期比17.8%減の7,750億円、営業利益同69.7%減の149億円、当期純利益同73.7%減の71億円と、発足後初の減収減益となった。

﨑山 忠道
社外取締役会長
大林 秀仁
代表執行役
執行役社長
兼取締役
株式会社日立ハイテクインスツルメンツ 新本社工場

2008年6月28日・29日に開催された執行役ブレスト「開発のスピードアップ」「商事部門の活性化」「グローバル強化」をテーマに活発な議論が行われた