2009年度の世界経済は予想通りに低迷が続き、円高の進行、原油価格の高止まりの影響で、一段と厳しい経営環境が続いた。
2009年10月、大林社長は、「2009年度下期スタートにあたって」として、市場変化に対応した事業体制の構築、新事業の創生と開発のスピードアップ、連結経営の深化とキャッシュフロー経営の推進、グローバル強化と人財の育成、「基本と正道」の遵守・徹底を、あらためて呼びかけた。
当社は、業績の早期回復に向けて引き続きコスト構造の見直しを進めており、成長戦略の加速に向けた新規事業では、有価証券オンラインサービス「NEXT有報革命」、組織活動可視化システム「ビジネス顕微鏡」を活用した組織改革ソリューション事業をはじめ、「ハイテクビジョン」ビデオ会議システム事業などが動き出しており、それらの早期収益化に全力で取り組んだ。
10月には、株式会社ルネサス東日本セミコンダクタのボンダ事業について2010年春をめどに事業継承することが発表された。10月には、医用分析装置の顧客研修施設として「東京テクニカルセンタ」が開設された。同センタは、最先端の機器と設備を完備し、快適かつ効率的な研修を行うことができ、機器操作の理解、習熟度向上をサポートする施設として顧客より高く評価されている。
このほか、英国The Centre for Process Innovation Ltd.と株式会社日立製作所との共同による直接メタノール形燃料電池の事業化、米国XeroCoat ,Inc.と太陽電池用反射防止膜塗布装置および材料の戦略的パートナーシップの締結、株式会社日立製作所・株式会社日立物流などとの共同による海外調達ソリューションなど新たな成長に向けた取り組みが進められた。
経営環境は、2009年度下期に至って世界経済は持ち直しの傾向が見られ、わが国経済も緩やかな回復が期待できる状況となってきた。
しかし、半導体、液晶関連装置の本格的な市場回復には至らず、2009年度連結決算の売上高は前期比20%減の6,169億円にとどまり、営業損失16億円、当期純損失28億円を計上し、統合後初めて赤字決算となった。
こうした厳しい状況の中、明るい話題となったのは、2009年4月に経済産業省、特許庁から平成21年度「知財功労賞」として、「経済産業大臣表彰(特許戦略優良企業)」を受賞したことである。
知的財産権を経営における重要な資産として位置付け、積極的な活用と価値の向上に取り組む姿勢が評価されての受賞であった。