V字回復、黒字転換を達成

2010年4月、大林社長は「事業構造改革の果実を刈り取る」時期として、将来の事業活動の発展に向けた活動の推進、成長戦略の加速、グローバル事業の強化と新事業創生、モノづくり改革とIT基盤強化による業務効率向上、連結経営強化とキャッシュフロー経営の強化、基本と正道の遵守などを呼びかけた。また、経営戦略本部にCプロ推進センタと新事業創生部を設置した。Cプロ(Challenge/Corporateプロジェクト)とは将来の事業活動の発展の芽となる事業・製品・サービスを育てるもので、Cプロ1号(製薬研究支援)も選ばれている。那珂事業所関係の構造改革でも、製品事業分担会社と製造分業会社に再構築することになった。さらに、半導体後工程装置の「製・販・サ」一体化の一環として株式会社ルネサス東日本セミコンダクタのダイボンダ事業を取得し、株式会社日立ハイテクインスツルメンツの山梨地区となった。グローバル事業の強化としては5月には日立ハイテクノロジーズ上海会社が日立ハイテクノロジーズ中国会社を吸収合併、10月には米国メリーランド州に電子顕微鏡のアプリケーションラボを設置した。

新たな活動としては、6月から「SPIRIT Meeting」を開始した。成長戦略の加速を見据えて企業が高い成長を実現していくためには、新たな戦略やビジネス創生が不可欠との考えから、それを推進する社員一人ひとりが「共通して大切にすべき価値観とは何か」、「ハイテクらしさとは何か」をテーマに議論するもので、全20回開催・約400人が参加した。

続いて7月には第2回執行役ブレスト(BS10)が開かれ、ワールド・ワイド最適事業運営体制・生産体制強化、研究開発戦略・体制づくり、コーポレート機能強化などについて多角的に検討された。また、情報システム強化に向け、約100億円のグローバルIT投資計画が発表された。

このような中、12月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ」計画で、採取された小惑星イトカワの微粒子の分析に関する貢献に対し、文部科学大臣および宇宙開発担当大臣より「プロジェクト功労賞」を受賞した。

これらの取り組みの一方で、総コスト削減に注力したことで、2010年度連結決算は、売上高が前期比5.9%増の6,534億円、営業利益同279億円、当期純利益178億円とV字回復を実現した。

株式会社日立ハイテクインスツルメンツ
山梨地区発足セレモニー
SPIRIT Meeting